メルセデスベンツ C200(S203)です。V350をYANASEに整備に出した際に、代車で来た車両です。実家でW203を所有していたので、何となく馴染のあるモデルです。今となっては完全に旧式になっていますが、現在のモデルに比べて、質実剛健な作りが好印象です。究極の実用車であるメルセデスらしいのは、旧式モデルの方なのかもしれません。まぁ、このS203も、デビュー当時には軟弱になったと揶揄されたものですが、今見てみると、決してそのようなことはありません。
↑ フロントビューは、当時としては非常に斬新でしたが、今では保守的と言えるものです。あまり古さを感じないのは、オーソドックスなデザインだからかもしれませんね。
ボディーサイズも、現行型よりも一回り小さく、コンパクトで扱い易いものでした。近年大型化が進んでおり、使い勝手がスポイルされています。デカくすれば当然居住性は向上しますが、取り回しは犠牲になります。最小回転半径は同等レベルを維持していますが、実際のボディーサイズは狭い場所では如何ともしがたいです。現行Cクラスは、この頃のEクラスとほとんど同じ大きさになってしまいました。
↑ サイドビューです。やや後方からです。こうして見ると非常にシャープで、空力も良さそうですね。
↑ リアビューです。すっきりとしたデザインです。これ以前のメルセデスは、かなりいかついデザインでした。威圧感があり、周囲を圧倒する存在感でしたが、この辺りから、すっきりと洗練されたデザインにシフトしたイメージがあります。実際、メルセデスも身近になりだした頃ですね。
↑ リアビューをもう一枚です。前の写真の翌日に撮影しましたが、雨が降っていました。
↑ トランクを開けたところです。丸みを帯びたガラスハッチ部分が、ガッツリ開いて、荷物の積み下ろしも楽そうです。
↑ トランクの容量は、それ程大きなものではありません。しかし、フラットで非常に使い易そうです。まぁ、通常の使用ならば、この容量でも十分過ぎるくらいですね。
↑ 運転席のドアを開けてみました。シートの座面が長く、ひざ下までしっかりとサポートしてくれます。以前所有していた、E240(W210)より一回り小さめな印象ですが、座り心地は決して悪くありません。シートの作りは、現在のモデルよりも、この頃のモデルの方が良かったように思います。
インパネも質実剛健で、実用的なものです。煌びやかさはありませんが、それが良いと思います。必要なものは全て揃っていますし、スイッチ類の配置も良く考えられていて、ブラインド操作もしやすいです。それもメルセデスの考える安全性の一部でした。今でもそうした哲学は受け継がれているようですが、見た目が派手になり過ぎていて、個人的には好みではありません。もう少し落ち着いた雰囲気にして欲しいです。
↑ 助手席側のドアを開けてみました。開口部も十分で、乗降性もまずまずです。
↑ 後部座席のドアを開けてみました。レッグスペースも必要十分な広さを確保しています。ボディーサイズが小さいので、さすがに横方向の余裕は少ないですが、標準的な日本人の体格ならば、過不足無いと思われます。
↑ 運転席側の後部ドアを開けたところです。まぁ、足を組めるというレベルではありませんが、必要十分な空間だと思います。この頃のCクラスは、日本での使用を考えると、ベストマッチだったように思います。
↑ コックピットです。計器類の視認性も抜群です。オーソドックスなアナログメーターが好印象です。ステアリングも、大口径で、回しやすいです。ちょうど肩幅くらいで、無理なく握ることが出来ます。
ステアリングは小さめのものがスポーティーな印象ですが、肩幅よりも口径が小さいと、常に脇を締めた姿勢になります。それでは長時間ドライブでは肩凝り必至です。このくらいが丁度良いのです。
乗り心地ですが、ガッチッとした、ドイツ車らしいドライブフィールです。ただ、頭上空間がミニマムで、自分は少し頭上に圧迫感を感じました。Aピラーの傾斜が強いのが原因だと思いますが、空力を考えると、仕方が無いのかもしれません。近年はその辺りも改善されているのでしょうかね?
↑ インパネの全景です。非常に落ち着いたオーソドックスなデザインです。まぁ、メルセデスがオーソドックスなデザインを採用しているというよりは、メルセデスのデザインが世界標準となり、それがオーソドックススタイルになっていくと言う方が適切かもしれません。
運転してみると、非常に落ち着いた走りで、好感が持てます。出足は若干ダルで、遅いです。W210の方が速かったです。ある程度スピードが乗ってしまえば気にならないのですが、出足は遅いですね。国産の標準的なセダンより、ちょっと速い程度の印象です。メルセデスとしてはやや不満なレベルです。
コーナリングは安定しており、不安を感じることは全くありません。勿論、コーナーを攻めるタイプの車ではありませんので、クイックなドライブフィールではありませんが、ステアリングを切った分だけ曲がる、コントロールしやすいセッティングです。
高速安定性は非常に素晴らしく、多少の轍でも、ハンドルが取られるようなことはありません。横風にも強く、高速域では、さすがメルセデスという感じです。
Eクラスと比べると、出足は遅いですが、走り出してしまえば、軽快です。まぁ、どっしり感はその分スポイルされていますが、車格というか値段の差だと思えば十分に納得できるものです。
燃費は、満タン法で10㎞程でした。高速と市街地半々くらいの走行状況でした。ハイオク仕様であることを考えると、燃費の良い車ではありませんが、十分だと思います。チンタラしか走らないエコカーではないですし、製造された年代を考えると、むしろこの数字は驚異的だと思います。維持するのも楽そうです。
↑ 後部座席の様子です。もう少し余裕が欲しいですが、そういう人は一つ上のEクラスを求めれば良いと思います。ボディーサイズと、世界最高峰の安全性を考えれば、この広さは素晴らしいと思います。後部座席の乗り心地も非常に良いです。
まぁ、メルセデスというかドイツ車なので、国産と比べるとシートは固めです。しかし、この硬めのシートのおかげで、適度に体を動かすことが出来、結果として体圧を分散させ、疲労を軽減してくれます。
前席も後席も、その点は同じです。やはりシートの作り込みは、国産の遥か先を行っていますね。足元にも及びません。シートのためだけにメルセデスを選んでも決して後悔はしないでしょう。その位良いです。
↑ 後席にも、ちゃんとエアコンの吹き出し口があります。小さくてもさすがはメルセデスのセダンです。この当時からこうした点は手を抜かないのですね。これで後席も快適です。
総評です。高速安定性、どっしりしたコーナリングは特筆できます。現在でも十分に高水準な走りです。多少出足は遅いですが、メルセデスとしてはと言うレベルで、国産の同クラスに比べれば十分に速い車だと思います。
エンジンは4気筒の過給機付きなので、Eクラスの6気筒エンジンと比べると、多少がさつな印象ですが、それでも十分な静粛性を確保していますし、不快なバイブレーション等はありません。トルクもフラットで、扱い易いです。燃費も10㎞前後と上々です。
現在は、値段もこなれており、非常にお買い得だと思います。メルセデスは、耐久性に優れているので、しっかり整備をすれば20年20万㎞は軽くいけます。デザインもオーソドックスなので、飽きが来ないですし、国産の同年代の車に比べて古さを感じません。ボディーサイズも日本に適したものですし、最初のメルセデスとして購入するにはうってつけだと思います。
メルセデスに限らず、輸入車は、維持費は多少高いですが、メルセデスの場合、国産の1.5~2倍程度なので、現実的な範囲内だと思います。ディーラではなく、町の整備工場を見つける事が出来れば、格安で修理や整備が出来ると思います。オイルやタイヤ、ちょっとした消耗品はチェーン店のカー用品店でも交換できます。 初めての輸入車として、勢いで買っちゃっても、全然大丈夫だと思います。
YANASEの代車として、数日の付き合いでしたが、結構好印象でした。