愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

伊賀市青山町 別府(べふ)十王石仏

2011年02月23日 | 石仏:三重

三重県の中央部、あの伊賀市の南端部に青山と呼ばれる地域が在って、古くから伊勢と初瀬を結ぶ初瀬街道の街道筋にあたり、重要な交通の要所だったらしい。

ここには伊勢路と呼ばれる宿場町も在って江戸中期から明治に掛けては相当な賑わいを見せたようです。

大阪から伊勢に向かう近鉄本線はこの街道に並行するように走り、隣町の名張は大阪へのちょっと遠いベッドタウンとして開発が進み地域の様相も一変したようです。

そんな開発の波から少し外れた青山地域は比較的鄙びた街道筋の景観を良く残していて良くおとずれる処です。

近鉄青山町駅前ロータリー手前で東に向かう道路を200mも進むと別府(べふ)集落の入口と思しき辺り、野面道の左手、家並とは反対側の角地に粗末なトタン屋根の覆い堂があり、その中央にこの石仏が祀られている。

「足止め地蔵」さんと呼ばれるこの石仏は横長自然石の中央に閻魔大王、脇には五体ずつの十王を彫り刻み、その上にも自然石の笠石を載せたもので非常に珍しく又その姿も良い。

中央の閻魔大王は茎上蓮座に坐す坐像で歯を食いしばり口元は真一文字にむすび睨みを効かせているものの何処かおどけたような丸顔が何処か人懐っこい。

十王(じゅうおう)とは、道教や仏教で地獄において亡者の審判を行う十尊で、いわゆる裁判官的な役割を果たすことから生前より信仰し、その罪を逃れようとしたという・・・・。

石仏は風化摩耗も殆なく良く保存されて居て、人懐こい閻魔と共に十王も丸顔の親しみやすい面相・・・。

これなら近所の子供達からも親しまれているのではないだろうか???

元禄二年(1689)の銘があり、野面の覆い堂で長閑な石仏さんです。

撮影2008.11.30