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渡辺真由子氏の著書「「創作子どもポルノ」と子どもの人権」について

2018年12月02日 00時22分06秒 | 科学

渡辺真由子氏の著書「「創作子どもポルノ」と子どもの人権」について

渡辺真由子氏の著書「「創作子どもポルノ」と子どもの人権」第六章が剽窃であると騒がれていますが、第六章は著作権法第十三条の四に該当すると思われるので恐らく大丈夫ではないでしょうか。

ただ、児童ポルノに関する判例・法令・憲法解釈についての国の機関が作成した編集物でほとんど構成されている第六章は、どこからどこまでが引用でどこからどこまでが孫引きなのかがわからない引用番号の振り方の不備や抜けがあるようです。主従がわからなくなってしまいました。

学位論文の「諸外国の児童ポルノ規制の枠組み」も引用で構成されている場合アカデミアでどう評価されるのかはわかりませんが、各国の法律の運用についての事実を記載している「資料」的なもののようです。

引用元
基本的に(オレオレオレだよオレ(アレ)(@ororeoredayoore)さん告発HP
渡辺真由美氏著書

 

(※引用始め)

第六章 諸外国の児童ポルノ規制の枠組み

 本章では、リサーチ・クエスチョン「国際条約及び諸外国は、どのような枠組みで児童ポルノを規制しているのか」、「日本と国際条約及び諸外国の制度で、児童ポルノ規制について異なる視点は何か」の二点について、諸外国に関する内容を明らかにする。比較的手法を用い、調査項目「諸外国の児童ポルノ規制の枠組み」を調べる。

 調査対象はアメリカ、イギリス、カナダとする。アメリカは「表現の自由」との関係の観点から児童ポルノ規制について厳格審査を行った経緯があり、イギリスは近年に児童ポルノ規制を厳格化している。カナダは児童ポルノに極めて厳しい規制を行っている。このような理由から、当該三ヵ国を調査対象に含めた。(※131頁終わり)

(※132頁始まり)
 三カ国につき、児童ポルノに関する法令と判例を、それぞれ精査する。参照資料は、それぞれの国の各法令及び判例の公式文書、報道資料である。……(引用終わり)

(※筆者メモ:著作権法第十三条
第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
一 憲法その他の法令
二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
三 裁判所の判決決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

(※筆者メモ:著作権法第三十二条第二項
国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。)


(※引用始)
3 「いかがわしい」の判断基準

  「いかがわしい」の定義は、1978 年児童保護法第 7 条のみならず、イギリスの法令中 にも存在せず、明文では明確な判断基準がない。この点について判例は、「社会で広く認 められた礼節の基準(the recognised standards of propriety)」に基づき、陪審または治安 判事が「いかがわしい」の判断を行うものとしている(19)。

  この判断に際して以下の点に留意しなくてはならない。第一に、当該写真等が「いか がわしい」ものか否かの判断は、その写真のみを上記基準に照らして観察することによっ てのみ行われるべきであって、その写真の製作等の状況や動機を考慮してはならない(20)。 例えば、全くの偶然でカメラのシャッターを押した際に撮影された等の事情は「いかがわ しい」の判断ではなく、故意等の要件を満たすか否かの判断で考慮されるものとされる(21)。 第二に、たとえ性行為を伴わない描写でも、「いかがわしい」とされることがある(22)。例 えば、性器等が露出していないものの、上半身は大き目のブラウスと一連のビーズを、下 半身は下着のみを着けた、胸を誇示するような 14 歳の女児の写真(23)、また、裸体主義者 のみが集まる水泳プールで撮影された、性欲を喚起するようなポーズを取っていない 7 歳の男児の裸体の写真(24)が、いずれも「いかがわしい」とされている。第三に、「いかが わしい」に該当しない写真等を編集したものが、「いかがわしい」とされることがある(25)。

19  R. v. Graham-Kerr [1988] 1 W.L.R. 1098, C.A.
20  ibid.
21  ibid.
22  The Crown Prosecution Service, Indecent photographs of children, 2008.4.1.
<http://www.cps.gov.uk/legal/h_to_k/indecent_photographs_of_children/>
23  R. v. Owen(Charles) [1988] 1 W.L.R. 134, C.A.
24  op.cit.(19)
25 R v Murray [2004] EWCA Crim.2211. この事案では、テレビで放映されたドキュメンタリー番組から男児の性
器に治療を行うシーンを中心に編集する等した映像が「いかがわしい」に該当するとされた。

(※以上は9頁,日米英における児童ポルノの定義規定,間柴泰治,国立国会図書館調査及び立法考査局,調査と情報 (681), 1-10,巻頭1p, 2010-06-08より引用)

(※引用始)
③ 「いかがわしい」の判断基準

  「いかがわしい」の定義は、一九七八年児童保護法七条のみならず、イギリスの法令中にも存在せず、明文では明確な判断基準がない。この点について判例は、「社会で広く認められた礼節の基準(the recognised standards of propriety)」に基づき、陪審または治安判事が「いかがわしい」の判断を行うものとしている(59)。

  この判断に際して以下の点に留意しなくてはならない。第一に、当該写真等が「いかがわしい」ものか否かの判断は、その写真のみを上記基準に照らして観察することによってのみ行われるべきであって、その写真の製作等の状況や動機を考慮してはならない。例えば、全くの偶然でカメラのシャッターを押した際に撮影された等の事情は「いかがわしい」の判断ではなく、故意等の要件を満たすか否かの判断で考慮されるものとされる(60)。
  第二に、たとえ性行為を伴わない描写でも、「いかがわしい」とされることがある。例えば、性器等が露出していないものの、上半身は大き目のブラウスと一連のビーズを、下半身は下着のみを着けた、胸を誇示するような一四歳の女児の写真(61)、また、裸体主義者のみが集まる水泳プールで撮影された、性欲を喚起するようなポーズを取っていない七歳の男児の裸体の写真が、いずれも「いかがわしい」とされている(62)。

(※以上は154頁より引用)

(59) R. v. Graham-Kerr [1988] 1 W.L.R. 1098, C.A.(※メモ:判例)

(60) R. v. Graham-Kerr [1988] 1 W.L.R. 1098, C.A.(※メモ:判例)

(61) R. v. Owen(Charles) [1988] 1 W.L.R. 134, C.A.(※メモ:判例)

(62) 間柴[二〇一〇]九頁。


(※引用始)  アメリカでは、1970年代後半以降、連邦と州 それぞれで児童ポルノ規制が漸次強化されてき た。これらの規制立法に対して連邦最高裁判所 は、1982年7月には、ファーバー事件判決(19) で児童ポルノの製造等を禁止するニューヨーク 州法を、また、1990年4月には、オズボーン事 件判決(20)で親や監護者以外の者による児童ポルノの単純所持を禁止するオハイオ州法をいず れも合憲と判示し、これらの規制立法を支持し てきた。

ところで、これらの規制立法は、いずれも実 在する児童を描写した児童ポルノを対象として きた。これは、児童ポルノがしばしば児童の性 的虐待を伴い、被害児童への権利侵害が甚大で あることを主な根拠としているためであって、 それゆえ、表現の自由の保障の範囲外とされ、 また、わいせつ物規制と比較しても極めて厳し い規制が正当化されてきた。

  1996年に連邦議会が成立させた1996年児童ポ ルノ禁止法(21) (以下「1996年法」という。)は、 実在する児童を描写したポルノから、実在しな い児童を描写したポルノにまで規制対象を拡大 した点で画期的であったと言えよう。その立法 目的としては、①そうしたポルノが小児性愛者 の性的欲求を刺激しかねず、また、小児性愛者 が児童を性的行為に勧誘する目的で、あたかも 多くの児童が同様の行為を行っているかのよう に当該児童に思い込ませるためにそれらを利用 する可能性があり、その結果、実在の児童が性 的虐待を受ける危険性を増大させる可能性があ ること、②実在しない児童を描写した精巧かつ 写実的なポルノに規制対象を拡大することで、 描写対象となっている児童の実在性に関する検 察官の証明責任を軽減し、児童ポルノ規制の実 効性を確保すること、などが挙げられた。しか し、このような規制対象の拡大は、合衆国憲法 修正第1条が保障する表現の自由を不当に侵害 して違憲であるとの主張も根強かった。

  こうした1996年法の憲法上の争点に決着をつ けたのが、2002年のアシュクロフト対表現の自 由連盟事件連邦最高裁判決(22)(以下「2002年判決」 という。)である。全裁判官9名中5名の多数 による法廷意見は、実在の児童を描写する児童 ポルノの禁止は、表現の内容に対する規制では なく、表現の手段(実在する児童を性的に虐待す ることによって表現していること)を規制するも のなので正当化される一方、実在しない児童を 描写するポルノの禁止は、正に表現の内容その ものを規制するものであるにもかかわらず、こ れを正当化する程度の重大な利益が見当たらな いこと等を理由として、実在の児童が関与せず に制作されたポルノを禁止する限りで違憲と判 示したのである。

 このような最高裁判決に対して連邦議会は、 2003年、PROTECT法(23)による1996年法の改正 で、2002年判決で違憲とされた実在しない児童 を描写するポルノについて、その範囲を限定し た上で改めて規制対象とする一方、わいせつ物 に該当する児童ポルノに規制対象を拡大して罰 則を強化することとし、現在に至っている(24)。……

(19)New York v. Ferber,458 U.S.747(1982)これを紹介する日本語文献として、江橋崇「児童モデルポルノの規 制と表現の自由」『ジュリスト』828号,1985.1.1-15,pp.218-221.がある。

(20) Osborne v. Ohio,495 U.S.103(1990)これを紹介する日本語文献として、矢口俊昭「児童ポルノの私的所持と 第1修正の保護」憲法訴訟研究会・芦部信喜編著『アメリカ憲法判例』有斐閣,1998,pp.41-47.がある。

(21)The Child Pornography Prevention Act of 1996,P.L.104-208.

(22)Ashcroft v. Free Speech Coalition,535U.S.234(2002). これを紹介する日本語文献として、永井 前掲注⒄ 67巻 4号,pp.117-123.がある。

(23)P.L.108-21 この法律の概要については、中川かおり「児童を誘拐及び性的搾取から保護するための法律」『外国 の立法』217号,2003.8,pp.134-140.を参照。

(24)Henry Cohen,“Child Pornography: Constitutional Principles and Federal Statues,” CRS Report for Congress,95-406A,2003.10.15.(ただし最新版は、2008年9月26日付け)

(※以上は50-51頁,諸外国における実在しない児童を描写した漫画等のポルノに対する法規制の例,間柴泰治,国立国会図書館調査及び立法考査局,レファレンス 58(11) (通号 694) 2008.11より引用)

(※引用始)  アメリカでは、一九七〇年代に「性革命(sex revolution)」が起こり、その過程で児童に対する性的虐待が社会問題化し、一九七七年、児童ポルノを規制するニューヨーク州法二六三条が施行され、児童ポルノが違法となった(1)。児童ポルノは児童が性的虐待の被害者となるため、従来から先進国の中でも児童虐待件数が突出して多いアメリカにおいて、取締りは強化されてきた(2)。連邦最高裁判所は、一九八二年七月には、ファーバー事件判決で児童ポルノの製造等を禁止するニューヨーク州法を、また、一九九〇年四月には、オズボーン事件判決で親や監護者以外の者による児童ポルノの単純所持を禁止するオハイオ州法をいずれも合憲と判示し、これらの規制立法を支持してきた()

  ところで、これらの規制立法は、いずれも実在する児童を描写した児童ポルノを対象としてきた。これは、児童ポルノがしばしば児童の性的虐待を伴い、被害児童への権利侵害が甚大であることを主な根拠としているためであって、それゆえ、表現の自由の保障の範囲外とされ、また、わいせつ物規制と比較しても極めて厳しい規制が正当化されてきた(4)

  一九九六年に連邦議会が成立させた「児童ポルノ禁止法(CPPA)(5)」は、実在する児童を描写したポルノから、実在しない児童を描写したポルノにまで規制対象を拡大した点で画期的であったと言えよう。その立法目的としては、①そうしたポルノが小児性愛者の性的欲求を刺激しかねず、また、小児性愛者が児童を性的行為に勧誘する目的で、あたかも多くの児童が同様の行為を行っているかのように当該児童に思い込ませるためにそれらを利用する可能性があり、その結果、実在の児童が性的虐待を受ける危険性を増大させる可能性があること、②実在しない児童を描写した精巧かつ写実的なポルノに規制対象を拡大することで、描写対象となっている児童の実在性に関する検察官の証明責任を軽減し、児童ポルノ規制の実効性を確保すること、などが挙げられた。しかし、このような規制対象の拡大は、合衆国憲法修正第一条(6)が保障する表現の自由を不当に侵害して違憲であるとの主張も根強かった(7)

   こうした一九九六年法の憲法上の争点に決着をつけたのが、二〇〇二年のアシュクロフト対表現の自由連盟(Ashcroft v. Free Speech Coalition)事件連邦最高裁判決(8)である。全裁判官九名中五名の多数による法廷意見は、実在の児童を描写する児童ポルノの禁止は、表現の内容に対する規制ではなく、表現の手段(実在する児童を性的に虐待することによって表現していること)を規制するものなので正当化される一方、実在しない児童を描写するポルノの禁止は、正に表現の内容そのものを規制するものであるにもかかわらず、これを正当化する程度の重大な利益が見当たらないこと等を理由として、実在の児童が関与せずに制作されたポルノを禁止する限りで違憲と判示したのである(9)

 そこで連邦議会は、改善されたさらなる立法規制を目指して動き出した。FBIのCrime Against Children部署の主任を召喚し、疑似児童ポルノの出版がどのように実在する児童に危害をもたらすのかについて証言させた(10)。そして二〇〇三年四月、連邦議会は、一九九六年法の憲法上の問題点を克服したものとして、「児童搾取を完全に終わらせるための法律」(PROTECT(11))を、圧倒的多数の支持を得て制定した(12)。PROTECT法は、非実在の未成年者の性描写について、わいせつ物に該当する児童ポルノに規制対象を拡大して罰則を強化することとしたものである(13)。

(※以上は132-134頁より引用)

(1) Kathryn C. Seigfried-Spelar et al. [2012] "Internet Child Pornography, U.S. Sentencing Guidelines, and the Role of Internet Service Providers," Digital Forensics and Cyber Crime, pp.17-32.

() 内閣府[2014a]「平成二五年度アメリカ・フランス・スウェーデン・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書」 http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h25/net-syogaikoku/2_15.html#a_ftnref159 (二〇一七年一二月二一日最終閲覧)。

(3) 間柴泰治[2008]「諸外国における実在しない児童を描写した漫画等のポルノに対する法規制の例」『レファレンス 平成二0年一一月号年』、国立国会図書館調査及び立法考査局、五〇-五一頁。

(4)間柴泰治[2008]五一頁。

(5) Child Pornography Prevention Act of 1996

(6) The First Amendment to the United States Constitution (「言論あるいは出版の自由を制限する法律を制定してはならない」と定めている。)

(※168頁)
(7) 間柴[二〇〇八]五一頁。

(8) Ashcroft v. Free Speech Coalition,535U.S.234(2002)

(9) 間柴[二〇〇八]五一頁。

(10) Enhancing Child Protection Laws After the April 16, 2002 Supreme Court Decision, Ashcroft v. Free Speech Coalition: Hearing Before the Subcomm. on Crime, Terrorism, and Homeland Security of the House Comm. on the Judiciary [2002] 107th Cong.(※筆者メモ:URLソース

(11) Prosecutorial Remedies and Other Tools To End the Exploitation of Children Today Act of 2003


(12) 加藤[二〇〇八]310頁。
(※筆者メモ:参考文献"ⅳ"の加藤隆之[2008]『性表現規制の限界-「わいせつ」概念とその規制根拠』(ミネルヴァ書房か?)


(13) Henry Cohen [2003]“Child Pornography: Constitutional Principles and Federal Statues.”CRS Report for Congress, 95-406A

(※以上は167-168頁より引用)


(※引用始)  児童ポルノに係る行為を規制するアメリカ連邦法の主要な規定として、①実在する未成 年者を描写した児童ポルノを規制対象とする合衆国法典第 18 編第 2252 条と第 2252A 条、 ②実在しない未成年者を描写した児童ポルノまで規制対象とする第 1466A 条、そして、 「児童ポルノ」(第 2252A 条)等これら条文の文言の定義を規定する第 2256 条がある。

これらのうち第 1466A 条は、2003 年 PROTECT 法(14)によって新たに設けられたもの である。それ以前、非実在の未成年者の一定の性行為等の視覚的描写は、実在する未成年 者のそれと同様に、これに係る行為が規制されていた。しかし、2002 年の Ashcroft v. Free Speech Coalition 事件連邦最高裁判決(15)で、非実在の未成年者の一定の性行為等の 視覚的描写の規制が、表現の自由を過度に制約して違憲とされたため、非実在の未成年者 のそれについて要件を厳格にして対象を絞り、改めて規制したものである(図 1)。なお、 第 1466A 条は、一定の性行為について当該未成年者の実在性に関係なく適用され得る(16)。

(14) P.L.108-21. この法律の概要については、中川かおり「アメリカ:児童を誘拐及び性的搾取から保護するため の法律」『外国の立法』217 号, 2003.8, pp.134-140. <http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/217/21704.pdf>を参照。

(15) 535U.S.234. この判決の概要については、永井善之「児童ポルノの刑事規制について(二・完)」『法学』67 巻 4 号, 2003.10, pp.116-121.を参照。

(16) Henry Cohen, “Obscenity and Indecency: Constitutional Principles and Federal Statues, ”CRS Report for Congress, 95- 804, 2009.1.21, p.16.

(※以上は5頁,日米英における児童ポルノの定義規定,間柴泰治,国立国会図書館調査及び立法考査局,調査と情報 (681), 1-10,巻頭1p, 2010-06-08より引用)

(※引用始)  現在は、児童ポルノに係る行為を規制するアメリカ連邦法の主要な規定として、①実在する未成年者を描写した児童ポルノを規制対象とする合衆国法典第一八編二二五二条と二二五二A条(14)、②実在しない未成年者を描写した児童ポルノまで規制対象とする一四六六A条(15)、そして、これら条文の文言の定義を規定する二二五六条(16)がある。

連邦法においてわいせつ物に対する規制を定めるのは、合衆国法典第一八編第七一章(一四六〇条から一四七〇条(17))であり、②の一四六六A条は、児童に対する性的虐待を視覚的に表現するわいせつ物を規制するものである。同条は、二〇〇三年PROTECT法によって新たに設けられたものである。それ以前、非実在の未成年者の一定の性行為等の視覚的描写は、前述のようにCPPAで、実在する未成年者のそれと同様に、これに係る行為が規制されていた。なお、一四六六A条は、一定の性行為について当該未成年者の実在性に関係なく適用され得る(18)。

(※以上は134-135頁より引用)

(14) 18 U.S.C. 2252, 2252A

(15) 18 U.S.C. 1456A

(16) 18 U.S.C. 2256

(17) 18 U.S.C. 1460-1470

(18) Henry Cohen [2009] “Obscenity and Indecency: Constitutional Principles and Federal Statues, ”CRS Report for Congress, 95-804, p.16.

(※以上は168頁より引用)

(※筆者メモ:この部分は、引用元の記載漏れと重要な部分の省略だと思われます。)


(※引用始)  インターネットの発達とともに児童ポルノ犯罪が拡大したことから、現在に至るまで厳罰化の過程をたどっているといえる。また、児童ポルノは児童が性的虐待の被害者となるため、従来から先進国の中でも児童虐待件数が突出して多いアメリカにおいて取締りは強化されてきた(159)。さらに、2000年・2009年には児童ポルノの所持と、児童に対する性的虐待犯罪との間の相関性を示す調査結果も報告され、児童ポルノの単純所持に対する罰則の厳罰化を促進したともいわれる(160)。

159 国際連合児童基金(United Nations Children's Fund:UNICEF)によると、米国内において家庭で殺される児童の数は推定年間2万人いるとされる。また、虐待が原因の15歳以下の子供の年間死亡率は、10万人に対して2.4人で、フランスの1.4人、日本の1人、イギリスの0.9人と比べてかなり高い。この背景には、米国における貧困層や未成年者の妊娠などの社会問題があるとされる。
Benjamin Radford (Discovery News), "U.S. Worst in Child Abuse," October 24, 2011.

160 Family Against Mandatory Minimums, "An Introduction to Child Pornography Sentencing." 2013, p.4.(PDF形式:126KB)

(※以上は内閣府平成25年度アメリカ・フランス・スウェーデン・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書第1章 アメリカ3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景(8)児童ポルノに対する政策、規制及び取組,平成26年(2014年)3月より引用)

(※引用始)  アメリカは、インターネットの発達とともに児童ポルノ犯罪が拡大したことから、現在に至るまで厳罰化の過程をたどっているといえる。さらに、二〇〇〇年と二〇〇九年には、児童ポルノの所持と、児童に対する性的虐待犯罪との間の相関性を示す調査結果も報告され、児童ポルノの単純所持に対する罰則の厳罰化を促進したともいわれる (19)

(※以上は135頁より引用)

(19) 内閣府[二〇一四a]

(※以上は168頁より引用)


(※引用始)   アメリカにおいては、前述のとおり、連邦法及び州法がそれぞれ独自に児童ポルノを規制するが(25)、本稿では、児童ポルノの州間取引及び対外取引等を規制する連邦法を取り上げることとする(26)。これは、インターネットを通じた児童ポルノの流通が一般的に行われているところ、そのような流通が州外あるいは国外のサーバーを経由せずに行われることが極めてまれであるため、そのほとんどが連邦法の規制対象となるためである。

  現行法上、児童ポルノ規制は、合衆国法典第 18編第110章第2252条、第2252A条及び文言の 定義を与える第2256条によって骨格が形成され ている。これらによれば、規制対象となる表現 は、あからさまな性的行為を描いた、写真、映 画、ビデオ、絵画、コンピューター画像等の視 覚的描写、また、未現象のフィルムや画像に変 換可能な電子データ等であって、以下のいずれ かに該当するものである。すなわち、①その描 写の制作過程で、あからさまな性的行為を行う 18歳未満の児童を使用しているもの、②18歳未 満の児童があからさまな性的行為を行ってい る、又はそれと区別がつかない(indistinguishable)デジタル映像、コンピューター画像、コ ンピューターで制作された映像、③識別可能な 18歳未満の児童があからさまな性的行為を行っ ていると見える(appear)ように創作、改作又 は修正されたものである。これらのうち、の 「それと区別がつかない」は、1996年法で第 2252A条が創設された際には「~のように見え る」とされていたが、2002年判決で違憲とされ たため、PROTECT法で現行のとおり対象範囲 を限定するため修正されたものである。

 処罰対象となる行為は、①故意による児童ポ ルノの郵送、輸送、受領、頒布、頒布目的の複 製、販売、販売目的の所持、②故意による児童 ポルノの所持(単純所持)、③18歳未満の児童に よるあからさまな性的行為のわいせつな視覚的 描写、又は18歳未満の実在の児童によるあから さまな性的行為の視覚的描写の広告、奨励、頒 布等、④違法な行為への参加を勧める目的での、18歳未満の児童があからさまな性的行為を 行っている、あるいはそのように見える視覚的 描写の18歳未満の児童への提供等である。①、 ③、④の場合は、罰金及び5年以上20年以下の 自由刑が、②の場合は、罰金又は10年以下の自 由刑あるいはそれら双方が科される。

25 したがって、連邦法及び州法のいずれもで処罰される可能性もある。

26 処罰対象となる行為の範囲について、18U.S.C. 2252,2252Aを参照。また、以下も参照。Child Exploitation and Obscenity Section,U.S. Department of Justice,Citizen’s Guide to United States – Federal Exploitation and Obscenity Laws. 〈http://www.usdoj.gov/criminal/ceos/citizensguide.html〉

(※以上は51-52頁,諸外国における実在しない児童を描写した漫画等のポルノに対する法規制の例,間柴泰治,国立国会図書館調査及び立法考査局,レファレンス 58(11) (通号 694) 2008.11より引用)

(※引用始)  アメリカにおいては、連邦法及び州法がそれぞれ独自に児童ポルノを規制するが、本章では、児童ポルノの州間取引及び対外取引等を規制する連邦法を取り上げることとする。これは、インターネットを通じた児童ポルノの流通が一般的に行われているところ、そのような流通が州外あるいは国外のサーバーを経由せずに行われることが極めてまれであるため、そのほとんどが連邦法の規制対象となるためである(20)。

 現行法上、児童ポルノ規制は、合衆国法典第一八編第一一〇章二二五二条、二二五二A条及び文言の定義を与える二二五六条によって骨格が形成されている。これらによれば、規制対象となる表現は、あからさまな性的行為を描いた、写真、映画、ビデオ、絵画、コンピューター画像等の視覚的描写、また、未現象のフィルムや画像に変換可能な電子データ等であって、以下のいずれかに該当するものである。すなわち、①その描写の制作過程で、あからさまな性的行為を行う一八歳未満の児童を使用しているもの、②一八歳未満の児童があからさまな性的行為を行っている、又はそれと区別がつかない(indistinguish-able)デジタル映像、コンピューター画像、コンピューターで制作された映像、③識別可能な一八歳未満の児童があからさまな性的行為を行っていると見える(appear)ように創作、改作又は修正されたものである。これらのうち、の「それと区別がつかない」は、一九九六年法で二二五二A条が創設された際には「~のように見える」とされていたが、二〇〇二年判決で違憲とされたため、PROTECT法で現行のとおり対象範囲を限定するため修正されたものである(21)

  処罰対象となる行為は、①故意による児童ポルノの郵送、輸送、受領、頒布、頒布目的の複製、販売、販売目的の所持、②故意による児童ポルノの所持(単純所持)、③一八歳未満の児童によるあからさまな性的行為のわいせつな視覚的描写、又は一八歳未満の実在の児童によるあからさまな性的行為の視覚的描写の広告、奨励、頒布等、④違法な行為への参加を勧める目的での、一八歳未満の児童があからさまな性的行為を行っている、あるいはそのように見える視覚的描写の一八歳未満の児童への提供等である。①、③、④の場合は、罰金及び五年以上二〇年以下の自由刑が、②の場合は、罰金又は一〇年以下の自由刑あるいはそれら双方が科される(22)。

(※以上は135-136頁より引用)

(20) 18 U.S.C. 2252, 2252A

(21) 間柴[二〇〇八]五二頁。

(22) 18 U.S.C. 2252, 2252A

(※以上は168頁より引用)


(※引用始)  第 2252A 条においては「児童ポルノ(child pornography)」の文言を用いて処罰対象行為の要件を規定する。この「児童ポルノ」の定義は、前出の第 2256 条(8)項で規定され、同条の他の項において関係する文言の定義を規定する構造となっている。これらの規定に よれば、「児童ポルノ」とは、おおよそ次のいずれかに該当するものを指すこととなる。

①性的に露骨な行為を行っている未成年者(18 歳未満の者(第 1 項)。以下同じ。)の使用を 伴って製作された視覚的描写
②デジタル画像、コンピューター画像またはコンピューター処理された画像であって、性的 に露骨な行為を行っている未成年者のものであるか、それと見分けがつかない形態である 視覚的描写
③身元を特定し得る未成年者が性的に露骨な行為を行っているように見えるように、創作さ れ、翻案され、又は修正されている視覚的描写

  以上から、いずれも「性的に露骨な行為(sexual explicit conduct)」を要件に含み、これが児童ポルノを定義する上で重要な文言であることが分かる。この「性的に露骨な行為」 の定義は第 2256 条(2)項で規定されているが、この規定を整理すると、以下の図 2 のと おりとなる。すなわち、当該視覚的描写の製作に未成年者が関与するか否かによって分類 され、更に性行為等を伴うか否かで分類されて規定されている。……

 第 2252 条は、第 2252A 条のように「児童ポルノ」という文言は使用せず、本文中で これに相当する物の要件を規定する。すなわち、①その製造が、性的に露骨な行為を行っ ている未成年者の使用を伴い((A)号)、かつ、②未成年者が行う性的に露骨な行為を描写 している((B)号)、③視覚的描写をいう。

(※以上は5-7頁,日米英における児童ポルノの定義規定,間柴泰治,国立国会図書館調査及び立法考査局,調査と情報 (681), 1-10,巻頭1p, 2010-06-08より引用)

(※引用始)  二二五二A条においては「児童ポルノ(child pornography)」の文言を用いて処罰対象行為の要件を規定する。この「児童ポルノ」の定義は、前出の二二五六条(8)項で規定されており、

いずれも「性的に露骨な行為(sexual explicit conduct)」を要件に含む。これが、児童ポルノを定義する上で重要な文言であることが分かる。この「性的に露骨な行為」の定義は二二五六条(2)項で規定されているすなわち、当該視覚的描写の製作に未成年者が関与するか否かによって分類され、更に性行為等を伴うか否かで分類されて規定されている(25)。

  二二五二条は、二二五二A条のように「児童ポルノ」という文言は使用せず、本文中でこれに相当する物の要件を規定する。すなわち、①その製造が、性的に露骨な行為を行っている未成年者の使用を伴い((A)号)、かつ、②未成年者が行う性的に露骨な行為を描写している((B)号)、③視覚的描写をいう(27)。

(※以上は140頁より引用)

(25) 間柴泰治[二〇一〇]「日米英における児童ポルノの定義規定」『調査と情報』六八一号、五-六頁。

(27) 間柴[二〇一〇]六-七頁。

(※以上は169頁より引用)



1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-12-02 08:50:35
オレオレオレだよオレ氏は間柴論文からの剽窃を指摘しているおり、間柴論文は著作権法第十三条の四「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの 」に該当しないかと思いますが、どうお考えでしょうか。

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