無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

マスコミは国民の敵だ

2008年05月13日 | Weblog
日記が長らく途絶えたのは精神的に書く余裕が全く無くなってしまったからだ。それほど大きな問題がわが身に起こったからであるが、憲法記念日の憲法に関する記事と13日の道路特措法の再可決のマスコミの取り上げ方についての問題点は書いておかなければと思い、筆をとった。(=キーボードを打った)
その前に、今の政府・マスコミの論調の根っこ=財源不足について書いておく。
少し書かないでいると、書かなければ…と思うことがたまってしまい、まとまらなくなってきているが、今日から何日か掛けて思いつくまま書いて行こうと思う。

◎民主主義は悪しき制度である。しかし、今までの他のあらゆる制度のうちでは最もましである。(W・チャーチル)

無風注:ブレナム宮殿という大邸宅で生まれ、英雄主義的な考えをもったエリートのチャーチルにとっては、民主主義の考え方など“クソ喰らえ”であったはずである。その今までのどの制度よりはマシな民主主義と言う制度を日本国も採用している。

民主主義を採用している国(政府)の重要な役割は、国民から集めた財産(税金)を管理し、国民の福祉の為に公平に分配する事である。

その国家の“家計のやり繰り”を任された政府(政権政党)は、850兆円近い累積赤字を作ってしまった。これは国民や野党の責任ではなく、政府の責任である。政府は国民の負託を裏切ったことになるのだ。

何故、そうなったのか?
いま政府・マスコミが理由にしているのは「少子高齢化」による財源不足だ。だから、政府やマスコミは野党が反対すると、「財源はどうするのか?対案も出さずに、政権を取ろうと何でも反対している無責任政党」と非難する。
果たしてそうだろうか?
会社が赤字になった責任は社長以下経営陣にある、これは世間の常識である。
国が赤字になった責任は政府・政権政党にある、この常識がマスコミによって国民の目から隠され「財源はどうするのか!」と野党非難に向けている。

余談だが、日本はアメリカ軍基地の「思いやり予算」に13兆2000億円、また、戦争拠出金1兆3000億円、さらにアメリカ軍のガム移転費用3兆円と血税をつぎ込んでいる。この戦争拠出金1兆3000億円は他の国が指摘したように“消えてしまった「使途不明金」”の額と同じである。即ち、戦争には使われずアメリカの懐に入った金であり、これで「国際貢献が出来る」とか、これが「日本の国益に適う」使い道であるという。私には納得出来ない。…余談終わり

前の日記で、官僚制の欠点について書いた。

※1.官僚は必要も無いのに肥大化する。(仕事の量に拘わりなくどんどん数が増え続ける。)

※2.官僚の数が増えた分、必要で無い仕事が作り出され、無駄な仕事ばかりが増えていく。

■無風注:前の会社でISOを取得する時、Aという書類・記録が必要となって作成した。そういった記録の保管管理が必要となり、その管理手続きを書いたB書類が必要となり、見直ししたかのC記録、最新版であることのD記録、記録の一覧表E、書類の保管場所のF記録、等々、上手く言えないが、A書類管理の為のB書類、B書類保管に関するC書類、C書類点検の為のD書類、といった仕事が増えていった。官僚の仕事もそれと似通っているのではないか。ISOの場合、必要性があるのでまだマシと言えるが…。

※3.官僚制度の欠点の一つ…セクショナリズムにより、ムダが多発する。

道路整備によりデコボコ道を平らな整備された道にした。その道路を掘り起こしガス菅を埋め込む工事を行ない、後を整備した。その道路を掘り起こし水道管の交換を行ない、後を整備した。その道路を掘り起こし下水工事を行ない、後を整備した。…等々

昔から「日本国の道路はデコボコだらけで悪い道」といわれていたが、日本のように、つぎはぎだらけの道路は先進諸国に類を見ない。

※4.官僚組織では、与えられた年間予算(既得権益)は死守すべきものとされ、その予算(税金)を何が何でも使い切り、次年度に、より高額の予算を獲得することが至上命題となっている。(2007年12月20日の私の日記参照)

その日記を引用(読まれた方は「引用終り」まで飛ばして下さい。

(引用開始)
筆者は、厚生労働省関係に勤め、その内3年間経理課で働いた。
一言でいって、“湯水のような税金浪費”の毎日だった。

例1:「労働経済白書」を毎年刷るが、増刷の要不要に関わらず、毎年3月になると、予算消化の為、版が余っていて増刷不要でも増刷し、刷り上るとそのまま廃棄業者にお金を払って捨ててもらっている。

例2:経理課のパソコンと銀行のパソコンを繋ぐ事になった。
契約しているシステム管理のA法人に相談すると、4000万円位かかる、といわれた。
筆者は、いくらなんでも高過ぎると思い、別のシステム会社に相談すると、「市販の4万円弱のソフトを買うだけでいい」ということだった。
課長に言うと「でもA法人に頼まないわけにいかないでしょ?」と、4000万円で契約しようとした。
A法人は、元大蔵事務次官で当時衆議院議員だったA氏が理事長を務める財団法人で、財務省や各省の元事務次官たちが理事として天下っている。
筆者は、結局、A法人に市販のソフトの“インストール”を頼み、440万円を支払った。

例3:筆者はその部署に割り当てられていた年間予算60億円のうち、2億円を節約して国に返した。
褒められると思っていたら、逆に厚生労働省から「きつく叱られた」!!
「せっかく予算をとってやったのに、使い切らずに返すとは何事か!これでは来年の予算が削られてしまうではないか!」

例4:例3の翌年、経理課長は全職員にわざわざ“経理通達”を出した。
「今年は必ず、予算を使い切ってください。決められた予算通りでなくても、言い訳が出来るなら目的外使用でもかまいません」(名目をこじつけてでも予算(我々の税金)を使い果たせ!)
だから、年度末の3月になると、職員は予算消化に血眼になる。

例5:年度末には、庶務課員が「旅費が余っているから出張は無いか?」と聞いて回り、皆んなが“必要の無い出張”に出かける。
私(筆者)は、部長から「お母さんと旅行にでも行ってきなさい」といわれて現金10万円を渡され、本当に母と二人で九州旅行に行った。
「視察」と称して同僚とアメリカにいった年もあった。一人100万円を使って、観光・グルメ・ショッピングをした。

例6:何かと派手な、コネで入ったキャリア官僚の娘は、部長のお供で出張したとき、ナイヤガラの滝やヨセミテなど、アメリカ横断の国立公園めぐりをしている。

●これは、私の職場だけのことではない。どこの省庁でも同じである。

無風注:このあと、各省庁の2006年度の月毎の支出推移が図で示されていて、「どの省も3月の支出が他の月とは桁外れに多い」と指摘。

(引用続き)
決算月に纏めて払う支出する(工事代金を年度末に払う)といった理由もあるが、それだけではない、年度内の予算消化のためである。
各省庁の2月の歳出合計は一般会計だけで3兆円、それが3月になると18兆円に跳ね上がる。

[無風注:このあと他省のあきれかえる例が挙げられ、国土交通省・財務省等の3月支出の不要不急と思われる物品購入や工事がたくさんあった。と指摘]

役所が予算消化に躍起になるのは「ポストは予算についてくる」と言われ、予算(税金の分配)が増えるに伴い“管理職”や“天下り先”が増えるからである。

(無風注:政府はいま、道路関係の独立行政法人50社を半分に削減しようとしているが、それだけ無駄な税金投入先が現存すると言うことだ。)

3月のムダな予算消化をやめるだけで、消費税4%分(9兆円)の増税が免れる。
増税に走る前にやるべきことは沢山ある。…引用終り

■マスコミは道路財源の無駄遣いの小さな箇所(「温泉旅行」「マッサージチェア」等)は指摘するが、兆円や億円単位の大きなムダ使いを指摘はしない。

新しい資料があるのに、古い資料をもとに59兆円の道路予算を要求し政府はそれを「都度、検討していく」として通してしまった。前にも書いたように、道路予算は採算が取れる計画に対して割り当てられるものであるのだが、実態は下記の通りである。

(朝日新聞5月12日朝刊より引用)

地方有料道、6割が赤字 76%が需要予測下回る

全国の地方道路公社が運営する有料道路の約6割が、通行料収入では建設費を返済できない「赤字路線」となっていることがわかった。返済のために重ねた借金の処理で、最終的に多額の税金を投入することになる恐れが強い。ずさんな交通量予測に基づく道路整備が各地で続いている実態が浮かんだ。

全国39の地方道路公社に、それぞれが運営する有料道路の06年度の実績を取材し、計125路線のデータをまとめた。
有料道路は、道路特定財源などを原資とする国からの借入金や銀行からの借入金などでまかなった建設費を、完成後原則30年間の償還期間内に料金収入で返済し、以後は無料開放する仕組み。
計画交通量を達成できず、想定した通行料収入が得られないと、新たに返済資金を借り入れる必要があり、雪だるま式に借金が膨らむことになる。
各公社によると、06年度の交通量が計画に達しなかったのは125路線中95路線(76.0%)。うち23路線は経費節減で支出を抑えるなどして、建設費の償還計画を守ったが、72路線(57.6%)は、通行料収入では足りず、新たに銀行から借り入れたり、黒字路線による内部留保資金から充当したりして返済資金をまかなった。

交通量の達成率の全路線平均は81.9%。50%に満たなかったのは28路線に及んだ。…中略

…残る70路線は新たな税金の投入や料金徴収期間の延長といった方策が必要となる恐れが強い。

これまでに無料開放された64路線の中でも、29路線は当初計画通りに借金を返すことができず、地元自治体が補助金や負担金などの形で肩代わりし、その総額は500億円を超える。
借金が膨らむのを防ぐため、償還期間の途中で大規模な税金を投じ、借金を返済し無料開放した例も少なくない。…後略…記事引用終り

■今回の道路整備59兆円について

国土交通省の道路整備計画(予算請求)は国勢調査の「交通需要推計」により「費用対便益」(道路をつくる費用とつくったことによる便益・メリット)分析の結果が1より大きい、あるいは1.2より大きい(メリットがある)ものについてのみ採用し、事業を実施する計画に入れ予算請求する。逆に国交省では道路の整備は「費用対便益」が1より大きくないと実施できないことになっている。

今回の国土交通省の59兆円予算の申請は平成11年度の国勢調査による「交通需要推計」により「費用対便益」を算出し1または1.2より大きいとした金額であった。
ところが、申請の元になる「交通需要推計」は平成17年度に行なった国勢調査で、平成19年3月に更新されていたのだ。

つまり、新しい「交通需要推計」があるにもかかわらず同省は古い推計を元に59兆円を確保しようとしたのである。
国交省はこのことをヒタ隠しに隠していた。
理由は簡単。新しい資料では将来の交通需要(推計)が著しく下落しているからである。道路族が道路を造り続ける根拠が根底から崩れてしまう。

こういう行為を、普通は「詐欺」と呼ぶ。=騙して国民の税金を分捕るのであるから、国民に対する詐欺、裏切り行為である。

今までも「費用対便益」が1.0~1.2(=メリットあり)として作られた道路の6割が「赤字」で地方財政を逼迫させてきた。

年金もそうだが、こうした国による詐欺をマスコミは国民に問題提起しない。
時間が無いので、次回に続きます。

話は変わりますが、今回の道路特措法について以下の事を考えてみて下さい。

(新聞記事)
今後10年間、ガソリン税収を道路特定財源に充てる改正道路整備費財源特例法が、衆院で3分の2以上の賛成多数で再可決され、成立した。

これに先立ち、政府は、特例法の「道路財源制度の規定は、2009年度から適用されない」とする方針を閣議決定した。

「10年間」とする法律と、「今年度限り」という政府方針との間には矛盾がある。…記事引用終り

法律を成立させたのは「立法の府」=国会である。
その法律を「今年度限りである」としているのは、「行政の府」=政府である。

もう一度、60年前の文部省作成「民主主義」を思い出してほしい。

★政府(行政)が立法権を握ってしまえば、どんな政治でも思うがままに行うことができる。
議会は無用の長物と化する

マスコミはこの重要な日本国の問題について、一つもコメントしていない。
「憲法の規定に基づいて、2/3の多数で再可決されました」

★なんでも多数の力で押し通し、正しい少数の意見には耳もかさないという風になれば、それはまさに「多数党の横暴」である。

★多数決という方法は、用い方によっては多数党の横暴という弊を招くばかりでなく、民主主義そのものの根底を破壊するような結果に陥ることがある