94.8.28(Sun)
前の晩、結局旅の準備など出来ず、徹夜仕事明けに軽く飲んだ日本酒のために気がついたら眠ってしまっていた。
朝6:30頃自然に目が覚めたのでぼけぼけした頭で旅の準備をし始める。この時点でまだ行く先が決まっていない。
小一時間も行く先を考えあぐねて小笠原に決めた。しかし、下手すると船に間に合わないかもしれない時刻となっている。とりあえず、鞄に適当に詰め込んだ荷物を背負ってバス停まで急ぐ。
まだバスが来るまで3分位時間があると思ってコンビニで朝飯を買っているとバスがやって来た。そして目の前で行ってしまった。次のバスで駅に着いたらまた目の前で電車のドアは閉まった。柏発は8:38になった。10:00に船は出てしまう。間に合うのか?
浜松町の駅から竹芝桟橋までダッシュしたこともあって、息を切らせながらも9:40頃どうにかチケットを手に入れることが出来た。父島へ行ける。
しかし問題はまだ1つ残っている。帰りのチケット代を差し引くと2万円しか残らない。ここから宿泊料を差し引いたら、一日2千円で過ごさなければならない。父島には銀行がない。今から浜松町の銀行に行く時間もない。
うむ、今日は朝から絶好調である。(苦笑)
いろんな期待と不安を抱かせながら、客船「おがさわら丸」はどんよりとした海を泡立たせながらとっとと桟橋を離れるのであった。
船では最初ぶらぶら歩き回っていたが、ウッキウキの連中がうっじゃうじゃいるデッキは疲れるので、しばらくヒルネで過ごした。
16:00頃腹が減って目覚め、デッキに出る。
9月から発行予定の『海月通信』の構想を練る。
タルホを読んでメルヒェンに心和ませる。海の色が変わっていた。
夕陽を意識して眺めるのは1年ぶりかもしれない。
25:00。
21:00に床に就いたせいか夜中目が覚めてしまった。
タバコを吸いにデッキに上がったら月があった。下弦の月。周りには海とこの船しかないから月がすごくはっきりとしている。星は星座を結びきれないほどたくさんある。黒い海に月の光が銀色の帯を投げつけている。月と星は船に合わせて揺れながらどこまでも追いかけてくる。