アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

悟り後の修行・聖胎長養の狙い-5

2022-12-05 07:01:50 | 覚醒のアーキテクチャー
◎三つの要点により見仏は安定して不退転

本文。
『見には三つの要点があるが
智慧と慈悲の統合である修には
あらゆる菩薩に共通する行が伴っている
すべての仏陀たちに授けられれば
これより偉大な教えを見つけることはできないだろう

この教えは、リクパの内なる力である法身たる
テルトゥン(埋蔵経発掘者)により
超越的な洞察の深みからもたらされた
それは土や石でできた、どんな宝とも似ていない
なぜなら、それはガラップ・ドルジェの遺言であり
三つの伝達を介して伝承された、智慧の御心の心髄であるから
この教えは、私の真の弟子たちに託され、秘密として封印される それは意味深長にして、我が心髄なる言葉
それは私の心の言葉にして、きわめて重要な要点
この教えを、決して見くびってはならない!
決してあなたから逃してはならない!
これこそが、英邁にして光輝ある王の卓越した教え』
(ダライラマ ゾクチェン入門/ダライ・ラマ14世/春秋社P69-70から引用)

ガラップ・ドルジェは、ゾクチェン(大いなる完成)の始祖。

改めて三つの要点を挙げる。
第一の要点は、リクパそのものに直接導かれる。
※リクパ:母の光明(原初の光)。
第二の要点は、唯一これだけであると決定する。
※これとは、母の光明(原初の光)と子の光明とが合体した意識。
第三の要点は、湧きおこる思考の解脱をはっきりと確信する。

ダライ・ラマは、三つの要点とは、見仏である『見』から流れ出るもので、見・修・行に共通する要点でもあるとしている。
すなわち、見仏した後に期待される修行のこつとは、この三つの要点のことなのだろう。これにより、見仏は安定して不退転なものとなっていくのだろう。

ダライ・ラマの説明では、ゾクチェンでは、あらゆる存在の土台は、本質、本性、エネルギーの三元だが、本質とは空性(根源的清浄性)、本性とは色(自発的示現性)。ゾクチェンでは、特に本質、本性を強調するとする。
そこで、この文の作者であるパトゥル・リンポチェは、リクパを目撃すれば(見仏)、洞察が起こり、智慧は溢れ出して広がり、空性なる本性は慈悲として立ち昇ると説明している。ここにおいて、智慧は慈悲であるという説明が出てくる。

「英邁にして光輝ある王の卓越した教え」は、見仏もしていない未悟の修行者向けに書かれている体裁ではあるが、その内容は、見仏・見性・見神者の悟後の修行の内容とはこうしたものではないかと思われるデリケートな内容であると思う。
コメント
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