紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「りら荘事件」鮎川哲也

2005年02月04日 | あ行の作家
事件が起こる前から“連続殺人事件”であることが
ほのめかされているというのは、どうなんだろう(笑)。
いや、結局カバーの裏とかにも書いてあるし、
もう既に、周知の事実ではあるのだけれども。
読む方だって、連続殺人事件だと分かっているからといって
それで興味が削がれるわけではないのですが、
でも、次の事件を予告されながらストーリーが進んで
いくのって、なんかやっぱりちょっと違うと思う(笑)。

鮎川哲也の長編は、実は「黒いトランク」以来。
ちょうど1年くらい前に読んだんじゃないかな。
言い回しが古いというのは、仕方ないし、気にもならない。
要はやっぱり中身、ということですね。

芸術大学の学生7人が「りら荘」に滞在したその日から
次々と起こる凄惨な殺人事件。最初の被害者の傍らには、
トランプのスペードのAが…。そして、次の悲劇に見舞われた
のは学生の1人。その傍らにはやはりスペードの2が…。

探偵は、もったいぶってはいけない(笑)。
かといって、間違ってばかりの探偵もヤだけど。
一つの事件ごとに、たくさんの伏線が張られます。
これでもか、これでもか、というように起こる事件。
それに比例して、ちゃんと伏線も見えている。
もちろん、それは解決をみてから分かることなのですが、
謎の解き方というよりは、伏線の張り方が上手いと思いました。


「りら荘事件」鮎川哲也