SPIDERS IN LOVIN' COOL

ケロロ軍曹(主にクルドロ)や、名探偵コナン(主に平和)の小説。
毎週土曜日は「今週のクルドロ萌え」を予定。

18.赤い月(ケロロ軍曹【ゾルル×ゼロロ←ジララ】)

2008-07-06 20:41:19 | ケロン人で30のお題
今夜は月が妙に赤い。
赤い月を見ると、僕がまだ、ゼロロと名乗っていた、レッドアサシン時代を思い出す。


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「私が憎いか?」


ジララ大尉は、僕の顔を見下ろしてこう言った。
ギラっと光る尖った手を、僕の頬のすぐ横におろす。


「逃げられると思うなよ、少しでも動いたら、お前は死ぬ…」


(こんな目に遭うなら、死んだ方がマシだ)と何度思ったことだろう。
だけど、今は死ぬことさえ、この人に許されるわけがないのだ。
毎晩僕は、ジララ大尉のオモチャにされていた。
負けるものか!と、僕はジララ大尉を睨み付ける。
だが、ジララ大尉は嬉しそうな顔で、僕を見下ろしたままだ。


「そうだ、ゼロロ。私をもっと憎めばいい。
そして人を愛するとか、思いやるなんていうムダな心を捨てろ!」

「そんなの、ただの人形じゃないか!!」


怒鳴りつけてやろうと思ったが、拘束されてるせいで思うように声が出ない。


「そうさ…お前はただの人形だ。
訓練の時も、今私にこうされている瞬間もな」

「くっ…」


確かに、好き勝手に動かれて、好き勝手に動かされてる今の僕は人形同然だ。
尖った指先で、顎を捕まれる。


「…その手で…殺してくれ…」

「ダメだ!」


やはり死ぬことさえ許されないと言うのだ。


「お前は優秀なアサシンになれる素質がある。
あとは心を捨てるだけだ。
戦場で躊躇いは命取りになる。
仲間さえも見捨て、裏切る覚悟が必要なんだ。
それが出来ず、敵を殺す前にお前を助けたが為に、ゾルルはあんな身体に…」


やめてくれ、聞きたくない…。


「心さえ捨てていれば、あいつは…」

「アサシンは、ムダに殺人を犯してはダメだ!ゾルルくんが悪いんじゃない!!僕のせいだ…」

「違う!あいつは、私の指示を無視してお前を助けに行った。
心がいかにムダなものなのか、あいつを見て思い知るがいい!」


凶器の手を、大きく僕の上に翳す。


「大丈夫だ…死なない程度に傷つけてやる…」


その時、第三者の声が聞こえた。


「ムダ…だ…」


シャキーンっと金属同士が擦れ合う音がする。
ジララ大尉とゾルルくんだ…。
ジララ大尉の凶器の一部が床に落ちる音がする。


「ジララ…今度ゼロロにこんなことしたら、コロす…」


そういうと、僕をヒョイと持ち上げ、こう言う。


「ゼロ…ロ、なぜもっと早く、言わなかった?」


君に二回も助けてもらいたくなかったから…。
二回目は、確実にジララ大尉に殺されると思ったから。


「まあいい…疲れてるだろ、運んでやるから寝ろ」


僕は君の冷たい金属に触れる度、
君の温かな優しさを知る。


Fin


【あとがき】
あの頃のアサシン組。
だけど後にドロロはゾルルを忘れてるなんてヒドい(爆)
本編とは何の関係もありません(当たり前だ)
ゾルドロの因縁をそろそろ書きたい(笑)