QAZのつれづれ日記

  思いついたことを気ままにブログで

トレモロ考

2012年04月11日 | 音楽
自分の弾くマンドリンのトレモロを録音してじっくり聞いてみられたことがあるでしょうか。

リアルタイムで弾いているのを直接聞くのと一旦録音した自分の演奏を客観的に聞くのとでは大違い、私の場合録音の演奏は生と同じ耳で聞いているのにこれが自分のトレモロかとにわかに信じがたいほど、あまりの下手さ加減に愕然としてしまいます。

逆に言えば自分で弾きながら直接耳で聞いているときは、あたかも自分の耳に勝手に都合の良いフィルタをかけて心地良く聞いているということで、自分だけで弾いて楽しんでいる分にはこれで良くても、アンサンブルをしたり人に聞いてもらう場合、これが本来の音色だと思い込んでいるとしたらとんでもないことだということになります。

これではいけない、いったい自分のトレモロはどうなっているのだろうと曲を弾いて波形を取ってみました。
同じ音が長く続く二分音符の部分です。


これが私のトレモロの波形です。
横軸は時間、縦軸は音の強さを表しています。
左から右まで全体で3秒、山の一つ一つはトレモロのアップとダウンを交互に表わしています。
もう少し長い時間の平均をとって計算しますとトレモロの平均回数はアップとダウン、往復で1回と数えて1秒間に4.2回ほどになります。

トレモロの粒に関しては極力均一に弾いているつもりでも強弱にムラがあること、またアップに比べてダウンが強いことがこの波形から見てとれます。

これに比べて同じ曲でトレモロのきれいな人の波形を見てみますと、


トレモロの回数は1秒間に5.6回ほどで、やはりかなりきめが細かく、またトレモロの粒もなめらかです。


これは私のトレモロの周波数成分を現した波形で、第2絃の開放絃A音(442Hz)を弾いています。
横軸は周波数、縦軸は成分の大きさで、基音の442Hzのところに一番高い山があります。

横軸は対数目盛ですので、基音に対してオクターブである第2倍音、第4倍音、第8倍音・・・の高調波は等間隔に現われます。
第4、6倍音に対して第3、5倍音が強く表れています。
ほとんど楽器の特性が出ているものと思われます。

上記時間軸波形の結果から私のトレモロは上手な人のトレモロにくらべてかなり粗雑であることがわかりました。
これは大変な収穫です。

トレモロを速く弾くためには手首の回転振幅を最小限にして絃のない所で無駄な動作をしないようにすることを真っ先に思いつきますが、手の振りを小さくしますとその分音が小さくなってしまいますし、大きい音を出すためにはピックを強く握らなくてはいけませんから勢い絃の抵抗が増してトレモロが遅くなりがちになるというジレンマに陥ります。

トレモロを速く弾く練習にメトロノームを使う方法があります。
テンポ60くらいから始めて4拍子で、1拍にトレモロを4回正確に弾きます。
この場合トレモロは1秒間に4回弾いていることになります。
こうしてテンポを段々にあげて行き、それに合わせてトレモロも速く弾きます。

気を付けることはテンポが速くなってくると自分では1拍に4回トレモロを弾いているつもりでも録音して波形を取ってみますと実際にはそうなっていない場合があることです。
耳はかなりいい加減であることが分かります。

トレモロの細やかさも重要ですが、ピックの形状、材質、持ち方、絃への当て方、手首の動かし方等を工夫することでピックの擦過音を極力少なくし、トレモロの速さと粒を揃えることが美しいトレモロを実現するために大切なことと思います。

ただ、単なる高速性、均一性だけでしたら機械やソフトでもできることで、フレーズによる緩急と力の入れ具合が音楽を奏でる上で重要なことは言うまでもないことだと思います。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿