愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

山口県防府市 阿弥陀寺三日月地蔵石仏

2012年12月13日 | 石仏:山陽

NET写真で始めてお目に掛かった時は下半身が剥離断裂し、どうにも痛々しい地蔵さんだと思っていた。

防府市街地より北東へ約5km弱、牟礼の太平山西南斜面に奈良東大寺別院「周防阿弥陀寺」が有り、こちらに来た「俊乗坊重源」が建久八年に開基した周防きっての名古刹として知られる。

重厚な茅葺き山門がなんとも素晴らしい景観を醸し出す。

そんな門前への参道傍らにあまり似つかわしくない地蔵堂が有り、奥壁に数体の石仏が並んで居る。

今でも信仰篤いのか堂内は綺麗に掃き清められ、供花や薫香も絶える事は無さそう。

問題の石仏は向かって中尊の左脇、大き過ぎる涎掛けが何枚も・・・・、おまけに赤い帽子まで着せられ邪魔をして居ます。

これでは何が何やら解りません・・・おまけに不釣合いな方形の複弁反花座に載っていますが元からこうだったのか??

ちょっと涎掛けを捲り上げると右足を上げ、磐座に半跏趺坐している。

左手は手首で断裂欠損・・磐座下方には何かと固定していたと思われるような枘穴・・・・。

もうちょと失礼をして帽子を失礼涎掛けも、もう少したくし上げました。

円頭光の上半部を欠損するが磐座に座する地蔵半跏趺坐像を一石で刻み出して居る。

高さ70cmと大きくはないが、穏やかに引き締まった尊顔の地蔵は「三日月地蔵」と呼ばれ、下の患いに 霊験あらたかと言われて居る。

背面部には南北朝後期の永和二年(1376)銘が確認されて居る。

地方仏とは言え、大和中央の息吹が感じられる像容の石仏です。

撮影2012.11.30