森井教授のインターネット講座(神戸大学大学院工学研究科教授 森井昌克)

1996年から2009年3月まで朝日新聞に連載してました森井教授のインターネット講座のネット版(もどき)です。

クレジットカード情報大量流出

2005年06月23日 19時47分59秒 | Weblog
新聞、TV局さんから、何件かのコメント依頼がありましたので、ここでもふれさせて頂きます。

先週末に、アメリカのほうで、クレジットカード情報が4,000万件以上流出したというニュースが流れました。クレジットカード情報とは、利用社名、カード番号、そして有効期限です。先週末には、国内では冷ややかに伝えていたのですが(対岸の火事?)、今週になって、その中の7万件程度が、日本国内の利用者のカードであって、しかも既に不正に使用されて、現在では、軽く被害額は1億円を超えるということで、大きく取り上げられています。政府も関係各所に対策を指示したということですが、「今更」という感も拭えません。

クレジットカードが不正に使用される可能性があるのは、以前から、特にインターネット経由の決済が盛んになってからは、言われ続けられているのです。しかも、銀行のキャッシュカードの比較して、非常に高い確率でです。番号を目で見て控えるという古典的なスキミングから、店舗に自動的にスキンミングする装置を仕掛けて、番号を手に入れる少し高度なスキミングまで、15年以上前から行われていますし、5年前からは組織的に、しかもより盛んに行われています。カード番号自体が取引されているという事実は、昔から周知です。その対策として(逆に不正に使用される可能性があるという事実の裏返しとして)、保険がかけられているのです。

もちろん、クレジットカードが不正に使用されることが前提になっているわけではありませんが、ユーザの意識としては、不正に使用される可能性は低くないという意識が必要です。ただ、その「対策」は、保険(補償)として担保されています。

ですから、ユーザの防御策としては、まず正しく使われているかをチェックすることが第一なのです。絶対に不正使用されないようにすることは不可能です。もちろん、不正使用される確率を十分下げることは可能です。そのためには、必要以上に使わないことです。正確に言うと、

1)使わなくても良い場合は使わない(怪しい店では使わない)
2)利用可能限度額を必要以上に設定しない
3)使わないクレジットカードを作らない

という極めて単純なことです。