マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

スクリャービンの左手のための夜想曲

2018-11-29 00:01:04 | ラ・プロムナード・ミュジカル
12/2のプロムナード・コンサートで演奏する夜想曲3曲のうち、2番目は、スクリャービンの「左手のための夜想曲作品9-2」です。
スクリャービン(1872-1915)は、モスクワ音楽院時代に、難曲の踏破数を友人と競い合い、ピアノが弾けないほど右手を故障してしまいました。
そんな時期に書いたのが「2つの左手のための小品 Op.9」で、夜想曲は第2曲です。
曲自体は初期の作品ということもあって、ショパンの影響を色濃く受けたロマン派的な作風となっています。
左手の親指が主にメロディを受け持ち、胸に染み入るような音楽を奏でます。
弾く様子を見ないで聴いていると、左手だけで弾いているようには聞こえないくらい豊かな響きです。

スクリャービンも無理をした結果手を痛めたわけですが、シューマンも動きにくい薬指を特殊な方法で鍛えようとして痛めて、演奏からは遠ざかるようになったようです。
様々な要因で手が思うように使えなくなる人が多いようですが、片手でもピアノを弾きたいという人にはこういう作品は貴重なのではと思います。
ただ、中にはやはりスクリャービンのように無理をした結果、ジストニアになったりという人もいるようで、やはり正しい奏法を身につけることは大切なことですね。
何が正しいかわからないうちに間違った奏法を身につけてしまう人は良くいるのですが、正しい奏法は無理なく弾ける奏法…としか言えないですが、うまく脱力したうえで適度に力を入れるわけで、この脱力が意外に難しいようです。
それと、難しい曲を練習するときは適度な休憩をはさむということも大切です。
私は幸いなことに腱鞘炎とかにもなったことがないのですが、たぶん、がむしゃらに練習しないからでしょうかねぇ…。
唯一、このまま弾き続けたら腱鞘炎になってしまうかもと思ったのは、まだ若いころ、2回目のリサイタルをやった時の最後に弾いたプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番を弾いていた時です。
3楽章、さすがに難しくて仕上げられるだろうかと不安を感じながらタイムリミットも迫ってきて、練習量を増やした時、時間が足らないのでつい続けて練習をしていたら、痛みが抜けなくなりそうに感じ始めましたが、幸いリサイタル本番の日が来て、事なきを得ました。
以前は肩こりもよくありましたが、最近ではそれもなく、快適に弾けるようになっています。
菊地裕介氏のレッスンを受けるようになってから、動画を見ても自分の演奏方法が変化しているのを感じるのですが、一番の変化は無駄な動きが減ったということでしょうか。
和音の連続でも、鍵盤からあまり手が離れないようにするとか、指はバタバタ動かさないとか…。
そんなこん名で、実はベートーヴェンのワルトシュタインを弾くのを楽しみにしているのです。
以前と弾き方がたぶん変わっている…でしょうから、映像に撮った時に違いが分かったらうれしいかな…と。


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