無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

貧すれば鈍す

2010年04月07日 | Weblog

衣食足りて礼節を知る


「自分のことへの思い煩いでいっぱいだと、

     他人のことを考える暇がなくなってしまいます。」(マザー・テレサ)


私の知っている工場長(会社役員)の話では「どうして中国人労働者に我々より高い賃金を払っているのか!」と正社員からクレームが出ている、との事。

その工場では中国人労働者を時給制で雇っているが、生産量はがた落ちで正社員は自宅待機等実施、会社は政府の中小企業支援金で社員給与補助を続けている。勿論、残業など無く、手取り給与はがた減りとなった。

この状況を遡って話してみる。
その工場が何故、中国人労働者を使っているかというと、彼らは金を稼ぐためとはいえ本当に良く働くからだ。
同時に雇った中国人労働者(AさんとBさん)を違うラインに就け、例えばAさんの配属されたラインが、残業あり・夜勤ありといった忙しい職場で、Bさんの配属された職場が毎日定時か多少の残業しか無かったとすると、たちまちBさんからクレームが付く。「何で私もAさんのように残業あり・夜勤ありの職場に就けてくれないのか!」と。
だから、ゴールデンウィーク等の連休は「何とか出勤して働けないか」との要請があり、工場メンテ(工場内の安全通路のペンキ塗り)等をやってもらっている。
バブル時の忙しい時期に残業している人を見ると、皆んな外国人労働者だったケースもあった。
正社員は残業したくない、外国人労働者は残業したい、が表われていた。

外国人労働者は金を稼ぎに日本に来たのだから貪欲なまでに「働きたい」と思うのは当たり前なのだが、それだけではない。

彼らは「いい仕事をしなければ、仕事を続けさせてもらえない」「いい仕事をしなければ、高い賃金は貰えない」との観念があり、熱心に機械操作・仕事の手順・段取りを覚え、むしろ、正社員より仕事の内容を熟知している。

会社としては、この不況に、正社員は首に出来ても、彼ら(外国人労働者)を首に出来ない、頸にしたら工場生産に支障をきたす、といった、奇妙な状態になっている。
これもフリーターとか人手不足・労働力売り手市場が長く続いたための弊害ともいえるのだが、正社員から見た目の賃金差(手取り対比)で「何で中国人労働者に高い賃金を払うのか!」といった不満が出ることになる。

フランスやイギリスで起こった「外国人労働者排斥」騒動は、日本でも「簡単に」起こりえる状況だ。

政府の施政(悪政)の問題なのに「外国人労働者が我々日本国民の仕事を奪っているのだ」といった、弱者同士の争いにスリ変えられていく。

ファシズムの兆候である。

時の支配者層(政官財の特権階級)は、甘い汁を吸い合ってデタラメな政治を行ってきて、国民がそれに目が向きそうになったとき「外に敵を作り自分達の悪政から国民の目を逸らす」「弱者同士を争わせ、不満を支配者層ではなく、弱い相手に向けさせる」といった逃げ道をつくる。

士農工商の階級の他に、エタ・シュクといった等外特殊階級を作り、悪政に虐げられし者達(農民)の迫害対象とした。

(引用開始)
※格差社会の進行による精神の荒廃が心配だ。(猫の教室2007/12/09)
…この状況で私が不安視するのは、貧困に関する不満のエネルギーが、レイシズム(人種差別主義)や、貧困者同士の争いに向けられるという、精神の荒廃を招かないかと言うことである。

「貧すれば鈍する」と言う言葉が古くからある。今の国民に、非常に幼稚な体制服従・弱者蔑視の発言が多いことに驚く。
貧困者の怒りは自民党政府(当時、今のマスメディア始め旧体制派)にこそ向けられるべきであり、社会保障を充実させるリベラル的政策が求められる。…3年前のブログ引用終り

今日はここまで、またね。