この石仏は今回の旅では一番の難所、麓の登山口から、山道を約2.2km、冠峰と呼ばれる八公山の峰の頂上に有る大岩を穿って造られている。
それこそ途中からは杖か手摺がないと登れないような石段が延々と続いて途中何回休んだことか。この日は前に紹介した「桐華寺薬師如来磨崖石佛」とこのカッパウィだけの予定、いくら時間が掛かろうと登る決心でいた。
此処は大都市「大邱(テグ) 」の観光地(ハイキングコース)の様に宣伝されているがその実、行政的には隣町「慶山市(キョンサン)」に位置し、そちら側の禅本寺からも登山道があり、その寺の石仏だと言うことです。
はじめチョロチョロ中パッパ・・・・取り合えず登山道も最初はこんな具合で整備の行き届いた緩やかな登り・・。
それにしてもこの人の多さには驚く、これがみなこの石仏に会いに行く人、遭ってきた人・・・・。
歩き始めて約40分くらい、そろそろきつくなって来た頃、目の前に現れる韓国独特のストゥパー、韓国の寺域などでは良く見かけるけど未だに固有名詞が解らない。
目の前の高い石垣上に冠岩寺の境内・・・此処で冠峰までの約半分、この境内を越えていよいよ本格的な山登りとなる。
ガイドには登り約1時間と書かれているが、僕は最初から2時間と踏んでいた。
この登りだもん、とても一気には登れません、こちとら足腰貧弱な日本の初老・・・・、10歩進んでは一息。
それにしても、ぞろぞろぞろぞろ・・・・人並みは絶えません。
一休みした山頂近くから見た景色・・・・真下に見えるのが慶山(キョンサン)側の禅本寺かも??
やっと辿りついて見た石仏前のそれなりの空間はところ狭しと人の波・・・・五体投地用の敷物と、まさしく石仏にぬかずく人達。
石仏の前には供物を売る店もあり、此処はやっぱり韓国仏教の今に生きる一大聖地なのかも??
此処で願いをすれば必ず一つは叶えられるとか??受験や恋愛成就のために登ってくる若者の多いのもうなずける賑わいです。
前置きが長く成り過ぎましたが・・・石仏石仏、どうもみんな真剣に祈っているようで、中々思うようには撮影が出来ませんが・・・・。
俗称カッパウィと呼ばれるこの石仏は冠峰頂上の岩塊から一石で彫りだしたもので、冠をかぶったような平らな自然石を頭上に載せている。
石仏は像高4mという巨大さ、左手上の薬壺は見当たりませんが、方形裳掛座上に座する薬師如来だとされていて韓国一の薬師如来聖地になっているようです。
正面岩越に見る尊顔はよく引き締まり厳しい表情で緊張感に満ちている。
背面に屏風のように立つ岩壁が光背の役割を果たすよう造られているのか??右手は膝上でいわゆる降魔触地印を示している。
新羅27代王である善徳女王の7年 (638)に造立したと伝わる古石仏ですが、やっぱり此処までは戦禍も届かなかったようで、時代を感じさせないほど見事な保存状態です。
韓国宝物第431号指定。
大きな白毫、切れ長の半眼、1500年もこの地でこれほど見事に残っているのは不思議なくらいです。
苦労して登った甲斐は充分にありました・・・ただ、この八公山中にはまだまだ見るべき石仏が何体も有るようですが、またの楽しみにして下山。
往復3時間やっぱしちょっときつかった・・・。
撮影2011.10.1