エミール・ガボリオ ライブラリ

名探偵ルコックを生んだ19世紀フランスの作家ガボリオの(主に)未邦訳作品をフランス語から翻訳。

第十三章 1

2018-09-11 10:34:22 | 他人の金
「ああ、お前は立派な妹だ、ジルベルト」彼は叫んだ。「僕が今までしてきたことはまさにそういうことだった。お前の言葉はきついけれど、それこそ真実だ。お前の勇気に感謝するよ。おかげで僕にも勇気が戻ってきた。お母さんやお前をいいように利用してきた僕は卑怯者だ……」
それから母の手を取って自分の唇に近づけ、こう言った。
「どうか誓わせてください」目に涙を一杯溜めて彼は続けた。「過去を悔い改め、これからはお母さんの重荷になる代わりにお母さんを支えていくことを……」
彼の言葉は階段を上がって来る足音に遮られた。そして鋭い口笛に……。
「あの人だわ!」ファヴォラル夫人が叫んだ。「あなた方のお父さんよ!」
「だからどうだっていうの?」ジルベルト嬢が冷やかに言った。
「あなた聞こえないの? あの人が口笛を吹くとき、それはあの人が物凄く腹を立てているときだってこと忘れたんじゃないでしょうね! これ以上、どんな試練が降りかかってくるのかしら!」


第十三章

ファヴォラル夫人の言葉は経験から出ていた。夫が口笛を吹くときは、カモメの叫び声よりももっと確かに嵐の到来を予兆しているということを、彼女は経験から学んだのだ。そして今夜の彼女には、いつもよりもっと不安になる理由があった。
この日、ファヴォラル氏は日頃の習慣に背き、夕食には帰宅しないので自分を待たないように、という伝言を信用金庫の下働きの少年に言いつけたのだった。
やがてファヴォラル氏の鍵を回す音が聞こえ、ドアが開かれ、彼が入ってきた。息子を見ると彼は言った。
「おお、お前がいるとは好都合だ!」彼はせせら笑いをしながら叫んだ。これは彼にあっては、最大級の怒りの表現なのである。
ファヴォラル夫人はぞっと身震いした。マクサンスは、たった今繰り広げられた場面の余韻が残っていたので、まだ目に涙を溜め、何も答えなかった。
「これはまさにゲームなんだな」と父親は言葉を続けた。「お前は私の忍耐力がどこまで続くか、その限界をどうしても知りたいというわけなんだな」
「どういう意味なのか僕には分かりません」と息子は口ごもりながら言った。9.11
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