私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「天地明察」

2012-09-27 21:19:06 | 映画(た行)

2012年度作品。日本映画。
代々将軍に囲碁を教える名家に生まれた安井算哲は、対局よりも星と算術に夢中になり、時間を忘れてのめり込んでしまう事もしばしばだった。ある日、会津藩主の保科正之から日本全国で北極星の高度を測り、その土地の位置を割り出す北極出地を命じられる。一年半の任務を終え、暦のずれが判明すると、今度は新しい暦作りの総大将に任命される。天体観測と数理解析を重ねた結果、幕府は改暦を帝に請願するのだが…。
監督は滝田洋二郎。
出演は岡田准一、宮崎あおいら。




原作が好きだからと言って、その映画化作品も好きであるとは限らない。
僕にとって「天地明察」は、そんな作品の一つとなってしまった。

なるべく原作のことを忘れて見たつもりだけど、それを抜きにしても何かが合わなかった。
僕個人の好みの問題なのだけど、やはり残念な話である。


物語は日本独自の暦をつくった安井算哲、後の渋川春海を描いた話である。

と書くと堅苦しいが、体裁は時代劇の形を借りた青春ものと言ってもいい。
算術に熱心で、好きなものには夢中になる性格の彼が、日本の暦をつくる事業へとやがては引き入れられていく。
そんな彼の挫折する姿や、目標に向けてまい進する姿を描いていると言えよう。

そういうストーリー骨子は悪くない。
にもかかわらず、僕がこの映画に入り込めなかったのは、単純に演出が合わないからだ。本当に僕の趣味だけど。


基本的にこの映画の感情表現や演出は過多である。

岡田准一は嫌いじゃないが、彼の演技はいちいちオーバーアクションで、そのせいか、安井算哲の感情に同調することができなかった。
岡田准一が苦悩しているのを見ても、ああ、岡田准一が苦悩しているんだね、としか思えず、いらだっているのを見ても、ああ岡田准一はいらだっているんだね、という以上の印象しか湧いてこない。
人は知らないが、僕には、安井算哲の感情が伝わってこず、どうも引いて見てしまう。

そのほかにも演出面に関して、言いたいことはある。
特に気になったのは、反対勢力に襲撃されたときの山崎闇斎だろうか。
多くは言わないが、どうしてああしたのか、僕には理解できない。もっとちがう描き方をしようと、誰も考えなかったのだろうか。


何かネガティブなことばかり書いているが、いい部分もある。
たとえば役者陣は豪華で、見応えはある。特に北極出地の二人はおもしろかった。
またなんだかんだ盛り上がるようにつくられているので、退屈さはない。

僕には合わない作品だったが、世評も高いようだし、好きな人は好きなのだろう。
そんなことを思った次第だ。

評価:★★(満点は★★★★★)


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