マインドフル・プラネット

北米ジャーナリスト、エリコ・ロウ発

絶望に効く薬を求めて

2005年07月14日 | Weblog
7月13日

5月以来、カナダ移民の申請やらエコビレッジの家売却と引っ越し準備などに追われ、ブログにはご無沙汰してしまった。引っ越し計画は二転三転し、結局、売った家をそのまま借りて、来夏までここにいることになった。近所の人々はそれを知って嬉しそうだ。べつに私たちがここで人気者というわけではなく、ここの住民は、誰か出ていくとなると自分たちのコミュニティーが拒否されたような気になってがっかりするようなのだ。バンクーバー移住の前にまずシアトルに越すと話しだすと、急に周囲の態度が冷たくなった。ような気がしたが、最近では、やっぱりここにいるんだってねえ、と人々はニコニコ寄ってくる。

さて、ブログを再開するモチベーションをくれたのは、週末に遠路はるばる埼玉から(実はマンタッハンに小野洋子さんを訪ねたついで)来てくださったコミック・ジャーナリストの山田玲二とライターの佐藤博之さんの珍道中組である。山田氏が連載中の「絶望に効く薬」というコミックの取材のために、絶望した日本の人々への救いのヒントを求めて世界行脚を続けていると奇特なふたり組。ずっと連絡をくれていたのは佐藤さんだったので、もしかして山田氏はくらーいコミックオタクなのかも、と内心恐れていたのだが、予想に反して、ふたりとも、すかっと天に抜ける明るさだった。アランはひとめみて、二人揃うと、ロックスターみたいだね。ちなみに山田さんは長髪で、佐藤さんは茶髪がパッパとたっていたのだ。おふたりを出来たばかりの地球博物館にお連れしたら、山田氏は、たぶん古代の海の巨大な壁画を描いていたアーティストに見そめられ、「手伝ってくれ!」と乞われて、壁画アートに一筆加えることになった。これで、山田氏は、
美術館収蔵画家の仲間入りである。

おふたりはそれはいろいろな人にあって、それなりの徳を受けてきたようで、とても面白い話をずいぶん聞かせていただいた。
なかでも、唸ったのは、バッドトリップした輩を正気に戻すメディスンとして、セージの葉のスマッジが役に立つ、そうだ、という話だった。セージのスマッジはアメリカ・インディアンの文化では邪悪なエネルギーを祓う清めの薬草なのである。

それにしても、日本に住む日本人と久しぶりに会って話をするたびに、人を絶望に追い込みやすい日本の鬱屈した空気が思いやられる。何に対してもきまじめ過ぎるということなのだろうか。小さな島なのにどんどん自然を伐採してコンクリートで自分たちを囲んでしまったから、息がしずらくなっているのもウツを招きやすい一因ではないか、と思うのだが。大自然と一体となってそのなかでの自分の存在をたかみから見れば、閉塞状況から脱するための光も見えるのではないかと思うのだが・・