[アオリ波止釣り自己記録更新]
アオリイカ 雌 1580g。
日中で、針掛かりしたのが防波堤のすぐ近くだったこともあり、釣り上げるのに
それほど苦戦はしなかった。
ガツンときて、数分の格闘の後、海中にアオリイカの姿が見えてくる。
でかい。
なぜか二匹いる。
針に掛かったアオリのすぐ横につがいのアオリが連れ添っている。
ほぼ同サイズのアオリだ。
針に掛かったアオリに、寄っては離れ、寄っては離れしている。
求愛の行為というより、心配げに手を差し伸べようとしている感じだ。
あとで分かったことだが針に掛かった方は雌イカだった。
寄り添っている方が雄イカということになる。
雄イカは雌イカを助けようとしているようにも見えた。
雌イカが海面から上がる直前に、雄イカは雌イカの背に抱き着いてきた。
二匹掛かったのかと思った。
だが、海面に雌イカの体が浮かび上がると雄イカはスーと離れていった。
ギャフを掛けてアオリを引き上げる。
重い。
慎重に引き上げ、防波堤の上にドテっと落とす。
コロリと裏返って腹が上になる。
腹の中が透けて見える。
卵巣なのか、白子なのか、大きな白い器官が見える。
イカらしく表向きにひっくり返す。
大きい。
二の腕ほどの大きさだ。
1キロサイズは見慣れているがなにか異様に大きく感じる。
もしかすると1キロを軽くオーバーしているのかもしれない。
新記録かもしれない。
なのに、心から喜べなかった。
つがいの光景が頭に焼き付いて離れない。
嬉しさよりも切なくなってきた。
大海を泳ぐ、つがいのクジラの片割れを銛で突き刺したような気分だ。