マインドフル・プラネット

北米ジャーナリスト、エリコ・ロウ発

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人より賢いカナダ鴨の教え。

2005年04月22日 | Weblog
4月22日

 バンクーバーからイサカに戻ってきて1週間。私たちの留守中に、エコビレッジには、昨夏、夫婦で飛来して巣をつくり、子供をつくり、さんざんの論議をよんだ末に渡っていったカナダ鴨が親子で戻ってきたようで、あわてた住民たちは鴨ファミリーが巣をつくろうとした池のまんなかの中州に金網でフェンスを張ってしまっていた。住民の多くは、鴨に水を汚されては池で泳げなくなると、鴨と池をシェアすることには猛反対なのである。
中州から徒歩で水に入れないようにすれば、暮らしにくいので、巣づくりを諦めるだろうというこざかい画策である。鴨ファミリーがうろうろ、フェンスの抜け穴を探し歩いた末、一斉に飛び去ったのをみて、住民たちは、作戦成功と大喜びしたが、鴨ファミリーもそうそう簡単には諦め切れないとみて、毎日どこからか戻ってきては、いったりきたり、対策を練っているようである。
鴨4羽との共生も拒むようで、どうしてエコビレッジと名乗れるのか。まったく呆れたエゴビレッジである。

と書いてから2週間。今年も結局は、鴨の勝ちとなったようだ。おそらく他に行き場もないため、居残りを固く決心した鴨の夫婦は、何と、住民が柵に張り巡らしたネットを利用して、巣をつくり、しっかり卵を産んでいたのである。
米国ではカナダ鴨は野鳥保護法の対象で、いったん卵を産んでしまったら、その破壊はおろか孵化防止のハラスメントも違法で、さすがの反鴨派も諦めざるを得なくなった。柵を残しておくことも、鴨の水へのアクセス妨害となるため、反鴨派はしぶしぶ、柵取り外しパーティを開くことになった。

 そもそも昨夏、ケンケンがくがくの元になったのは、池にカナダ鴨のカップルが顔をみせはじめたのを見て、池は子供や住民の水浴の場と決め込んでいる住民たちが、水が鴨もふんで汚染され、人が水に入れなくなる、鴨が水浴中の子ども達に向かって襲いかかってくる。と騒ぎ出したのである。そこで鴨追い出せ派が鴨に石を投げ出したのだが効果はなく、強硬派が銃で撃つと言い出すに至ってはついに黙っていられなくなり、エコビレッジの名が泣くぞ!と住宅街を銃を持った人間に歩き回られるのはたまらん!と怒りのメールを発信したのは私である。その後、住民は鴨追い出し派、受け入れ派に対立。「鴨は我々を試す神の化身やもしれぬ。それに石を投げてよいのか」という長老の声もあったが、子持ち家族の多くは、子供の水遊び場を失われては大変と息巻いている。

そこで私は張本人の鴨の言い分も聞くべきだと考え、動物とテレパシー交信できるサイキックの友人に、カップル鴨との交信を試み、人間が水汚染と鴨の攻撃性を恐れている、あっという間に鴨の大群に池を乗っ取られることを恐れていることを伝えてもらうことにした。
下記がカップル鴨の言い分であった。
「自分たちの群れはこれまでの棲息地を土地開発で失い、旅にでたがずいぶん長い間、探しても巣づくりができる水辺がみつからず、群れは離散。ここは癒しの地だと聞き、やってきたが、人間が石を投げてくるのでわけが分からず困惑していたところだ。自分たちのせいで池が汚れるというのはどういうことか分からない。池は魚や虫や自分たちのような鳥のためにあるものではないのか。それに自分たちにとっては子供の方が脅威だったのだ。ここの人間が自分たちを受け入れたくないとしりショックで失望した。そんな地にはいたくないが、他にどこに行けというのだ。もう卵を産んでしまって、私たちは動きたくても動けない」。
 鴨のお告げを信じる人も信じない人ももちろんいたが、不思議なのは、その翌朝から、鴨が子供を追いかけるのを辞めたことである。
 興味深いのは、この鴨のお告げが、強硬な反鴨派だった、元米国人権運動協会のレスビアン弁護士の老女をすっかり変えてしまったことだ。
 鴨が子供を襲わなくなったと最初にメールを放った彼女はその後も毎日、鴨も動きを仔細に観察しては、その動向をメールで村に報告するようになった。
 頑固者だから、彼女はけっして自分の改心は口にださないが、その観察記を読めば、彼女が鴨に愛着を感じだしたことは明らかだった。

 というわけで今年になって再飛来した鴨の登場を告げたのも彼女だったし、雄ガモが後から飛んできた鴨を追い出す様子を報告するのも彼女だし、すったもんだのあげく、どさくさに紛れての産卵作戦でこの夏も居座りを決めた鴨をみて、
「鴨に軍配!」とメールを送ったのも彼女なのである。
 
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1 コメント

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鴨の気持ち (亜矢子)
2005-04-22 10:54:27
素敵なブログですね。

うちからリンク張らせてください。



鴨とのおしゃべり、感動してしまいました。

なんだかこちらの心までほぐれてしまいました。



また来ますね。



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