旧柳生街道を春日大社脇から登ってくると原生林を越え、石切峠の茶屋を越えるとなだらかな下りとなり、集落はずれの右手に小高い茶畑が見える。
昔はこの地蔵さんの前を柳生街道が通っていたらしく、この石仏は峠の地蔵と呼ばれていたようです。
だらだら登りの茶畑を登っていくと正面、周りを生い茂るススキの葉に囲まれて地蔵の他に石碑や六字名号板碑なども一緒に建っている。
地蔵石仏は高さ2m足らずの舟形光背を持ち、像高155cmの定型地蔵菩薩立像。
厚肉彫りで刻み出された顔容は穏やかで優しげ・・・・・台座に蓮弁は無く裸足です。
いかにも野の仏として似合いそうな顔つきで庶民的、どこかで見慣れたような・・・・。
錫杖や衲衣などの丁寧な造り、様式から南北朝期の造立だと考えられているようです。
ススキの葉陰に隠れるようにして如意輪観音の石仏さん。
勿論十九夜塔の石仏で文化十一年 (1914)の銘が有り江戸後期造立。
ここでも村の女性たちの賑やかな声が響いたのであろう・・・。
石仏さんに見送られ下る茶畑の向こうには木立に囲まれた青田が広がり、なんとも鄙びた里山の景観です。
撮影2010.6.27