愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

交野市 私市(きさいち)墓地の弘安地蔵

2011年04月11日 | 石仏:大阪

私市と書いて「きさいち」何とも難読地名です。

かの日本書紀にも私部と表記されていて「きさいちべ」と読み、后(きさき)のために仕事をする人たちが住み着いた土地だそうで古代歴史を秘めた古い土地です。

国道168号線はそんな私市から奈良生駒谷を縫う様に走る地方国道で、沿線には秘められた歴史の宝庫でも有ります。

国道168号線で大阪側から奈良生駒方面に向かうと街並みが途絶えて生駒の山裾が近づく辺り、左手の大きな墓地が私市共同墓地。

そんな私市墓地に大阪では在野に有って最古銘を持つ地蔵石仏が祀られていて、大阪府指定文化財・重要美術品に指定され、知る人ぞ知る存在となっています。

粗末なコンクリートブロックの祠に祀られ、弘安地蔵と名付けられた地蔵石仏は右手に錫杖を持たず、与願印を示し左手に宝珠をを持つ古式な地蔵立像です。

舟形光背の頂部は平に加工が施され笠石でも載せられて居たのだろうか??

蓮座上に立ち像高は約80cm厚肉彫りで刻み出されている。

かなりずんぐりな体躯は力強さが感じられ古様で光背左右には「弘安四年四月十五日立之」、「右ハ為二浄林浄雲一石作三郎」と銘が刻まれ鎌倉期の像立。

地元では「杖あずけ地蔵」と呼ばれ、一昔前までは人が亡くなると仏が生前使用していた杖、帽子、履物などをこの地蔵さんに預け、早く極楽に往生できるように願ったとか??

他にも古い小石仏がたくさんあって石仏好きの興味をそそる場所です。

撮影2011.4.5