マインドフル・プラネット

北米ジャーナリスト、エリコ・ロウ発

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ハナ歌で年明け

2008年01月08日 | Weblog
 謹賀新年。

 アメリカで充足した生活を送っていながら、なぜカナダへ引っ越したのか、というコメントをいただき、どうお答えしたものか、とあれこれ考えているうちに、年が明けてしまった。
 最大の要因は、その理由をうかつにネット上などでは書けない国になってしまったからだからだ。在外米国人は目をつけられていて、コメントの書き手だって、もしかしたら一般市民ではないかもしれないから、ひょんな発言で非国民のブラックリストに載せられたらかなわぬ、というのは、あながち私の被害妄想ではないのだ。
 自由の国を宣伝文句にしてきた米国は、自国防衛にかこつけたパラノイアで、いつのまにか、情報統制、情報操作ではかつてのソ連なみになってしまったように思える。不安、おびえが根底にあるから、一般市民も政府も、ちょっとしたことに過剰反応するし、いらだちで、トガっている。
 米国の大都市では一般のオフィスビルにも検問があり荷物チェックは普通だし、客を呼んだ人がロビーまで迎えに来ないと部外者は会社訪問できないところも少なくない。人を見たら疑えが、いまの米国では当たり前の常識になってしまっているのだ。
 移民に伴い、車を米国から輸出し、カナダに輸入する手続きをとらねばならず、国境で米国とカナダの移民局のはしごをしたときにも、米カの国民性と対外意識の違いを実感した。
 米国側のオフィスは建物も四角張り、中はグレーで、ワシが目を光らせた国土安全保障局のロゴが目立つ。職員も武装し威圧的で、雰囲気は警察のようで、不審物を恐れ、トイレもない。
 ところがカナダ側に回れば一転、インテリアもピンク基調で流線形。職員は歌を歌い、見学に来た小学生の団体が館内で鬼ごっこに興じ、雰囲気は高級病院の小児外来のようにアットホームだった。職員がにこにこと親切なのは、言うまでもない。
 つい数日前、トロント空港で飛行機を操縦したいと主張する男にコックピットを乗っ取られる事件があったが、これもカナダらしい結末だった。犯人は乗客に説得されて大人しくつかまり一件落着、男は強襲と悪戯で起訴されただけだった。男がもし国境の南で同じことをしていたら、テロ事件と大騒ぎになり、男はたちまち始末されていたことだろう。

 新年そうそう難しい話はさておき。私はこの数日、鼻歌まじりの日々を過ごしている。西宮から来ていた、歌うお母さん、ナオミさんの鼻歌癖に感染してしまったようなのだ。ナオミさんは8歳で天才画家として名を馳せたジュンイチのお母さん。ジュンイチ一家はクリスマスと新年を一緒に過ごそうと、遊びに来ていて、昨日、帰国したところだ。かつてはファッションデザイナーとして活躍もしていたナオミさんはバンクーバー休暇の間中、料理ばかりか掃除にまで精出してくれ帰る朝には使ったベッドのシーツまで取り替えていってくれるという家事大好きのスーパー主婦でもあり、理想的な滞在客だった。
 ジュンイチはいまでは18歳、高校卒業寸前。過去10年近く、学業と共にプロのイラストレーター顔負けのアートの注文制作もこなしてきたスーパー・ティーンだが、卒業後は、世界のどこで何を学びたいか、旅をしながら調査検討する予定という。彼の学校では、そのまま大学進学しないのは彼ひとりだという。隣に倣えで安易な大学選びをしないジュンイチの独立独歩のスピリットは逞しく、頼もしい限り。せっかくだから、狭い日本で周囲をみてあせらず、世界中を放浪して自分の内なる世界を広げて欲しいものである。
 さて、一家が帰って、妙にシーンと静まりかえった居間でソファーで一息ついていると、ジュンイチがピアノで弾いてたビリー・ジョエルの曲が鼻歌で出てきた。お、また鼻歌だ、と思いつつ、新聞をひらくと、一面に「歌を歌う人は長生きする」という記事が出ていた。最近発表された医療統計調査によると、日常的に歌を歌っている人は免疫力も強く、病気にかかりにくく、長生きしやすいのだそうだ。
 そういえば、発声で心身の歪みを癒すサウンドセラピーも流行っている。セラピストに取材に行ったときに、では日本のカラオケ人気も健康に良いのでしょうか、と尋ねたら、「飲酒と喫煙を伴わなければね」という答えが返ってきた。

コメント (3)   この記事についてブログを書く
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3 コメント

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確かに・・・ (りでぃあ)
2008-01-09 06:59:42
>最大の要因は、その理由をうかつにネット上などでは書けない国になってしまったからだからだ。

確かにそうですね。

マイケル・ムーアの映画を何本か観てから、
カナダはなんとな~く気になる存在です。

何度か訪れて自分で体験してみるのが良いのかもしれませんね。
こんにちわ (obreykov)
2008-01-10 11:20:55
校友の歌からこちらに飛んできたストックホルムに住むへミです。
同じクラスにはなったことないようですが、クラスは近かったようですね。
同じ日本を離れている身として、今後ともどうぞよろしく。
私のブログにリンクを張ってもよいかしら。。。
私は日本へ1年間留学をしていた娘と日本に住む両親に、こちらの様子を知らせる手段としてブログを書き始めたのですが、ブログを通して知らない友人もできて、この頃は読者(?)を意識して書かなくてはと思いつつ、家族中心の日常の出来事しか書けずにいます。
偶然「徒然」ということで、ますます嬉しくなりました。
それでは今日はこの辺で!
歌と長生きの関係 (izumi)
2008-01-30 01:59:03
エリコ・ロウさん、こんにちわ!今日、日本の北陸地方に住む友人と自分の死とどう向き合うかという話になり、そこで私はエリコ・ロウさんの新刊を思い出したので、話題にしました。もう友人は「まさに私がずっと考えていたこと。夫にそんな話をしても『なぜ君は考えても無駄なことを考えるのだ』と取り合ってくれないし、自分の中で大きな問題としてずっと引きずっていたの。そうよ、その本。早く手に入れたい~!」と興奮気味の友人。私は本をプレゼントする約束をしてしまいました(笑)。

話は変わりますが、長生きと歌を歌う因果関係について詳しく知りたいです。新聞にはどのように発表されていたのですか?可能であればデータのことや、記事の内容を詳しく教えて欲しいです。

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