皆さんは、「大学の先生」というと楽そうな仕事のイメージがありませんか?
僕も転職する時、大学に移れば、少し楽になると思ってました。
そんな考え方が、非常に甘かったことは、すぐにわかりました。
前職の病院と、大学とでは、時間の流れがまるで違います。
病院では、医療機関用の院内PHSを持たされ、常に電話に追われていました。
面接相談やグループワークの最中にも、電話からは逃れられません。
1日に少ない時で20件、通常30件、多い時には40件の電話に対応しなければなりません。
PSWの仕事の内容が、関係者との連絡調整を主たるものとする以上、当たり前のことですが。
毎日、いつも目の前の患者さんの課題を即決処理して、日々が慌ただしく過ぎていました。
大学では、幸いこの電話に追われるということはありません。
研究室の電話が鳴ることは少なく、連絡の多くはメールでやりとりされます。
事務からの連絡も、教員間の連絡も、すべてメールで処理されます。
返信が煩雑な感は否めませんが、大学の忙しさは、別の所にあります。
病院現場よりも、長いスパンでの業務管理と処理が求められる場所だと思います。
メールだけでなく、大学では、すべて文字化することが求められます。
言いっぱなしではなく、すべて資料を文章化して提出することを求められます。
研究論文や報告を「ペーパー」にすることが、職業として当たり前の世界だからでしょう。
ネットを介してのデータ処理が当たり前の今日でも、1年間で驚くほどの量の紙が消費されていきます。
書類のファイルと学内冊子等の印刷物だけで、書棚の2段が埋まってしまいました。
大学というところは、やたらと会議のある場所です。
今週は、月曜日から木曜日までで7回あります。
短いものは1時間程度ですが、一番長い全学教授会になると最短でも2時間半かかります。
会議というのは、あくまでも討議する議決機関ですから、その事前準備も下打ち合わせも必要です。
自分がかかわる議題があれば、その倍以上は準備にかかる訳です。
また大学では、当然本来業務として、授業を受け持ちます。
今年度、僕は9科目の講義と演習を受け持っています。
それ以外にも、通信教育科の一部と公開講座、他教授の学部演習を一部お手伝いしています。
1科目の講義90分を話すには、それなりの準備が必要です。
ベテランの先生であればともかく、新米教員にはそれなりの準備が必要です。
1回の講義90分を話すには、下調べとパワポ資料作成だけで約3倍の時間はかかります。
当然、レポート添削と評価、学生の就職相談や指導も多々あります。
「自分の研究にあてる時間が無い」という嘆きは、教員の皆さん共通のようです。
それでも、大学の教員は、当然のこととして自らの研究活動をこなさねばなりません。
僕は、教員1年目の初年度に、ふたつの共同研究班に属していました。
年度単位の事業ですから、3月には報告書を提出しなければならず、かなり追い詰められました。
福祉現場のフィールド調査となると、飛行機での日帰り地方出張も続きます。
外部資金による委託研究だと、経理処理の事務もこなさねばならず、おそろしく煩雑です。
研究室でゆっくり自分のペースで…という期待は、見事に裏切られました。
教科書をはじめ、出版社等からの執筆依頼に応えて、原稿も執筆しなければなりません。
深夜未明の1時~2時まで、自宅でパソコンに向かうという生活になりました。
教育と、研究と、大学運営と。
この三つの業務に、日々追われています。
なんとかかんとか、新米教員の1年を無事こなせました。
2年目の今年、少しは自分なりのペースで仕事をこなせるようになりたいと願っています。
※画像は、キャンパス内の桜です。
この季節、キャンパスは美しい桜に包まれます。
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