プリマベーラ進化論。

不思議の国のアリスは、
大海原に小舟で漕ぎ出ました。

沖くん②

2006-08-21 21:21:21 | Sound Schedule
東京の喧騒はいろいろなものを薄めてくれる。
自分の中のどうしようもない感情や目を覆いたくなるような弱さを。
だから私は東京の喧騒の中にいると無条件に安心できる。
でもそれはただ決定的なことから目を逸らしているだけに過ぎず、実は問題の先送りをしているだけ。

それでも私は喧騒に身を浸す。
人々のつながりや、神さまの存在さえも。
すべてを呑み込んでいく喧騒は、誰にとっても居心地のいいぬるま湯のようで。
希薄さや虚無感が私の感覚を鈍らせていく。
自分と世界の境界線さえも薄めて、輪郭を分からなくさせる。
いつも、いつだって傷つきたくない弱い私は喧騒の中に逃げ込む。
実は傷ついていることに気づかなくなっているだけのことにさえ気づくことなく。
誰かを愛したり、愛されたりしている大切な感覚さえも失って。

自然は素朴で厳しくて、普段は目を逸らしているものを浮き彫りにするから苦手だ。
否が応でも、感覚が研ぎ澄まされていくから。
目を覆いたくなるような現実に、目を向けざるを得ないから。
私にとって傷つかない場所は都会であり、脳内パラダイスの中であり、
でもそんなことを言っている場合ではないことくらい、いい加減分かっている。
いつまでたってもぬるま湯に浸かっている訳にはいかないのだから。

もう傷ついても大丈夫。
きっと都会の喧騒はふわふわといつもそこに存在しているから。傷つくことで見える世界もあるから。
私にとっての「窓の向こう」は都会じゃなくて自然なんだ。
でもこれからは喧騒というシェルターから抜け出して、目の前にあるものをまっすぐ見つめて生きていくよ。
傷つくことを恐れないよ。もう平気だから。

『窓の向こう』
ベース沖くんによる作曲パート2。2ndアルバム「456」収録曲。
梅雨のときや、どうしようもない気持ちに襲われたときに聴きたくなる。そして泣きたくなる。
涙を流したあとは、心がきれいになる。そんな不思議なヒーリング効果のある曲。
陽というよりは陰。でも決して暗くはなくて、2番のサビでは大石くんの伸びやかな声とともに、希望の光が見える。

歌詞は、田舎から都会に出てきて、失恋して、都会の喧騒から逃れて生きている大学生が
自分の部屋の「窓の向こう」を体育座りをして眺めている感じ。胸の中にはやりきれない思いを抱えながら。
世の中の色はすべてくすんでいて、でも失恋相手がいつも差していたオレンジ色の傘だけが鮮やかに描かれている。
彼女との思い出がそれだけ主人公の中でまだ鮮明であることが分かって切ない。

最近くすぶっているな、なんだかイライラする、という方には是非!
「456」をお買い求めの上、『窓の向こう』をお聴きいただくことを強くオススメいたします♪