紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「400年の遺言 死の庭園の死」柄刀一

2005年03月10日 | た行の作家
最後の最後で震えましたね。
今回は“400年”で、これまでよりも歴史が浅い。
その分、ロマンというよりは生々しさを感じました。
これまでのような優しさもあまりなく。
でも、それをしっかり最後の数行でフォローしてある。
やるねー、柄刀さん(にっこり)。

400年の歴史を持つ、浄土真宗妙見派の龍遠寺。
歴史的建造物の警護を仕事とする蔭山は、庭師が首を
刺されているのを発見。庭師は、腕に抱えた寺の一人息子を
蔭山に託して息絶える。そこは4年前、庭師の息子が
溺死させられた場所でもあった…。

蔭山はずっと、庭師が発した「この子を、頼む…」という
言葉を胸に、この事件に対峙していきます。
それと平行して起こる、歴史事物保全財団の職員惨殺事件。
いつものことですが、一見関係ないようなことがらも、
すべて、事件解決と、歴史的謎の解明、そして登場人物たちの
物語のために、最終的には収まるべきところへキレイに収まる。
その収まり具合がなんともいえず、心地いいわけです。


「400年の遺言 死の庭園の死」柄刀一(角川文庫)