まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

岩手旅 旧井弥商店など

2021-03-16 22:55:56 | ディテール
2020年3月の岩手旅の続き。



遠目に見えた廃業店舗のファサード、あれは何だ。


あぁやっぱりタイルだ!窓下に貼られた直径8センチぐらいの大きな丸タイル。
その上の面格子も含めて、かわいらしい一角だなぁ。


店は荒廃しているがタイルは埃をかぶっているものの変わらない美しさ。釉薬のかかり具合が
様々な表情を作り出している。こんがり焼けた大判焼かパンケーキのようで、なんかおいしそう♪


道端に座り込んで撮りまくり(笑)


そしてその向かいのタクシー営業所も素敵だ!突き出した半円柱型の事務所はタイル貼り。


壁に書かれた「中央タクシー」のレトロなフォント。停まっているタクシーの星型の行灯。
タクシー営業所って都会から地方まで、同じようなモダニズムな建物が多いが、標準設計があったのか、
それとも同じ時代に一斉に流行りのスタイルに建て替えた?なんでこんなにかわいいんだろう。


蔵造りの建物が見えてきた。案内板によるとこれは「旧井弥商店」という呉服問屋の店舗だった建物。
明治末期に建てられたが、1970(昭和45)年に火災にあって屋根が落ち修復されたらしい。
壁が黒いのは火事の跡・・・でなはく、黒漆喰塗り。漆喰に墨を練り込んであるので色落ちしにくい。
・・・しかしこれは補修時に上から塗装したっぽいな(苦笑)


井弥商店という屋号は、当主の村井弥兵衛の名前からつけられたようだ。
村井弥兵衛は盛岡の実業家で、呉服問屋から味噌醤油醸造業も営み、豪商となった。
その後盛岡銀行の頭取や数々の近代化産業の重役を務め、政界にも名を馳せた。


裏手に大きな蔵もあった。こちらは江戸時代に建てられたもので、現在はギャラリー兼喫茶店になっている。
朝から何も食べていなかったのでちょっと休憩しよう。。。


1階がギャラリーになっている。床の敷石は再利用だろうか。


蔵の中にある階段にしては珍しく洋風の曲がり階段がついていた。これはしかし改修でつけたのだろうな。




2階が「一茶寮」という喫茶店。ここにもいろんな古いものが展示されているので、注文の品が来るまでの間
うろうろして飽きることはない。
食べ物はトースト類しかないということだったがボリュームのあるトーストで小腹は満たされた。






この建物ははちみつ屋さん、藤原養蜂場。近寄ってみると純喫茶っぽい喫茶店も併設していて
ジェラートも売っている。


何!?「醤油チーズ」味だって!?つい今トーストを食べたとこだが、デザートに食べてみよう~~
その他にも、そば蜂蜜というのもあって、ダブルで注文。370円ですごい量!




喫茶コーナーに座って食べてもいいですよと言っていただいたのでゆっくりと味わう。
意外で風変りな組み合わせだが、この醤油チーズ味がなかなかおいしくて、くせになりそうな味!


食べ終わってまた歩いていると、ややっ、美しいなまこ壁の長~~い蔵を見つけた。
このなまこ壁の貼り瓦は茶色っぽいな!


近寄って見ると、レンガのような質感だ。焼け具合もいろいろで、赤れんがっぽい色から
焼きすぎレンガのようなこげ茶色まで、色幅のある貼り瓦をランダムにとりまぜて貼ってある。


途中で増築したのだろうか、中央あたりから使われている貼り瓦の種類が違っているな。
こちらも素焼きっぽい質感だが対角線に溝が入っており、中央には釘穴がある。
盛り上げた「なまこ」部分の目地は細め。


この地方の蔵は角部分だけ高いところまでなまこ壁にしているのが特徴だ。建物の角の補強のためだろう。


貼り瓦は光原社の建物の入口に敷かれていた平板と同じような材質に見える。
表面にうっすらと釉薬が掛かったような艶のあるものは、自然釉だろう。
しかし、いずれも焼き締めが甘いのか、貼り瓦はもろくなっているようだ。


焼き物が水分を吸った状態で凍ると体積が大きくなるので内側から破壊されてしまう。
寒冷地である東北地方には、吸水しない施釉瓦が瀬戸から運ばれ流通していたと聞く。
現地では耐水性のある瓦を焼くことのできる窯がまだなかったのだろうか。


もろくなって表面がぼろぼろ剥がれ落ちた貼り瓦。もう土の塊に戻っている。


この横で子供がボール遊びをしていた。なまこ壁にもボールがバンバン当たる。
お~い、なまこ壁を傷めないように気を付けてね~~(汗)

続く。

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