劇団ぷにぷにパイレーツ座長日記

劇団ぷにぷにパイレーツ座長・石崎一気が、演劇、パントマイム、音楽等、舞台芸術の情報を、毎日発信!

ゼロ・ダーク・サーティ

2013-03-08 07:13:41 | 映画
今の段階で断言しても大丈夫だと思います。
今年の映画ナンバーワンは、「ゼロ・ダーク・サーティ」です。
これを上回る作品が年内に公開される可能性は、まずないでしょう。

2003年、パキスタンにあるCIAの部署に、情報分析官マヤが派遣されてくる。
捕虜の拷問に最初は目を背けるマヤだが、次第に、そんな状況に慣れて行く。
やがて、ビンラディンの連絡員と思われる男、アブ・アフメドの情報をつかむマヤだが、なかなかその尻尾をつかむことができない。
手詰まりになって行く中、CIA局員を狙った自爆テロが発生。
同僚の死を受け、マヤの心の中の何かが大きく変わる。
そしてマヤはアブ・アフメドを発見する。
はたしてビンラディンの居所はつかめるのか…?

「ゼロ・ダーク・サーティ」は、「ハート・ロッカー」でアカデミー賞監督となったキャスリン・ビグローの最新作になります。
前作同様、アメリカが今まさに直面している戦争が描かれています。
9.11テロから10年が経ち、人々のビンラディンに対する記憶も薄れようとしている2011年5月1日。
アメリカのネイビーシールズが、ビンラディンの隠れ家を急襲し、殺害する事件が起きましたた。
その裏には、ひとりのCIA女性分析官の功績があったのです。
「ゼロ・ダーク・サーティ」は、分析官マヤがパキスタンに赴任してから8年間掛けて、ビンラディンの隠れ家を探し出す過程をリアルに描いています。

ビンラディンが殺害されたのは、東日本大震災から2カ月も経っていない時期でした。
世界的な大ニュースながら、日本では、あまり詳しく伝えられなかった記憶があります。
それ以前に、タリバーンの実状を、日本人はほとんど理解できていません。
そういった意味で、この映画には、日本人が学ぶべきことが沢山描かれているんですよ。
ビンラディンが隠れていた場所が、まさか、あんな場所だとはまったく思ってもいませんでした。
(てっきり、洞窟で殺害されたものだと、誤解していました)
また、無差別自爆テロの恐ろしさを、改めて、体感することも出来ました。
中東情勢は勿論、21世紀のアメリカの変遷を知る上でも、非常に役立つ映画だと思います。

しかも、映画の出来が抜群に良いのです!
豪華なCGを使ったアクション・シーンなどは、ほとんどありません。
しかし、これほど手に汗握る緊張感溢れる映画は、滅多にありません。
エンタテインメント作品としても、超一級品です。
特に、映画のクライマックスとなるビンラディン殺害シーンは、まるでドキュメンタリーのように再現されています。
自分が、兵士になったような錯覚に陥ること、間違いありません。

上映時間2時間45分の大作ですが、長さはまったく感じません。
残虐な映像が苦手な方にはお薦めしませんが、映画好きの方なら必見だと思います。
映像の出来が抜群ですので、DVDでは勿体ない!
是非、劇場でご覧下さい。