まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

遊子水荷浦の段畑

2018-03-30 23:30:45 | 風景
岩松からの続き。

前回の旅プランにも含めていた遊子水荷浦の段畑。
3年前に計画を立てたときには、車の運転がまだ不安だったし、宇和島からの陸路はかなり遠回りに
なるなぁと思って調べてみたら、宇和島港から周辺の島行きの定期航路が遊子へも立ち寄ると知ったのだった。
よし、これだ!!と、船好きな私としてはかなり楽しみにしていたのだったが・・・計画はパーに(涙)

今回、宇和島でレンタカーを借りたのはここへ行くことも考えてのことである。車の運転も慣れてきたし
くねくね山道も凍結していなければ大丈夫だろう、と考えていたら・・・
「案内しますよ、車をここに置いといて、私の車で行きましょう」
何と、ありがたいこと。。。
というわけで、慣れたジモティの運転で、唐草のような形をした三浦半島のリアス式海岸に沿って、スイスイ。
小さな入江の集落をいくつも過ぎ、枝分かれした岬の先端へ。

おお~っ!!目の前に縞模様の山が。この縞模様がすべて石積みの段々畑なのだ!!

うわぁ~~~、すごいなぁ!!

「船にも乗れますよ」
きゃ~~うれしい~!今回は時間の都合上、定期船でこの水荷浦に入るのは無理だったが、小さな漁船型の船に
乗り込み海から段畑を眺めるのだ。「段畑さの屋」さんの船、乗合いで一人あたり750円だけど今は私たちだけ。
貸切である。なんか申し訳ないほど安いなぁ~


突堤の外へ出ると、岬の全景が見えてくる。
明治初期ごろから三浦半島のいたるところで作られ始めた段畑は、平成になるころには2haほどに
減ってしまっていたというが、平成12年に地元有志により「段畑を守ろう会」が結成され、少しずつ
段畑を広げ昔の景観を取り戻していっている。平成19年には国の重要文化的景観に選定された。


この石積みの段畑はため息が出るほど美しいが、昔、水に不自由でとても貧しかったこの地域の人々が、
漁業と農業との二足のわらじで稼がないと生きていけなかった、苦しい暮らしの産物なのだとか。


海上は広々として、気持ちいい風。


ここは竜王島。ここで女人禁制のお祭りが行われるらしく、祠があり、縄で作った龍が置かれていた。

かつてはここにクレーン施設があったというがもう撤去されている。

養殖のいけすを見つつ、佐田岬半島が見えるという岬の先端まで行くが、霞んでいて見えなかった。
ぐるりと回って約30分ほどの海上散歩を楽しんだ。




陸に上がって、港に設置された観光用の食堂、だんだん茶屋で鯛めしの定食を。
そこの壁に昔の写真が展示されていた。山には木がなくまるで等高線のような段畑が岬の先端まで広がっている。
「昭和42年頃の水荷浦」のキャプション。う~~ん、すごい。。。


ランチ後は段畑に上ろう。港の中央に寄り添うように集まった民家のすぐ裏手から段畑は始まっている。


通路を歩くと、はるか上まで続く石積みが壁のように目の前に迫ってくる。このあたりは45度よりもさらに
急峻だろう。よくこんな構造物を作り上げたなぁ・・・


小さな石を山の上まで運び積み上げてこの畑を作る作業も大変だが、そこでの耕作もまた困難を極めた。
急勾配の斜面に作られた段々畑の水平面は実に小さく、幅が1m程度のところもある。


いったん畑に入れば、縦の移動はハシゴのみ。ここを行き来しての農作業は気が遠くなるような
効率の悪い作業だ。しかも、モノラックのなかった昔は天秤桶を肩にかついでの上り下り。
同じ投影面積の平らな畑ならどれほど楽なことか。それでも手作業でひとつひとつ石を積み上げて
作ったわずかな平地を耕すしか、ここで生きて行くには方法がなかったのだ。。。


段畑は苦しい生活の象徴的景観だったが今はすっかり観光名所となり、年間2万人の観光客が訪れる。
青い宇和海をバックに広がる段畑の壮大な景観は、ほんとに素晴らしく感動的だ。


今ここに植えられているのはジャガイモ。今年は気温が低くて少し育ちが遅いという話だったが、
温暖な遊子の段畑の早掘りジャガイモは絶品で、ブランド商品になっているのだとか。一度食べてみたいなぁ!




角ばった山の石が乱積みされている。一見不規則だが全体で見るときれいに揃っていて安定している。




美しいだけではない遊子水荷浦の段畑。人々の努力により歴史と景観が今に受け継がれている。


続く

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