国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

12月22日の韓国の旅券法改正は、北朝鮮主導の半島統一に韓国外交通商部が協力していることを示す?

2006年12月29日 | 韓国・北朝鮮
●「危険国家」行きは違法  来年3月から KBS WORLD Radio 2006-12-25 14:55:37 Updated.

来年3月から戦争やテロ、暴動などが起きて危険度が高い国には人道的な救助活動や公務などの例外を除いては訪問できなくなります。
外交通商部は、22日に国会で成立した旅券法の改正によって、危険地域では旅券の効力が停止すると発表しました。
改正された旅券法によりますと、自然災害や戦争、内乱などによって治安状況が危険な海外の国や地域を対象に、韓国政府が国民を保護するために旅券の使用を制限したり、訪問・滞在を一時的に中止させることができるようになります。
ただし、人道主義的な活動や公務の遂行、取材のための訪問は例外として認めるとしています。
そしてこれら旅券の使用が制限されている地域を無断で訪れた場合には1年以下の懲役や300万ウォン以下の罰金刑が課せられます。こうした措置は来年3月から施行されます。
http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_detail.htm?No=26090





キューバ - Wikipedia

アメリカ合衆国下院は2003年9月9日、米国人のキューバ訪問禁止解除の法案を可決(今回で4度目の可決、賛成227、反対188)。10月23日には上院も同趣旨の法案を可決(賛成59、反対38)。いずれもブッシュ大統領の所属する共和党主導で行なわれた。連邦財務省の試算によれば、2002年に合法的にキューバを訪問した米国人は約16万人で、うち半数はキューバ系米国人、ほかに人権団体、教育関係者、ジャーナリスト、外交官など。それ以外に罰金・禁固刑のリスクをかえりみず、カナダ、メキシコ経由で違法にキューバ渡航する者も多いと財務省当局はみている。レーガン大統領の時代、罰則は25万ドルの罰金と10年の懲役へと引き上げられている。渡航禁止が解除された場合、初年度の渡航者は100万人に達すると財務省は試算。

国連総会は11月4日、米国の42年間におよぶ対キューバ通商禁止解除を求める決議を可決(賛成179、反対3、反対はイスラエルとマーシャル諸島、アメリカ合衆国。この決議は今年で12回目)。米国上院はさらに、外交委員会が渡航禁止解除を決議(11月6日)。

ブッシュ政権は2004年の大統領選に向け、大票田であるフロリダ州のキューバ系米国人票をつなぎ止めるため、上下両院で可決された法案に対し拒否権発動の姿勢を崩さない。キューバとの通商はフィデル・カストロを利するだけで、一般のキューバ人への利益にはならないというのがブッシュ政権の説明。




海禁 - Wikipedia

海禁とは、中国の明朝(1368年 - 1644年)、清朝などが行った制限貿易政策である。明では1372年に発令。

1386年、元末の反乱集団のなかから、朱元璋(洪武帝)は元(1271年-1368年、モンゴル帝国)を北へ逐って明を建国する。当初には元末反乱集団残党の活動鎮圧などを目的に海外貿易の制限が行われたが、元代までの民間貿易興隆は引き継がれ、永楽帝時代には鄭和の南海遠征など対外発展が見られたが、朱子学の採用、農本抑商主義、自給自足体制、中華思想の復興を指向し、治安維持や倭寇対策として朝貢形式の私貿易や中国人の海外渡航禁止が原則となり、在外中国人の帰国に制限がかけられた。これによって出来た体制を海禁朝貢体制という。

南方では、主に琉球や安南、日本やマラッカとの交易が行われた。倭寇鎮圧に応じた日本の室町幕府との交易は遣唐使停止以来で、3代将軍足利義満時代から朝貢・制限貿易形式の日明貿易が行われていた。日明貿易は義満の死後に停止するが、その後再開される。

明により北へ逐われたモンゴルは通商を求めて侵入を繰り返たため、北方での軍事費増大は中国国内での銀不足を招き、銀需要が発生。1523年に日本の朝貢使節同士が衝突して寧波の乱が起こり海禁が強化されると、生活を奪われた人々は武装密貿易や海賊活動に転じ、再び倭寇(後期倭寇)が活発化する。明朝は「北虜南倭」と呼ばれる外敵の防衛に追われる事となった。中国東南の沿海には密貿易の拠点が出現し、日本の博多商人や東南アジアのポルトガル人らも参加、王直や徐海らの頭目が活躍する嘉靖大倭寇と呼ばれる状況になる。有力商人や紳士らも活動を支援し、新大陸や日本の銀を仲介。

後期倭寇は明将戚継光らの制圧で活動が沈静化し、1567年には海禁を解除して民間交易を許可。1570年にはモンゴルとも和議が成立。日本でも豊臣秀吉が海賊停止令を行い、倭寇は沈静化する。16世紀から17世紀にかけて大量の銀が海外から明国内に流入するようになり、中国経済に大きな影響を与える事になる。

1616年に成立した清朝は、台湾に拠り抵抗した鄭氏や対南明対策のために海禁を強化する。だが、海外からの銀の流入が停止された事で清国内は一種のデフレ状態に陥って、経済が一時破綻寸前にまで追い込まれた。このため、1684年に鄭氏が降伏すると緩和されるが、1711年からは南方交易の制限が取られ(外国船は対象外)、1757年からは再び広州(粤海関)に限定した一種の保護貿易を行う。アヘン戦争に敗北した後の1842年に締結された南京条約により撤廃され、開国する。

同様の政策は李氏朝鮮や日本の江戸幕府(「鎖国」)など東アジア各国で行われている。





【私のコメント】
KBS WORLD Radioによると、2006年12月22日に外交通商部が国会で成立させた旅券法の改正により、2007年3月以降は韓国政府が指摘した危険区域では旅券の効力が制限されるという。危険地域では韓国政府は国民を保護しないと宣言する訳だ。仮に韓国政府が危険区域指定を行うと、指定された国に入国しようとする韓国人、現在滞在している韓国人は有効な旅券を保有しないことになり、入国管理局が入国拒否&国外追放を実行する可能性が高い。

更に注目されるのは、韓国政府が危険地域への訪問・滞在を一時的に中止させることが可能となり、違反すると1年以下の懲役や300万ウォン以下の罰金刑が課せられるという内容だ。この「一時的中止」を無期限に延長し、全ての外国を「危険地域」に指定すれば韓国人の外国渡航は不可能になる。

日本の旅券制度ではこのような制限や処罰は存在しない。国交のない北朝鮮に対しても日本人は自己責任で渡航が可能である。先進国の類似した例としては、キューバ系米国人の里帰りなどの例外を除いて米国市民のキューバへ訪問を禁止する制度が挙げられる。これは、フロリダ州のキューバ系米国人票を繋ぎ止めるという政治的目的で実行されている、かなり特殊なものであり、キューバが危険地域だからではない。また、韓国にはそのような帰化人の政治勢力は存在しない。

この韓国の新しい外国訪問規制は、西側の先進国ではかなり稀なものだ。旧共産圏の国々でも中国では海外旅行が認められており、同様の規制が存在するのは北朝鮮ぐらいではないだろうか?従って、来るべき北朝鮮との統一に向けて、北朝鮮の出入国管理制度に韓国のそれを近づけていく動きと考えることもできるだろう。それは、北朝鮮主導の半島統一を韓国の外交通商部が推進していることを意味すると思われる。

もう一つ、アヘン戦争以前の東アジアで一般的であった海禁政策(日本の鎖国政策と同じ)を韓国が再開しようとしているという見方もできるだろう。国際金融資本の世界覇権が消滅する近未来には、東アジアの国際秩序は日清戦争以前、あるいはアヘン戦争以前の状態にかなり近づく可能性があるからだ。中国が統一朝鮮の宗主国になった場合、中国は統一朝鮮が中国を差し置いて活発な貿易を行うことを容認しないと思われる。朝鮮半島国家の人や商品の対外交流が制限された状態は、李氏朝鮮時代の海禁政策そのものである。この政策は難民の抑制に非常に有用であり、日本にとっても好ましいものだ。

現時点では韓国政府が危険区域を指定していないと考えられ、韓国人の旅券の効力には影響はないと思われる。しかし、「自己責任でどこにでも渡航できる」システムから、「韓国政府の認める地域だけしか渡航できない」システムへの劇的な切り替えが既に実行されたことには注目せねばならない。

 既に、2006年7月1日には済州島が特別自治道に指定され、外交、司法、国防を除くすべての権限が国から委譲されるという謎の制度が実行されている。これは朝鮮半島が赤化統一され、現在の韓国政府が済州島に落ち延びて台湾的存在になるための準備ではないかと2006年8月16日付のブログ記事に書いた。今回の旅券法改正も、現在の韓国政府が済州島等に亡命し、朝鮮半島が北朝鮮により赤化統一されるシナリオに沿って韓国外交通商部が着々と準備を進めている様に思われる。例えば以下のようなシナリオが挙げられる。

1.盧武鉉大統領の激しい韓国軍批判に激怒した韓国軍がクーデターを実行、ハンナラ党・中央官庁もそれを支持して無血クーデターが成功。盧武鉉大統領は中国or北朝鮮に亡命する。在韓外国人も韓国を脱出。2006年9月のタイでの無血クーデター成功の再現とマスコミが賞賛、韓国国民が喜ぶ。

2.盧武鉉大統領は中国or北朝鮮に亡命政府を設立、北朝鮮軍の介入を要請する。

3.米国がクーデターへの非難と米韓軍事同盟の停止を宣言すると同時に北朝鮮軍(人民解放軍出身の義勇兵を多数含む)が韓国領土に侵入、半島全体を統一。韓国軍将校は兵士を置き去りにして、中央官庁の役人、マスコミ関係者と共に済州島に脱出する。在韓米軍も直ちに日本を経由して米国に撤退する。

4.統一朝鮮国家が済州島国家と日本を危険地域に指定し、中国以外の国家との間の対外貿易や外国訪問を禁止することで、朝鮮半島からの難民流出が効果的に抑制される。盧武鉉大統領は統一への貢献の御褒美として米国等への出国を許され、そこで在韓米軍の無血撤退を成功させた功績を称えられながら家族と暮らす。


上記のシナリオには日本は参加しないが、例えば北朝鮮と日本の交戦で韓国が北朝鮮側に付く、あるいは竹島を巡る日本と韓国の紛争が発生するなどの形で日本が参加する別のシナリオもあり得るだろう。

いずれにせよ、韓国の中枢階層は既に韓国という国、韓国の一般庶民を見捨てており、自分達だけが済州島国家や米国に逃げて助かることを望んでいる様に思われる。そして、韓国を陥れるための罠のシナリオに今や韓国政府自身が積極的に参加し、自分達の身の安全と引き替えに韓国の一般庶民を生贄にする計画が実行されている様にすら思われる。
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1 コメント

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某マンガ風に言うなら (Kama Sutra)
2006-12-29 08:38:04
電撃的統一という「蝕の時」が近づいてますな。韓国国民という生贄を捧げることで、盧武鉉は金正日の使徒になれるというわけだ。

金正日「一言唱えよ。『捧げる』と」
盧武鉉「捧げる」

盧武鉉「どうしたことだろう。韓国民が大勢死んでいるのに何も感じない....」
金正日「望むものは何か」
盧武鉉「アメリカへの移住を」

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