風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

磯鵯(イソヒヨドリ)

2015年09月26日 | 清水ともゑ帳
もう何年くらい前になるのか、5、6年、もっと前かもしれないけれど、
家の近くにとてもきれいな鳴き声をする鳥がいることに気がつきました。

どの鳥が鳴いているのか、空を見上げてみても、その姿がどうしてもとらえきれず……。
ネットで鳥のさえずりを検索してみるのだけれど、
それらしくも聞こえたり、そうでないようにも思えたり、不確かで。

ようやくわかったのが、今年5月。
さえずっている姿をカメラにおさめることができました。

羽の色や大きさで調べたところ、「磯鵯(イソヒヨドリ)」とわかりました。
名前のとおり、海や河川のあたりにいるそうで、
なるほど、巴川沿いを行き交っていたわけです。



鳴き声の主がイソヒヨドリと判明し、これまで以上に身近に感じていたところ、つい最近 時代小説の中にその名前を見ました。

梶よう子/著の『ことり屋おけい探鳥双紙』。
まぼろしの青いサギを求めて行方知れずになった夫に代わり飼鳥屋を営む主人公おけい。
鳥にまつわる事件を彼女が解き明かしていくという物語。



その店をよく訪れる曲亭馬琴は鳥好きで、カナリヤやイソヒヨドリを買っていったこともある……というようなくだりが。
江戸時代、イソヒヨドリが飼われていたとは。
いまも飼えるのかどうかわからないけれど、そんな昔に、人の暮らしと身近であったとは驚き。
本の最後、参考文献が記載されていたので、おそらく間違いないのでしょう。
カナリヤと並べて書かれているあたり、物語中の馬琴も、鳴き声の美しさに魅了されたのかもしれないと思いながら読みました。

今日も響き渡るイソヒヨドリの美声。
聞き入ってしまう