土佐の高知にありがとう(Ⅲ)、プリティ
情報プラットフォーム、No.345、6(2016)
年の初めと大型連休に民放のBSJで「プリティ・ウーマン」が放映された。十数年前とは異なり2人で鑑賞した。なお、今回はタイトルを元の「土佐の高知にありがとう」に戻す。
プリティ・ウーマン (記: 2001/10/1)
去年の今頃は、退院してきたちえ子と一緒に、この我が家で月を眺めていました。今年(2001)のゴールデンウイークの頃には、一茶の「名月や 膳に這いよる 子があらば」を思い、名月の季節は来ないで欲しいと願っていました。(註:ちえ子の命日は2000/12/16)
去年(こぞ)見てし 秋の月夜(つくよ)は照らせれど
相見し妹(いも)は いや年さかる
と柿本人麻呂は詠んでいます。昨夜の高知には、大雨に関する注意報が出ていました。当然ながら、宵待の月は見えませんでした。
そんな土砂降りの雨の夜に電話が鳴りました。「映画『プリティ・ウーマン』を見たことありますか。世間的には、まったく不釣り合いなと感じさせる組み合わせのところが、私たちの場合と少し似ています。今そのビデオを見終わったところです。返すまで一週間ありますから、是非見て下さい」という彼女からの電話でした。「見ていません。でも、『マイ・フェア・レディー』の現代版のように思いますが」と答えました。
夜来の雨も午前中には上がっていました。仕事を終わっての帰り道、彼女のお店に立ち寄ってそのビデオを借りてきました。今日は中秋の名月です。座っている食卓から月は見えませんが、庭は昼間のように明るくなっています。ガラス戸に近づいて、軒先を見上げれば、月は煌々と輝いています。わずかに残っている雲に時々顔を隠します。少し左側が薄くなっているように感じられます。本当の満月は明日の十六夜の月なのでしょうか。
コップに注いだビールを呑みながら、ビデオのスタートボタンを押しました。リチャード・ギアとジュリア・ロバーツが主演と出てきます。10年前の映画です。プライドを傷つけられたまま、一週間の契約が終わり、報酬も受け取らず、憤然として高級ホテルを出ていくビビアン。フランス映画ならここで終わりです。そんなはずはない。でも、そうだとすれば、彼女は何を伝えたいのだろうと不安がよぎります。
イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガートの「カサブランカ」、グレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」などの別れを思い出します。ホットしました。「プリティ・ウーマン」はハッピーエンドのアメリカ映画でした。
見終わった丁度その時、「見ていますか。私の部屋から月が良く見えます」と電話がありました。「いま、『プリティ・ウーマン』を見終わったところです。月も見ています」、「如何ですか」。一緒ではありませんが、いま同じ月を見ている人が確実に居るのです。いま同じ映画を見て、感動を語り合える人がいるのです。この巡り合わせを作り出してくれた演出者に「有難う」を言いたいのです。そして、ちえ子さん、私たちを見守って下さい。
「私は今も山に登っています。私は高所恐怖症ではないのです。花束を持って非常階段を上がるとき、びくびくしないと駄目なのですか」、「デンタル・フロスを使っていますか」、「あれよりもっと大きい双発のジェット機しかないのです。ボーイング767型で我慢して下さい」、「ロータスでないのは残念だけど今度のドライブでは、私のレガシー・ランカスターを運転してください」,「ユニクロやダイエーには、最高級の得意さんとして丁寧に扱うよう話を付けておきましょう」などと冗談が次々と出てきます。
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