マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシー:小組曲

2018-06-09 17:58:34 | ラ・プロムナード・ミュジカル
今年は、ドビュッシー没後100年で、プロムナード・コンサートでも、毎回ドビュッシーを取り上げていますが、今回は連弾のための「小組曲」です。
ドビュッシー初期の1888~89年の作曲ですので、印象派的な手法はまだ見られません。
ヴェルレーヌの詩集「艶やかなる宴」に関連しているようです。
第1曲 小舟にて
8分の6拍子のバルカローレで揺れるような旋律が美しい。
艶やかなる宴に同名の詩があります。
第2曲 行列
この曲も「艶やかなる宴」にある詩と同じタイトルをもっている。
詩の内容は、貴婦人のロングドレスの裾をかかげて行進するおつき人や、いたずらな猿の様子を描写したものです。
軽快で楽しい雰囲気をもった曲。
第3曲 メヌエット
ルイ王朝風の舞踏風景を描いた優雅な曲です。
第4曲 バレエ
管弦楽的な色彩に満ちた華やかな曲です。

ドビュッシー自身が、管弦楽に編曲する構想を持っていたため、のちに、指揮者アンセルメが管弦楽に編曲して、親しまれています。

ショパンの子守歌

2018-06-09 17:41:47 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明日のプロムナード・コンサートで、バルカローレの前に弾くのが、子守歌。
ショパンが「子守歌」と名付けたのは、バルカローレ同様、この1曲のみ。
1843~44年に作曲されました。
非常に珍しい手法で作られています。
伴奏は、最後まで同じリズムで、ハーモニーも最後の方で少し変化があるものの、ほとんど同じで、その伴奏の上に、4小節のシンプルで美しいメロディが16回にわたって変奏される…というものです。
一見、単調なようでも、キラキラと輝くような細かな音で彩られていく、素晴らしく美しい曲です。
タイトル通り、眠りを誘う…かも知れません。
お勧めCDは舟歌を参照!

ショパンの舟歌

2018-06-09 17:32:20 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ショパンが、舟歌(バルカローレ)と名付けた曲は作品60の1曲のみ。
バルカローレとは、ヴェネツィアのゴンドラの船頭の歌で、本来8分の6拍子ですが、ショパンは8分の12拍子にし、旋律線をより長く流暢なものにしています。
1845~46年にかけて作曲されました。
このころショパンは、恋人であるジョルジュ・サンドとの破局の寸前で、自身の病気も悪化し、心身ともに疲れ果てていたと言われています。
秘められた思いがにじみ出るような、静かで美しいこの曲を、ショパンは「二人以上の前では弾いてはならない曲」と語ったとか。
ゴンドラの歌のリズムを採用したにもかかわらず、風光明媚なイタリアを描写したのではなく、「船の上で、自分たちのことしか考えない二人の恋人の、劇的な対話を表そうとしている」ような曲でもあります。
構成の美しさ、主題材料の発展の精密さ、旋律や和声の優雅さなどにおいて、ショパンの作品中もっとも完璧なものと言えるでしょう。
その分、技巧的にも表現的にも非常に難しい曲でもあります。

お勧めCD
ショパン:即興曲(全曲)、舟歌、子守歌 & 幻想曲(期間生産限定盤)
ショパン:幻想即興曲~即興曲(全曲)、舟歌&子守歌 ほか

ベートーヴェンの月光ソナタ

2018-06-09 00:21:47 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ベートーヴェンの「月光ソナタ」という俗称で知られる、作品27-2ですが、ベートーヴェン自身が命名したのは、作品27-1と共に「幻想曲風ソナタ」でした。
「月光」の俗称が一般的になったのは、ドイツの音楽評論家であり詩人であったレルシュターブがこの曲の1楽章を形容して、「スイスのルツェルン湖の月光の波にゆらぐ小舟のよう」と言ったことに端を発したと言われています。
俗称が一般的になったのは出版後かなり後ですが、文学的空想をかきたてる要素があるためか、元々とても人気があったようです。
1801年作曲です。
ソナタというのは通常は速いテンポのソナタ形式の楽章で始まるのですが、1楽章を欠いたとでも言える緩徐楽章から始まっているのも注目を浴びる要素の一つかもしれません。
そもそも夜の湖というのは、月明かりがあってもどのように見えるのか…湖水は黒く沈んで見えるのでは??ということから、死を連想させるのかもしれません。
2楽章は、実質的な同主長調と言える変ニ長調(嬰ハ長調の読み替え)で、1楽章と3楽章の間にあってリストに「2つの深淵の間に咲く一輪の花」と言わしめたほど穏やかで、癒される楽章です。
3楽章は、情熱を爆発させたかの如く走り抜ける、嵐のような曲となっています。
この曲は、伯爵令嬢ジュリエッタ・グィチアルディに献呈されていますが、ベートーヴェンは当時15歳だったこの少女に心を奪われ、結婚したいと思っていたようですが、身分の違いで実を結ばなかった…というエピソードが残っています。

以前にも、月光ソナタについては記載していますので、そちらもご参考に…。
ベートーヴェン:月光ソナタ