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★つくる会会長「民主党に期待」―杉原誠四郎の歴史観〈4〉

「新しい歴史教科書をつくる会」会長の杉原誠四郎(本名・平田誠四郎)が
 南京事件はあった。不名誉な事件だった←クリック
 日本は侵略戦争をした。昭和天皇に戦争責任がある←クリック
 韓国併合は暴挙←クリック
と主張してきたことをお伝えしてきました。
 
そこで引用した杉原誠四郎の著書に『民主党は今こそ存在感を示す時』という本があります。題名の通り民主党に期待する内容で、郵政選挙の直後の平成17年11月に出版されました。
 
右の写真には「謹呈 著者」という短冊が付いていますが、この本は杉原誠四郎からもらったわけではなく古本屋で買ったものです。もらった人が、つまらないので古本屋に売ったのです。
 
杉原誠四郎の期待通り、民主党は次の総選挙で政権を取りました。どんなことが書いてあるのでしょうか。はしがきを見てみましょう。
<日本を、あきらめない>とは、平成17年(2005年)の9月11日に行なわれた総選挙における民主党の岡田克也前代表の唱えるキャッチワードだった。また、<日本人には力があります。それを引き出すのが、政治です>ともあった。
この総選挙で自民党は大勝したが、それは郵政民営化一点張りで得た大勝である。通常でいけば、これから4年間、この大勝の形であらゆる政治問題を解決していかなければならないわけだから、この大勝がかえって自民党を縛り続けることになるのではないか。総選挙の問題は郵政民営化の問題だけではないと愚直なまでに叫び続けた岡田前代表の発言が、やがて燦し銀のように光ってくるのではないか。
(中略)民主党員に自覚してほしい。たとえ政権に与っていなくても、民主党は政治にそれ相当の影響を及ぼし、国民に貢献していることを。そして選挙に大敗したとしてもその存在感を訴えていかなければならないことを。
(中略)ところで、本書は、そうした民主党が政権を取るにあたって基本政策を明示しておかなければならないのではないかと、戦後60年間、事実上、現在の自民党の政治の中で、行なわれたところの負の遺産の累積について明らかにした本である。あまり言われていないことではあるが、考えてみると自民党政治にはたくさんの失政があり、そしてそれが今まで修正されることなく負の遺産として引き継がれ、今日の日本を大きく歪めているのである。
さらに、21世紀の日本及び世界に向かっても、民主党は自民党と政策を競わなければならないのであろう。
<日本を、あきらめない><日本人には力があります。それを引き出すのが、政治です>のキャッチワードは、選挙の凄惨さ、泥臭さからするといささか高踏ではあったが、しかしこのキャッチワードには、私が本書を執筆する動機に呼応するものがあった。
岡田前代表は、その延長にあるのであろう、記者会見の中で、歴史問題に関して「民主党政権ができれば、政府として、どこで間違って戦争に至ったのか、誰に責任があるのかなどを検証し、総括する事業を立ち上げたい」と発言していた。具体的にはどのようなことをイメージして言っているのか知らないが、実は私が本書を書く動機の最大のものは、この岡田前代表の言った言葉に対する、私から見たところの額面どおりに受け取れるところの意味にある。
言うまでもなく、岡田前代表の言うごとく、日本の歴史の中での最大の悲劇と言うべきかの戦争について、どこで間違って戦争に至ったのか、誰に責任があるのかを、日本は未だ国家的に総括していないのである。
かくして、戦後の日本も、戦前の日本と同様に歴史の問題で躓き、国家をして半国家と化しめ、日本をして小沢一郎の言うように「普通の国」ではなくしてしまっているのである。
このような大きな失政が、実は現在の自民党の濫觴の時期に行なわれ、そしてそれがそのまま負の遺産として現在の自民党に根幹として引き継がれているのである。
(中略)ともかく、民主党は今こそその存在感を示す時である! 政権交代の日は、いつの日か必ず来る。そのために、政権を取った時の基本政策を明示しておかなければならないのである。(杉原誠四郎『民主党は今こそ存在感を示す時』p~)

説明の必要はないと思います。「新しい歴史教科書をつくる会」会長が7年前に、民主党政権=日教組政権の誕生を待望し、戦争責任を解明してほしいと要望していたのです。
 
日教組といえば、杉原誠四郎は『日米開戦以降の日本外交の研究』の中で、平成7年に日教組が打ち出した文部省との「協調路線」について驚くべき認識を示しています。
戦後50年、日教組はやっと不毛なイデオロギー対立を避けて、健全な教員組合、あるいは教員という専門職団体になろうとしている。そして行政機関と一緒になって教育を守り育てようという気になっている。(杉原誠四郎『日米開戦以降の日本外交の研究』p260)
 
当時、日教組にそんな期待を抱いた「保守派」は杉原誠四郎だけです。「協調路線」が日教組と文科省、教育委員会の癒着を生んだことは周知の通りです。
 
『民主党は今こそ存在感を示す時』に戻ります。この連載で引用した通り、対華二十一か条要求さえなければ日本と中国様はずっと仲良くできたのに(p46~47)、先の大戦に道義的責任がある昭和天皇が退位されようとしたのに吉田茂がさせなかったのはけしからん(p239~240)、韓国併合は暴挙だった(p249~250)と主張しているのが杉原誠四郎著『民主党は今こそ存在感を示す時』です。
 
占領憲法についてはこう書いています。
憲法改正はもちろん大切であるが、憲法改正論議の下でかえって見落とされるのが、現行憲法に対してどう対応するかの問題である。言うまでもなく、現行憲法は占領時に占領軍によって押しつけられた憲法である。それゆえに、学説的には現行憲法無効論も成り立つのであるが、施行以来半世紀を経たとすれば、学説的に成り立つ無効論も、時効という法理によって無効論自体が無効になっていると言うよりほかはない。法理的にも無効論は成り立たなくなっていると言うしかない。のみならず、現実問題としてまさに現実的でなければならない政治の世界で無効論は現実的でなく、政治の世界では無効論は考慮しようにも考慮のしようがないのである。(杉原誠四郎『民主党は今こそ存在感を示す時』p102)
 
占領憲法無効論は「無効」で「考慮しようにも考慮のしようがない」と批判しています。名指しを避けていますが、ある人のことです。
 
平成14年に『「日本国憲法」無効論』という本を出した小山常実という人です。 小山常実という人は現在「新しい歴史教科書をつくる会」の理事です。彼は杉原誠四郎に批判されていることを知らないのでしょうか。
 
杉原誠四郎が反日宗教・世界基督教統一神霊協会(統一教会)の日刊紙「世界日報」の常連執筆者であることは何度もお伝えしていますが、杉原は昨年、『民主党は今こそ存在感を示す時』について世界日報にこんなことを書いています。
私は平成17年『民主党は今こそ存在感を示す時』という本を出版したことがある。世間からは少しも反響はなく無視された。それどころか、当の民主党からもこれという反応はなかった。私がこの本で書いたことを少しでも参考にしてくれていたら、今のような民主党の体たらくはなかったであろうに、と時折思うことがある。
当時は前原誠司が代表で、そのときは民主党も政権党になれるのではないかと、いささか期待もできるときだった。(昨年3月8日付世界日報 杉原誠四郎「ビューポイント」)

前原誠司が代表だったから民主党に期待したんだという、なんとも間抜けな言い訳です。杉原誠四郎は『民主党は今こそ存在感を示す時』で、岡田克也の主張が執筆の動機だとはっきり書いています。前原など出てきません。ともかく、「新しい歴史教科書をつくる会」会長が前原誠司を評価しているということは覚えておきましょう。
 
杉原誠四郎は東大大学院時代、日教組講師団のボス宗像誠也に師事し、後に宗像の弟子である持田栄一の研究生となっています。昔のことはいいではないかと言われるかもしれませんが、杉原は今でも「宗像さんはマルクス主義者ではなく自由主義者だ」と言っているそうですから、やはりこの経歴は重要でしょう。
 
民主党や日教組に期待する杉原誠四郎(本名・平田誠四郎)は、左傾化した「新しい歴史教科書をつくる会」の会長にふさわしい人物です。
 
(つづく)
 
※これまでの連載
 ★つくる会会長「南京事件あった」―杉原誠四郎の歴史観〈1〉
 ★つくる会会長「天皇に戦争責任」―杉原誠四郎の歴史観〈2〉
 ★つくる会会長「韓国併合は暴挙」―杉原誠四郎の歴史観〈3〉

※つくる会と民主党
 ★自由社発行雑誌に小宮山洋子インタビュー
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 ★自由社・石原萠記-中国共産党-東京電力の赤いトライアングル
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