プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

小野泰敏

2017-03-20 12:22:58 | 日記
1970年

ことしでプロ生活四年目。昨シーズンはウエスタン・リーグで・323の好打率(リーグ三位)を残し、左打者という利点もあって一軍入りにあとひと息のところまでこぎつけている。みにくいアヒルの子の一羽だった小野の胸のあたりには、だからひとむらの白にコケがはえ始めたというわけだ。いきなり「なんてったって四年目ですからねえ。自覚しますよォ」ときた。自覚の現れが自主トレだ。郷里の行橋で走り、百道寮に帰ってからも和田教室でがむしゃらにがんばった。その成果が「からだが軽いんですよ。馬力がつきました。フリーバッティングでも、からだ全体でバシッと打てますからね」というベストコンディションとなって現れた。だから小野クン、もっか大いに欲を出してきたところである。「去年までと違って、ことしは最初から上(一軍)で通用するバッティングをやっているんです。いまから固めて、代打で一番勝負をやるつもりなのです」代打には2打席目はない。当たり前の話だが、小野クンの発想はここからスタートする。「だからフリーバッティングでも気を抜かないで打ってます。たとえ練習でも打てないとむしょうにくやしい。恥ずかしいと思います。気持ちが充実してきたのでしょうね」自分を見つめる目もかなりたしかなようだ。登録は外野手だが、キャンプではブルペン捕手もつとめる。「捕手はやめたはずだったけど、ボールに目をならすのにはピッタリだと思ってやってます」というから、なかなか重宝な選手だ。入団二年目から公式戦には何度かベンチ入りしたが、そのたびに「上との力の差を痛感させられて」二軍に逆戻りしている。「自分に腹が立ちますね。あんなときは・・・。親兄弟にすまないと思いました」実感だろう。「相手チームからはきらわれ、チームの中では後輩にしたわれる選手になりたい」というのが願いだが、171㌢、72㌔という体力の限界はわきまえており「雑草のように生きたい。そしてたとえ小さくてもいいから、ぼくなりの花を咲かせたい。それもすぐには枯れないような花を・・・」とつけ加えた。二十一歳の小野クンは、なかなかの詩人でもあるようだ。

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