「総額はいくらだった?」
「一万八千フランで、半分は前金、残りは配達時に、ということでした」
「その二度目の支払いをしたのは誰だ?」
「召使いだそうです」
「その室内装飾業者にはどんな名前で注文していた?」
「ジェームズ・ウィルソンと名乗っていたそうです。しかしレッシュが言うには、イギリス人には見えなかった、と」
「住まいの場所は?」
「家具一切が運び込まれた場所はサンラザール通りXX番地の小ぶりの邸です。ル・アーブル駅近くの」
それまで心配そうだったルコックの顔に喜びが漲った。敵を打ち負かす作戦が成功するのを目の当たりにした指揮官ならば当然持つような自己満足を彼は感じていた。彼は意気揚々とプランタ親爺の肩を親しげにポンと叩き、ただ一言だけ言った。
「捕まえましたよ!」
しかし、パローは首を振った。
「それがどうも怪しいんで」
「どういうことだ?」
「お分かり頂けると思いますが、住所は突き止めた、まだ時間はある、っていうんで、私はその場所に行ってみたんです。その邸に」
「それで?」
「その家の借り主は確かにウィルソンという名前の男ですが、写真の男とは違うんです。確かなことです」
プランタ親爺はがっかりした様子を見せたが、ルコックはそう易々と失望はしなかった。
「どうしてそう言えるんだ?」と彼は部下に尋ねた。
「召使いと話をしてみました」
「なんということを!」プランタ親爺が叫んだ。「警戒心を持たせたかもしれぬではないか!」
「その点は心配ご無用です」ルコックが答えた。「私が責任を持ちます。パローは私が仕込んだ男ですからね。話してくれ、パロー」
「それで私は、こう思ったんです。これは何とも瀟洒な家だ。家のたたずまいは分かったが、果たして敵はちゃんとその中に居るんだろうか? どうすればそれが分かるか? 幸運にも、私はその時たまたま一ルイ金貨を持っていました。それで時を移さず、私はその金貨を道路わきの側溝に通じている水路の中に滑り込ませました。その邸の排水用水路です」
「それから呼び鈴を鳴らしたんだね?」
「一万八千フランで、半分は前金、残りは配達時に、ということでした」
「その二度目の支払いをしたのは誰だ?」
「召使いだそうです」
「その室内装飾業者にはどんな名前で注文していた?」
「ジェームズ・ウィルソンと名乗っていたそうです。しかしレッシュが言うには、イギリス人には見えなかった、と」
「住まいの場所は?」
「家具一切が運び込まれた場所はサンラザール通りXX番地の小ぶりの邸です。ル・アーブル駅近くの」
それまで心配そうだったルコックの顔に喜びが漲った。敵を打ち負かす作戦が成功するのを目の当たりにした指揮官ならば当然持つような自己満足を彼は感じていた。彼は意気揚々とプランタ親爺の肩を親しげにポンと叩き、ただ一言だけ言った。
「捕まえましたよ!」
しかし、パローは首を振った。
「それがどうも怪しいんで」
「どういうことだ?」
「お分かり頂けると思いますが、住所は突き止めた、まだ時間はある、っていうんで、私はその場所に行ってみたんです。その邸に」
「それで?」
「その家の借り主は確かにウィルソンという名前の男ですが、写真の男とは違うんです。確かなことです」
プランタ親爺はがっかりした様子を見せたが、ルコックはそう易々と失望はしなかった。
「どうしてそう言えるんだ?」と彼は部下に尋ねた。
「召使いと話をしてみました」
「なんということを!」プランタ親爺が叫んだ。「警戒心を持たせたかもしれぬではないか!」
「その点は心配ご無用です」ルコックが答えた。「私が責任を持ちます。パローは私が仕込んだ男ですからね。話してくれ、パロー」
「それで私は、こう思ったんです。これは何とも瀟洒な家だ。家のたたずまいは分かったが、果たして敵はちゃんとその中に居るんだろうか? どうすればそれが分かるか? 幸運にも、私はその時たまたま一ルイ金貨を持っていました。それで時を移さず、私はその金貨を道路わきの側溝に通じている水路の中に滑り込ませました。その邸の排水用水路です」
「それから呼び鈴を鳴らしたんだね?」








