垂拱三年（687年.持統元年）

二月再び突厥が入寇し、黒齒常之が撃退した。
五月武后の執政に反対した宰相劉禕之を殺した。
八月安南［ベトナム］で増税に対する叛乱が起こった。
九月虢州人楊初成が中宗の復位を図ると称して叛乱したが誅された。
十一月功臣李孝逸を流した。
十二月宰相韋待價が吐蕃を伐った。
この年は山東・關内が饑饉になった。

垂拱二年（686年.朱鳥元年）

正月武后は実権を睿宗に返還すると称したが、睿宗は懼れて辞した。
二月李敬業討伐の功労者李孝逸を貶した。
三月天下に広く密告を求め、酷吏を募集した。
六月宰相蘇良嗣が武后の愛人薛懷義を杖した。
九月突厥が入寇し、黒齒常之に撃退された。

垂拱元年（685年.天武十四年）

正月宰相劉仁軌が亡くなった。
二月再び武承嗣を宰相としたがまもなく罷じた。
三月人事の機密を漏らした宰相騫味道を左遷した。
突厥が侵攻してきたため淳于處平に伐たせが四月敗北した。
五月宰相王眞を流した。
十一月宰相韋待價に突厥を伐たせた。

嗣聖元年・文明元年・光宅元年（684年.天武十三年）

中宗は自分が皇帝だと錯覚し妻の一族を登用しようとして武后の逆鱗に触れ
二月廃位されて廬陵郡王に降された。
代わって豫王旦［睿宗］が傀儡皇帝となった。
三月廃太子賢を殺した。
四月廃帝を均州へ流した。
閏月武后の甥武承嗣が宰相としたがすぐ免じた。
七月突厥が朔州に侵攻し、程務挺が防いだ。
九月大いに武后の祖先を追尊した。
李勣の子敬業が揚州で蜂起した。
十月武后の政権奉還を説いた宰相裴炎を殺した。
十一月李敬業を誅し、乱は平定された。

永淳二年・弘道元年（683年.天武十二年）

二月から連続して突厥が侵攻してきた。唐軍は局地的とはいえ敗北が続いた。
高宗は重病で政務は表面的には皇太子が、実際は武后が行っていた。
武后は外交・軍事に暗く、失政が多かっため外寇を招き、
敗北を重ねていった。
十二月高宗は崩御し、皇太子哲［中宗］が即位した。

永淳元年（682年.天武十一年）

二月西突厥が侵攻した。
四月關中が饑饉のため東都へ向かった。
裴行儉が突厥を西域に破ったが途次に亡くなった。
岑長倩・魏玄同等４名が一挙に平章事［宰相］となり宰相の格式が低下した。
六月突厥が嵐州を侵し刺史が敗死した
河南・關内は水害と蝗が発生により饑饉となった。
七月萬泉宮など次々と離宮を造営した。
武后は零陵郡王明を自殺させた。
九月吐蕃が侵攻してきた。
十月長安に地震が起こった。

永隆二年・開耀元年（681年.天武十年）

正月突厥が北邊に侵攻してきた。裴行儉に伐たせた。
五月突厥に敗北した。
黒齒常之が吐蕃を破った。
七月武后の娘太平公主が薛紹家に盛大に降嫁した。
この夏、河南・河北では水害が頻発した。
閏月裴行儉が突厥を破り、阿史那伏念を降した。
朝廷は約を破りこれを誅した。名将行儉は憤激した。

調露二年・永隆元年（680年.天武九年）

三月裴行儉が突厥を破った。
七月李敬玄はまた吐蕃に敗北した。黒齒常之が代わった。
突厥がまた雲州に来寇した。
八月皇太子賢を廃位し、英王哲を皇太子とした。
賢が実子ではないとして武后に従順ではなかったためである。
宰相張大安が連座して流された。
十月曹王明等が太子に連座して降位された。
吐蕃に嫁した文成公主が亡くなった・

儀鳳四年・調露元年（679年.天武八年）

正月東都へ向かった。
建設した離宮が壮麗に過ぎたため、司農卿韋機が免官となった。
四月武后の寵臣明崇儼が暗殺された。
六月裴行儉が吐蕃と結ぶ西突厥を伐ち、九月これを破った。
十月突厥が叛いた、十一月裴行儉がこれを伐った

儀鳳三年（678年.天武七年）

正月百官・蠻夷酋長達を武后を光順門に朝した。
高宗は存命だったが実権は武后に握られていた。
劉仁軌の策謀で將才のない宰相李敬玄が吐蕃を伐つことになった。
九月新羅征討の議が起こったが、病身の宰相張文瓘が諫止した。
まもなく文瓘は卒した。
敬玄・劉審禮は吐蕃に大敗し、審禮は戦死した。
次年は「通乾」と改元するはずであったが中止した。

儀鳳二年（677年.天武六年）

正月長安に地震がおこった
劉仁軌が新羅との戦いに勝てず撤退してきた。
二月旧高麗王高蔵を朝鮮王に封じて新羅に対抗させたがやがて謀叛し流された。
旧百済の民も戻したが定着できなかった。
吐蕃との戦闘は続いている。
八月劉仁軌が吐蕃防禦に赴いた
西突厥が吐蕃と結び叛いた

上元三年・儀鳳元年（676年.天武五年）

二月新羅の圧迫により安東都護府を遼東故城へ撤退させた。
閏月吐蕃が隴右へ侵攻してきた。
劉審禮・契苾何力らがこれを伐った。
四月吐蕃に対応するため長安に戻った
九月将軍權善才等が誤って陵墓の木を切ったため流された。
高宗は死罪を主張したが狄仁傑に諫止された。

上元二年（675年.天武四年）

正月于閬國を都督府とした。
二月劉仁軌は新羅を破った。
戦闘は勝利のはずなのだが、なぜか新羅の謝罪を受け入れた。
三月高宗は病で武后に執政させようとしたが、宰相郝處俊に諫止された。
四月武后［天后と称す］は周王顯の妃を幽閉し餓死させた。
また子の皇太子弘を毒殺した。
六月雍王賢を皇太子とした。
七月武后は高宗の子杞王上金を免官削邑した。