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★南京事件への疑問を削除した自由社版教科書-記述検証〈1〉

教科書改善の会(屋山太郎代表世話人)が執筆したフジサンケイグループ育鵬社の中学校歴史・公民教科書と、「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)の自由社版中学校歴史・公民教科書がそれぞれ28日に書店で市販されました。記述の比較・検証を随時掲載していきます。
 
育鵬社の重厚さに比べ、自由社版はスカスカ感がありますが、内容的にもかなり問題がありそうです。近現代で最初に目に付いたのは「南京事件」に関する記述です。
 
自由社版歴史教科書のp225で「日本軍は国民政府の首都南京を落とせば蒋介石は降伏すると考え、12月、南京を占領した」との本文に「南京占領の際に、日本軍によって中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)」という側注が付けられています。
 
 
 
 
自由社が最初に検定に合格した現行版(平成22年度版)では「このとき、日本軍によって、中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)。なお、この事件の犠牲者数などの実態については資料の上で疑問点が出され、今日でも研究が続いている」でした。
 
今回、南京事件への疑問を削除してしまったのです。
 
扶桑社版の初版本以来の記述の変遷を見てみましょう。

  
日本軍の南京攻略についてはこの10年余りで画期的な研究の前進があり、虐殺はなかったという実態がほとんど余すところなく明らかになっています。保守派は「南京大虐殺」と言わずに「南京事件」と表記していますが、虐殺がなかったのですから本来は「事件」でも何でもないのです。
 
しかしながら文部科学省の売国検定によって、「南京事件」を書かざるを得ないため、扶桑社版は「さまざまな見解があり、今日でも論争が続いている」と付記して、諸説に虐殺ゼロも含める苦肉の記述をしてきました。
 
自由社の現行版(平成22年度版)もそれを踏襲しました。よく見ると分かりますが、扶桑社版をコピーするときに「疑問点も出され」を「疑問点が出され」に、「論争」を「研究」に微修正しています。「新しい歴史教科書をつくる会」はこれを記述の前進と自賛していました。
 
しかし今回それを放棄し、「南京占領の際に、日本軍によって中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)」だけにしてしまったのです。これでは虐殺があったと読めます。驚くべき後退です。
 
「ああ言えばこう言う」の藤岡信勝客員教授のことですから、こう反論するかもしれません。「虐殺はなかったのだから、疑問の余地はなく、もう研究することはない。だから削除した。これは画期的な記述なのだ」と。
 
それなら「南京占領の際に、日本軍によって中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)」という記述自体が不要です。
 
「新しい歴史教科書をつくる会」は近現代史教育の改革に取り組む良識派を決定的に裏切ったのです。
 
【追記】日本政策研究センターの機関誌「明日への選択」5月号の特集「歴史・公民教科書は変わったか」でこの問題が取り上げられていますので紹介します(引用の間違いは修正)。
検定のたびに話題となる南京事件についてはどうか。東書は「その過程で、女性や子どもなど一般の人々や捕虜を含む多数の中国人を殺害しました(南京事件)」と、これまでと変わらない。ただ今回は「被害者の数については、さまざまな調査や研究が行われていますが、いまだに確定していません」と側注を付けた。とはいえ、婦女子を含めた市民虐殺、住民虐殺という性格付けは変わっていない。むろん、市民虐殺は中国が主張しているだけであり、客観的な根拠のある話ではない。
一方、自由は「南京占領の際に、日本軍によって中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)」とだけ記述し、留保をつけたり疑問を呈していないのは、東書と較べても、納得がいかない。「このとき、日本軍によって、中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)。この事件の犠牲者数など実態については、さまざまな見解があり、今日でも論争が続いている」と、事件の実態に疑問を投げかける記述で検定を通過した育鵬とは対照的と言える。

自由社は東京書籍以下というわけです。

(つづく)
 
育鵬社や自由社版の記述について情報を募集します。
 project-justice@mail.goo.ne.jp
 
※自由社の現行版(平成22年度版)の記述については、こちらから順次ご覧ください。
 ★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
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