愛しきものたち

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旧室生村 大野の大黒天磨崖仏  

2013年09月20日 | 石仏:奈良

室生「大野寺」の、あの大弥勒磨崖仏に隠れるように有る大黒天の磨崖仏。

大野寺より見ると大磨崖の前を流れる宇陀川が大きくヘアピンカーブに蛇行、大磨崖の裏に隠れる辺り、川岸斜面に突き上げる様に立つ柱状節理岩に刻まれて居る。

屹立する柱状節理の中央岩の高さ5mぐらい、見上げるほどの位置に高さ2mばかり、上部に隅取りの有る角型を彫り下げ、中に蓮の葉に立つ大黒天を刻み出して居る。

一目見るなり・・・・あっ現代仏かと分かる代物。

下部には何やら銘の様な物が見えますが、刻み込んだものではなく、金泥などで書かれたらしく、すっかり剥げ落ち解読不能。

左下部に二行、「長慶寺普門発願  助工定吉」と、これはしっかり刻まれて居ます。

調べたところ、奈良市法蓮町に「長慶寺」を61歳にして建立したという、財産家の変わり者「吉村長慶さん」の発願した大黒天磨崖石仏だという事・・・・・・、この長慶さんは石仏好きで、この磨崖には「長慶寺普門発願」と刻まれ、長慶寺開基の大正12年以降に造立された様です。

因に以前紹介した「三郎岳の磨崖仏」も、この長慶さんの発願に依るものらしい。

しかしまあ、いくら金持ちとは言え、大正時代に磨崖仏を数多く造立するとは・・・・・。

撮影2012.2.22