今夜は月が妙に赤い。
赤い月を見ると、僕がまだ、ゼロロと名乗っていた、レッドアサシン時代を思い出す。
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「私が憎いか?」
ジララ大尉は、僕の顔を見下ろしてこう言った。
ギラっと光る尖った手を、僕の頬のすぐ横におろす。
「逃げられると思うなよ、少しでも動いたら、お前は死ぬ…」
(こんな目に遭うなら、死んだ方がマシだ)と何度思ったことだろう。
だけど、今は死ぬことさえ、この人に許されるわけがないのだ。
毎晩僕は、ジララ大尉のオモチャにされていた。
負けるものか!と、僕はジララ大尉を睨み付ける。
だが、ジララ大尉は嬉しそうな顔で、僕を見下ろしたままだ。
「そうだ、ゼロロ。私をもっと憎めばいい。
そして人を愛するとか、思いやるなんていうムダな心を捨てろ!」
「そんなの、ただの人形じゃないか!!」
怒鳴りつけてやろうと思ったが、拘束されてるせいで思うように声が出ない。
「そうさ…お前はただの人形だ。
訓練の時も、今私にこうされている瞬間もな」
「くっ…」
確かに、好き勝手に動かれて、好き勝手に動かされてる今の僕は人形同然だ。
尖った指先で、顎を捕まれる。
「…その手で…殺してくれ…」
「ダメだ!」
やはり死ぬことさえ許されないと言うのだ。
「お前は優秀なアサシンになれる素質がある。
あとは心を捨てるだけだ。
戦場で躊躇いは命取りになる。
仲間さえも見捨て、裏切る覚悟が必要なんだ。
それが出来ず、敵を殺す前にお前を助けたが為に、ゾルルはあんな身体に…」
やめてくれ、聞きたくない…。
「心さえ捨てていれば、あいつは…」
「アサシンは、ムダに殺人を犯してはダメだ!ゾルルくんが悪いんじゃない!!僕のせいだ…」
「違う!あいつは、私の指示を無視してお前を助けに行った。
心がいかにムダなものなのか、あいつを見て思い知るがいい!」
凶器の手を、大きく僕の上に翳す。
「大丈夫だ…死なない程度に傷つけてやる…」
その時、第三者の声が聞こえた。
「ムダ…だ…」
シャキーンっと金属同士が擦れ合う音がする。
ジララ大尉とゾルルくんだ…。
ジララ大尉の凶器の一部が床に落ちる音がする。
「ジララ…今度ゼロロにこんなことしたら、コロす…」
そういうと、僕をヒョイと持ち上げ、こう言う。
「ゼロ…ロ、なぜもっと早く、言わなかった?」
君に二回も助けてもらいたくなかったから…。
二回目は、確実にジララ大尉に殺されると思ったから。
「まあいい…疲れてるだろ、運んでやるから寝ろ」
僕は君の冷たい金属に触れる度、
君の温かな優しさを知る。
Fin
【あとがき】
あの頃のアサシン組。
だけど後にドロロはゾルルを忘れてるなんてヒドい(爆)
本編とは何の関係もありません(当たり前だ)
ゾルドロの因縁をそろそろ書きたい(笑)
赤い月を見ると、僕がまだ、ゼロロと名乗っていた、レッドアサシン時代を思い出す。
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「私が憎いか?」
ジララ大尉は、僕の顔を見下ろしてこう言った。
ギラっと光る尖った手を、僕の頬のすぐ横におろす。
「逃げられると思うなよ、少しでも動いたら、お前は死ぬ…」
(こんな目に遭うなら、死んだ方がマシだ)と何度思ったことだろう。
だけど、今は死ぬことさえ、この人に許されるわけがないのだ。
毎晩僕は、ジララ大尉のオモチャにされていた。
負けるものか!と、僕はジララ大尉を睨み付ける。
だが、ジララ大尉は嬉しそうな顔で、僕を見下ろしたままだ。
「そうだ、ゼロロ。私をもっと憎めばいい。
そして人を愛するとか、思いやるなんていうムダな心を捨てろ!」
「そんなの、ただの人形じゃないか!!」
怒鳴りつけてやろうと思ったが、拘束されてるせいで思うように声が出ない。
「そうさ…お前はただの人形だ。
訓練の時も、今私にこうされている瞬間もな」
「くっ…」
確かに、好き勝手に動かれて、好き勝手に動かされてる今の僕は人形同然だ。
尖った指先で、顎を捕まれる。
「…その手で…殺してくれ…」
「ダメだ!」
やはり死ぬことさえ許されないと言うのだ。
「お前は優秀なアサシンになれる素質がある。
あとは心を捨てるだけだ。
戦場で躊躇いは命取りになる。
仲間さえも見捨て、裏切る覚悟が必要なんだ。
それが出来ず、敵を殺す前にお前を助けたが為に、ゾルルはあんな身体に…」
やめてくれ、聞きたくない…。
「心さえ捨てていれば、あいつは…」
「アサシンは、ムダに殺人を犯してはダメだ!ゾルルくんが悪いんじゃない!!僕のせいだ…」
「違う!あいつは、私の指示を無視してお前を助けに行った。
心がいかにムダなものなのか、あいつを見て思い知るがいい!」
凶器の手を、大きく僕の上に翳す。
「大丈夫だ…死なない程度に傷つけてやる…」
その時、第三者の声が聞こえた。
「ムダ…だ…」
シャキーンっと金属同士が擦れ合う音がする。
ジララ大尉とゾルルくんだ…。
ジララ大尉の凶器の一部が床に落ちる音がする。
「ジララ…今度ゼロロにこんなことしたら、コロす…」
そういうと、僕をヒョイと持ち上げ、こう言う。
「ゼロ…ロ、なぜもっと早く、言わなかった?」
君に二回も助けてもらいたくなかったから…。
二回目は、確実にジララ大尉に殺されると思ったから。
「まあいい…疲れてるだろ、運んでやるから寝ろ」
僕は君の冷たい金属に触れる度、
君の温かな優しさを知る。
Fin
【あとがき】
あの頃のアサシン組。
だけど後にドロロはゾルルを忘れてるなんてヒドい(爆)
本編とは何の関係もありません(当たり前だ)
ゾルドロの因縁をそろそろ書きたい(笑)