愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

京都府木津川市 市坂 動(ゆるぎ)観音石仏[画像追加再UP]

2011年10月01日 | 石仏:京都

 いつも通る走り慣れた道、ちょっと気になったので寄って新しく撮影してきた。

別段変わったことは何もないけど、木津町は周囲の街を合併して木津川市と成っている。

国道24号線は奈良県境の旧木津町で奈良公園を避けて大きく迂回するが、旧道は奈良坂をを越えて大仏殿の大屋根をやがて目の前にする。

 

木津町で、旧道に入ると直ぐの集落が市坂の集落で、この集落の終わる辺りの右手上方に小さなお堂が二つ並んで建っていて、右側のお堂が動(ゆるぎ)観音堂と呼ばれている。

左側のお堂には法然上人ゆかりの「念仏石」と「役の行者石仏」が安置されています。

扉にはいつも錠前が下ろされていて扉を開けられず、レンズを扉の格子に突き刺しての撮影ですが、中には端正な等身大の十一面観音石仏が安置されています。

舟形光背を背負う花崗岩製で左手に杓杖、右手には蓮花瓶を持つ、所謂長谷寺型十一面観音石仏です。

向かって右の光背面には大永4年(1524)の銘が有り、室町後期の造立。

この石仏は、奈良の春日山の奥で刻まれ、いろんな村から欲しいとやってきたが動かず、市坂の村人が動かしたら不思議と動いたのでここに安置したという伝説が残る石仏で、恥かむ様に微笑む顔容は美しい。

頭上の十一面もしっかり刻まれ、中央には阿弥陀立像の化仏も刻み出され、当初から堂内に祀られていたらしく、ほとんど風化摩耗も見られず当初の姿のままのようにも見える。

往時街道筋の寒村で有っただろうこの集落に、この石仏は立派すぎるような??

撮影2011.9.18