
2006年度作品。オランダ=ドイツ=イギリス=ベルギー映画。
1944年オランダ、ユダヤ人のラヘルはナチスの手から逃れるため、オランダ南部を目指すが、密告により家族を殺される。復讐のために彼女はレジスタンスのスパイとして諜報部将校に近寄るが…
監督は「氷の微笑」のポール・バーホーベン。
出演は「ネコのミヌース」のカリス・ファン・ハウテン。「ミッションブルー」のトム・ホフマン ら。
上質のエンタテイメントである。
物語は二転三転して予想外の展開が続いて飽きさせないし(ご都合主義的で、いくつかつっこみたい面はあるけど)、爆撃や銃撃戦といった派手なシーンも随所に盛り込まれており、観客へのサービス精神はきわめて旺盛である。演出の妙が際立った作品という印象だ。
戦争を舞台にした作品であるが、戦争映画というより、サスペンス映画といったほうがいいだろう。
罠にはめた人間は最後に明かされ、そのカタルシスは見事だし、ラストに若干戦争の連鎖を感じさせるシーンを入れる辺りが演出としてはなかなか憎い。
関係なく見えるかもしれないが、この映画を見ていて僕は「麦の穂をゆらす風」を思い出した。
たとえば被支配者だったオランダ人が、解放後、ナチに協力していたとはいえ同じオランダ人を糾弾するシーンがある。その構図はどことなく「麦の穂をゆらす風」を思わせる。
だが、本作ではそこはさらりとしか描かれず、主人公を悲劇に追いやる一エピソードというだけで終わっている。
もったいないと言えばもったいない気もしなくはないのだが、戦争が持つ悲劇を描くことではなく、観客を楽しませるというのが監督の姿勢ということだろう。
その姿勢と思いは映画から存分に伝わってきた。満足のいく時間を送ることができる見事な作品だ。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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・セバスチャン・コッホ出演作
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