Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

秘密保全法採決強行:アメリカ・CIAは、すべてをまるっとお見通しだった…

2013年11月27日 | 一般






日米安保の問題が浮上したとき、だれもが反対をした。1952年にサンフランシスコ講和条約が発効するときに、日米安保条約と講和条約はセットにされていて、アメリカは、安保条約を結ばない限りは、講和条約を結ばないと言ってきた。安保条約を結ぶということは同時に地位協定をも結ぶということだった。それを結んでアメリカは何をしたかったかというと…、


講和条約締結・発効で、日本を占領していた進駐軍は90日以内に撤去しなければいけない。これはポツダム宣言でもそう決まっていました。ところが講和条約発効後も進駐軍の駐留は延長される。講和条約で変わったのは、「進駐軍」という名称が「駐留軍」という名称になっただけだった。


これについて当時の政治家は、「こんなことでは、これ(講和条約発効)をもって国家の独立達成とは言えない」と、実際に宮澤喜一さんは苦言を呈していて、当時の自由党の吉田茂首相も、「こんなのはおかしい」と、異議申し立てをしている。


ところが、安保条約(⊃ 地位協定)を日本が結ばないなら、アメリカは講和条約を決して結ばない、と言われて、しぶしぶ安保条約にもサインをする。そのとき、講和条約は吉田首相ほか日本側代表団の複数で署名したが、安保条約については、吉田首相が「(代表団のメンバーは)これには署名するな。こんな(不公平な)条約に署名するのはおれだけでいい」と言って、ほかのメンバーの署名を拒んで、吉田首相がひとりでサインをした。それは日米安保条約の屈辱的な内容に強い反発を抱いていたからこその対応だった。

 

 

1960年安保改定当時、日本国民は国会を取り巻き、猛烈な反対運動をした。ところがアメリカは「強行すればだいじょうぶ」と踏みます。当時の首相の岸信介さんは、だから安保改定を強行した。その次、1970年安保のとき、岸さんの弟の佐藤栄作首相も同じく強行した。


当時の様子を取材していた西山太吉元毎日新聞記者はこう証言している。


「このときにも、アメリカのCIAは強行しろと佐藤政権に迫った。佐藤政権は、『強行してだいじょうぶか』と懸念するが、CIAはだいじょうぶだと断言した。


なぜなら、60年安保のときに反対運動の中心になっていたのは学生たちで、その主役だった彼らはみんなサラリーマンになっていて、安保のことなんか忘れている。日本国民というのは、いったん強行されてしまえば、強行成立直前には猛烈に反対していても、時がたってそれが既成事実になってしまえば、黙って受け入れてゆく習性がある。だから強行しなさい、とCIAは過去の日本人の行動パターンまで調査したうえで確信をもって佐藤政権にGoサインを下したのだった。

 

 事実、日本はアメリカCIAの予想どおりに、現在まで安保条約は自動延長されてきている」。

 

 


 

前泊博盛・沖縄国際大学院教授・談/ 「SIGHT」2013年 Summer号より

 

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わたし的に心に残った点。


① サンフランシスコ講和条約は形式上は日本の主権回復という体だが、内実では決して独立を達成できたのではなかった、ということ。


② なぜなら、講和条約は日米安保条約と抱き合わせに結ばされたから。アメリカはそれでなければサンフランシスコ講和条約にサインしないと、日本を強硬に脅しつけて、講和条約を結んだ。日本にはそれ以外の選択肢が許されなかった。


③ 当時の政権のトップ、官僚たちは、安保条約を屈辱的ととらえており、吉田首相は単独署名という形で強い反感を表明した。


④ それは当時の日本国民も同様に感じていて、だから1960年安保改定に猛反対した。安保条約延長は事実上の占領状態を継続するものだということをきちんと理解していた。だが、日本国民には深層心理の根っこに自発的隷従感情が刷り込まれており、アメリカはアジア太平洋戦争当時の日本人のブレイン・スキャンによってそれを見抜いていた。だから強行突破して、既成事実化させてしまえば、あとは黙って隷従すると踏んでいた。事実それはそのとおりになった。

 

 


 

今回の秘密保全法も、国民は猛反対しているが、安倍政権は強行突破の様相を露骨に見せている。それは岸信介~佐藤栄作~安倍晋三といった血筋からくる経験知なのかもしれない。もともと今回の秘密保全法は日米軍事同盟強化にあたって、軍事機密を日本においてもアメリカ国内並みにきちんと保護されるように、とのアメリカ側の意向から始まったものだ。その機につけ込んで、戦後民主主義体制を憎悪する安倍晋三一派が前近代的反動体制構築のために、平成版治安維持法並みの内容の法律に仕上げたのだ。アメリカは佐藤政権の時と同じように、「だいじょうぶ、強行突破しなさい」と命じているのだろう。

 

わたしは、学者からそれこそ芸能人まで国民ぐるみの反対運動が行われているのを見て、60年安保の反対運動の盛り上がりとオーバーラップするように感じる。もちろん、自分の目で見たわけではないが。だがこうして大きく盛り上がれば盛り上がるほど、強行突破された後の日本国民に与える影響が怖い。こちら側の運動が猛烈であればあるほど、カウンターパンチを受けた時のダメージは大きいだろう。

 

 日本人はアメリカをバックにした右派政権への無力感に打ちひしがれ、一切の、社会への、そして政治参加への関心を失ってしまうのではないだろうか。いずれにせよ、秘密保全法が、教育基本法改悪と同様に強行成立させられてしまえば、日本の民主主義は事実上崩壊過程に入る。やはり、おおもとの間違いは、2012年年末と今年の夏の衆参選挙において、安倍晋三の自民党を国民が承認したことにある。あの時点で日本の針路はほぼ決定したのだろうと思う。

 秘密保全法に反対する気持ちがもし、本気だというなら、日本人よ、ほんとうの勝負は、法案が強行成立したあとから始まるんだと心得よ。既成事実になってしまえば別の話題に向かうのであれば、おまえたちは自分の将来を真剣に考えているのではなかったということであり、ただ高度な話題で騒いでお祭りがしたかっただけ、ということになる。のちの成り行きに対して重大な責任を持つことになる、ということを心得よ。

 

 

秘密保全法が強行成立まで至った場合、わたしたちはどんな予想をしなければならいか。最後に、加藤周一さんのことばを引用しておこうと思う。

 

「法律はどんなにひどいものであっても、その使い方で害のない場合もある。そもそもその法律を使わないこともできる。しかし、使い方によっては非常に悪い影響を及ぼすことになる。

たとえば大正デモクラシーの時代、1920年代に通った治安維持法です。治安維持法はこれをすぐには使わなかった。しかし、それから10年、20年たつと、それを使って言論と集会の自由を弾圧した。これはもうファシズム国家です。その悪名高い日本軍国主義の柱の一つは治安維持法だった。

それはまるで時限爆弾だった。できたときはたいしたことはなかった。使わなければ別に心配ない、と言われていた。できた当時はだれも逮捕されなかった。だがしばらくたつと、それが極限まで使われてひどいことになった。1925年に成立した時限爆弾が主として1930年代以降に “爆発” したのです。

1936年には2・26事件が起こって、その後、国民の大部分にとってはあまりよくわからないままに、さりげなく静かに「軍部大臣現役武官制」というものが復活した。だからといってすぐにどうってことはなかったわけで、市民生活には何の影響もなかった。だからみんな安心していたのです。

ところが、ちょっと時間がたつと、陸軍は自分たちの望まない内閣を、その法律を使って “流産” させた。それはまったく合法的な行動であって、陸軍の気に入らない人が、いわゆる大命降下(天皇が重臣の推薦する総理大臣候補を直接に総理に任命し、組閣を命じること)で総理大臣指名を受けると、その指名された総理は組閣のための名簿を作る。そのとき陸軍は、陸軍大臣を擁立しなければ、閣僚名簿ができずに組閣不可能になり、内閣は流れる。次の指名される総理大臣もまた陸軍の気に入らない人物ならまた同じ手を使って組閣妨害する。結局、そうやって陸軍の言いなりになる総理大臣ができる、ということになった。なぜこんなことが起きたのか。大きな理由は、1936年に成立した「軍部大臣現役武官制」という法律だった」(「私にとっての20世紀」/ 加藤周一・著)。

 


作られた法律が誰の目にもたちの悪いものであったなら、それはある機を境に、大きな災禍をもたらすようになるのです。わたしたち市民は、だから、選挙には周到な思考をもってあたらなければならなかったのです。安倍晋三みたいな軍国オタクにやすやすと政権をゆだねるとどんなことになるか、あんな「改正憲法草案」みたいなものを読めば容易に想像できたはずですし、秘密保全法はそんなに時を経ずとも大爆発を引き起こすことは容易に予想できることなのです。つくづく日本人は愚かな決定を下したものです。もういまさら何を言っても遅いのでしょうけれど。



 

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