豊能町役場から少し池田方面に進み,Uターンするように山手に入っていくと、農作業用の軽トラックが何とか通れるようなかなり細い林の中小道、しばらく分け入るとやがて竹薮の中の別れ道、その脇に車を捨てて、右手の道をほんの少し進むとこの磨崖石仏に出会う。
まさしく名前の通り「たぬきやぶ」の石仏さんたち、周りは竹薮に囲まれた小径の磨崖仏。
高さ1.6m、幅約4mの 山形をした自然石の表面中央上部に来迎阿弥陀を半肉彫りで中尊として、その右側に四体、左に二体。下段には十体の合掌坐像が半肉彫りで並べられている。
天正二年十一月二十八日の銘があって桃山時代の作。
単純な造作ながら地域性豊かで野趣いっぱいで、ほのぼのとした思いにしたらせてくれる。
しかし、石の表面はほとんど苔むしていて,風化も進み、またここまで足を延ばしてのお参りもないのか、花立の竹ずつも朽ち果てて見る影もない。
大和文化圏の石仏を見慣れた目には、少なくとも頼りなさを禁じえないのは仕方がない。
撮影10.21