この沖島を訪れたのはもう2年ばかし前、2010年の4月、島の桜も満開だった。
それより少し前の2月中頃、対岸の半島を走る県道から、手の届きそうな僅か沖に浮かぶ沖島を見て、暖かく成ったら一番に行こうと決めていた。
少し望遠で覗けば家並まで見え、何か未知の世界が待っているようで年甲斐も無くわくわくしてしまった。
沖島は琵琶湖の東岸、近江八幡市の沖合い約2kmに浮かび、日本では唯一の淡水湖に有る人の住む島です。
島は東西に約2.5km、南北約1km周囲約7km、現在所帯数は130軒ばかし、人口は350人程で主に琵琶湖での漁業を生業としている。
沖島へは、対岸の掘切新港より昼間、2時間に一本の割合で通舟が出ていて、約10分で島に着く。
先ず掘切新港に着き驚いたこと・・・・、駐車場には自家用車、港には小型舟がぎっしり・・・・、これらは沖島に住む人たちの足代わり・・・・・、島から外部に行くのも大変、家の前から車と言うわけには行かない。
島に着くとそこはもう別世界、島に着くなりその空気感にはまってしまう、対岸とは全く別の景観と別の時間が流れている・・・・勿論吸い込む空気さえ全く違ったもののように感じるから不思議だ。
とにかく不思議な世界、見慣れた車が無い世界と言うのはこういうものなのか・・・・・、殆ど機会音の無い世界、時間が思い切り緩やかに流れるような・・・
港前の魚協前に並んだ夥しい数の自転車・・・・島の移動手段はもっぱらチャリンコオンリー、自転車天国。
とにかく何処に行ってもこんな調子でにチャリンコばかしが目に付く・・・・それも道端に乗り捨てたように放ったらかし・・・
もしかして島民の数より多くの自転車が有るかも??。
まるで無防備そのもの、いたるところに道具や備品が乱雑に捨てられたように置かれて・・・・一体どれが誰の物やら、どれが使えてどれがゴミやら。
余りに平和といえば平和そのもの・・・普段見慣れた里山でもこんな事はない。
自転車天国で見かけた、たった1台の軽トラック、もし走るとしても走れる道は100m程だろうに??、良く見るとナンバープレートも無いけど・・・
そういえば此処には交番所も無かったような??
民家の外れまで歩いてみると懐かしい木造校舎の沖島小学校・・児童は11人、先生は8人(2011年現在)。
学校近くに在った野菜畑・・・、向こうに湖が見えなきゃまるで見慣れた里山。
平地が少なく狭い島ですが島内一周道路さえ無く、民家は一部の狭い場所に密集しており、狭い露路を挟んで軒を並べている。
勿論車など無いからこれで良いのだろうが火災にはどう対処するのだろう??消防車は無く消防艇は在ったようだが・・・。
艇庫が左端に・・・・向こうに見えるのは近江八幡の半島部。
島内の狭い道路は何のてらいも無く洗濯物が満艦飾・・あっけらかんとして、こんな景色に感動する。
やっぱり此処は漁業の集落、この島は観光地でもなければキャンプ地でもありません。
日常の暮らしがあからさまに目の前に ・・
路地より続く小高い斜面に建つ、深い歴史を持つ式内「奥津島神社 」
和銅五年(712年)に勅命を蒙った藤原不比等によって創祀されたと伝わる古社ですが、それ程の気配は窺えない。
近年境内はすっかり新しくなったような景観・・・。
境内から見下ろす家並は隙間無く建ち並び平地の少ない漁村そのもの、特別大きな家も無ければ、特別見劣りする屋根も見えない。
全く海の漁港と変わりない琵琶湖、沖島の船溜・・・・・
写真だけ見ている文にはこれが琵琶湖の小さな島の景色だとは・・・
訪れた時期だけのせいなのだろうか?少なくとも鄙びた片田舎の漁村ではなく、舟も新しく妙に明い。
紛れもなく此処は漁村、獲物のおこぼれを狙って大空を舞う鳶
同じようにおこぼれを狙う野良猫たちも多い。
とにかく此処はたった2kmばかり、対岸から離れた琵琶湖の島にしか過ぎないのに・・・・。
僕の好きな景観に僕の好きな時間の流れる空間でした。
撮影2010.2.13/2010.4.3