山形県の東南端、宮城県境近くの高畠町は石文化が豊かな古い土地、街の中心地に近い安久津八幡神社の境内には二体の磨崖石仏が残されて居る。
<参道最奥にある古式な茅葺き拝殿>
安久津八幡神社は、貞観二年(860)に慈覚大師に依り阿弥陀堂が建立されたのが始まりといわれ、明治の廃仏毀釈以前の姿をよく伝えていて境内には木造三重塔もそびえて居る。
石段脇に建つ、素朴な彫りで、まるで韓国のヘテのようにも見える狛犬。
境内参道右手脇には摂社の小さな祠が旗立岩と書かれた大岩の前に建ち・・・・
祠を挟んだ大岩の左右にそれぞれ一体づつの磨崖仏が刻まれて居る。
まずは向かって右手、大きな高畠石と呼ばれる多孔質な凝灰自然岩に、一辺約1mの方形を深く彫り窪め、阿弥陀坐像を厚肉彫りで刻み出して居る。
少し上向き加減でうつろに見える顔容、蓮座で有ったのか高い台座に結跏趺坐しているようにも見えるが、両手ともに腕先が欠損、印相は不明ながらも阿弥陀如来だとされています。
像高約60cm背面に線彫り斜光入りの二重光背背負っている。
片や祠の向かって左側の顔面にも同じ大きさでもう一体の磨崖仏。
こちら背面が大きくひび割れ、像容も右側のに比べると少し雑なようにも見えます。
像高約60cmと変わらず両手は膝の上で弥陀定印のような感じですが、異常に耳の大きいのが気にかかります。
やっぱり頭頂には肉髻(にくけい)が確認され、阿弥陀坐像なのでしょう。
因に江戸時代前期の寛文5年(1665)の銘が確認されているようです。
もしかしてと岩面中央の祠内も覗いてみたのですが石祠だけで何も刻まれていません。
この旗立岩がこの摂社の御神体なのでしょう。
撮影2012.9.16