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    by ぷーどる♂ & ぷーどる♀

腐生植物(菌従属栄養植物) ~ツチアケビ~

2021-06-18 09:26:38 | ぷ♂の日記
この時見惚れていた巨大な古木。

DSCN4905.jpg

その足元でキノコなどを見つけ喜んでいたのですが、
実はその本緒根元にもっ珍しい植物を見つけては、
私一人で大興奮していたのです。

それがこのラン科の植物、
DSCN4907.jpg
ツチアケビ

何とも変わった見た目でしょう?
じつはこれ近寄ってみるとさらに奇妙なことに気づきます。

DSCN4907c.jpg
葉っぱがないし、全く緑色でない!

じつはこの植物は、花も種子もつける被子植物であるにもかかわらず、
葉緑素を持たず、光合成せずに生きている植物なのです。
いわば、キノコやカビといった菌類の様な生活。
ですので、当然生きるのに必要な養分は他のなにかから得ることとなっており、
以前は、それが有機物を分解(腐敗)させて得ている菌類と同様であろうと考えられていたため、
「腐生植物」と総称されることとなりました。
ですがその後、自身で養分を分解する能力がなく、
むしろ養分分解を菌類に任せたうえで、その菌類に寄生して養分を摂っていることが判明。
ですので最近では「腐生植物」と呼ばず「菌従属栄養植物」と用ぶようになってきております。

実はほとんどの植物もその根に特定の菌を宿し光合成により得た有機物を菌に与え、
菌はその見返りに無機物(ミネラル)を提供するという共生関係にあります。
ですが腐生植物は菌から養分を奪うのみで何も与えない寄生の状態。
普通このような状態は、菌が嫌がり成立しないのですが、
「栄養分を与えるよ~♪」
という偽のサインを出して菌を欺き、ちゃっかりと寄生関係を続けているのだとか。

また、各々の種類により寄生する菌類も決まっているため、
該当する菌類のいない土壌では、いくら種子を撒いても生育できません。
だから、見られる場所としては原生林や放置された木々の朽ち場などで、
人の手の入ってた場所ではまず見ることができません。

余談ですが、ラン科の植物は緑の葉を持ちきちんと光合成するものもありますが、
そのほぼすべてが大なり小なり腐生でありますので、対となる菌類がないと生育できません。
そこが「ランの栽培はむつかしい」と言われるゆえんなのです。
また、ラン科の種子がやたら細かく数が多いのも、
未熟な胚ゆえに、即菌類と結びつく必要があるからなのです。

更に余談となりますが、実は、一部ではよく見かけられるネジバナも、似たような感じで、
芝生やほかの鉢植えなどと一緒だといいけれど、単体での栽培が非常に困難。
これはつまり、自己の光合成のみではなく、
併せてほかの植物から養分を摂らねば生きていけないということで、
ある意味腐生植物的であるともいえます。

さて、こんな腐生植物って何とも奇妙で面白く思いません?
私は子どもの頃から興味を持っており、
「いつかこの目で実物を見たいものだ。」
と常々そう思っていたので、今回は非常に嬉しかったのです。

なお今回のツチアケビはその名の通り、
秋になると、結構大きなまっ赤なアケビに似た実ををつけるので、
その頃もう一度見に行かねば!
(実は香料のバニラと近縁なのでよく似た実ですが、香りは全然違うそうです。)

そうそうこうなれば、腐生植物界のスターであるギンリョウソウ(銀竜草)もぜひ見てみたい!
これは別命ユウレイタケ(幽霊タケ)と、も呼ばれるほど、不思議な姿かたちをしており、
何よりとてもきれいなのですよ。
ですが種子の拡散にとあるゴキブリとの共生関係にあることから、
「ゴキブリに種をまいてもらっている。」と嫌われたりも。
でも、ここで活躍するゴキブリは森林性のもので、
見た目は似ていても家に出る害虫のそれとは全く無関係。
ずっと森の中で静かに暮らしているゴキブリなので、
もし見かけてもいじめないでやってください。


**追記**

この記事を書いていて、確か以前博物館でこいつの再現模型を見た記憶があり、
過去の画像ファイルをざっと調べてみた結果ちょうど撮影したものがありました。
非常に分かりやすいので、キャプションを書き起こし掲載しておきます。
(模型は赤い実をつけた状態のものです)

DSCN0176.jpg
ナラタケの栄養を奪うツチアケビ(再現模型)

赤い実をつけるツチアケビの地下には意外なほど太くて白い根が広がっています。
その根の所々に黒い針金のようなものが刺さっています。
これがナラタケの根状菌糸束と呼ばれるものです。
ナラタケの菌糸はツチアケビの根の中に入り、菌根を作っておりますが、
通常の植物での菌根共生とは異なり、根の中で菌糸は溶けてしまいます。
ナラタケが生えた枯れ木の中にも、びっしりと菌糸束は広がっています。
枯れ木を分解して得た栄養で、ナラタケはきのこ(子実体)をつくりますが、
同時にツチアケビを育てていることにもなるのです。
コメント
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