1回目、いつもの田んぼでカラスを狙う。
建物のすぐ隣の畑で30羽ほどのカラスが餌をついばんでいた。
300mほど離れた電柱にサーシャを上げる。少しすると、スタートした。
電柱2本分くらいの高さでユラユラ、ソアーしている。
カラスからは、建物で見えにくい方向から近づいているようだ。
そして、建物の屋根を越えるとサーシャはすぐさま襲撃!テールチェイス!
電柱の高さより、やや低い位置であっけなくカラスに追いつき、私の目の前でカラスの腰辺りに掴みかかる。
ガサッ!
サーシャの爪がカラスに接触した音が聞こえた。
「ギャー!」というカラスの悲鳴。
「やった!」
と思いきや、またはずされた。こう何回もはずされるのはなぜか?
前から気にはなっていたのだが、訓練を毎日しているとどうしても爪が丸まる。
やはり、爪の鋭さが足りないのだろう。家に帰って、サーシャの爪をナイフで研いだ。
恥ずかしながら、爪を研いだのは初めてだ。
そういえば、「天皇の鷹匠」という本にハヤブサは、爪を鋭くしておかないと攻撃力が半減すると書いてあったな。
気を取り直して2回目。
カラスの群れは、田んぼに40羽ほど。
サーシャを放すと、数百m離れた場所でソアーし始める。どんどん上がって、150m~200mくらいの高さでソアリング。
カラスは、逃げずに田んぼで食事中。
いい感じ。あそこから一気に急降下するのか?
クルマの中で固唾を呑んで、ビデオカメラを構える。
期待通り急降下!
しかし、視界から消えた。
「あらら、どこ行っちゃったのよー!」
クルマから思わず降りたとき、カラスの群れがいっせいに飛び立つ。
サーシャだ!いつの間にかカラスの群れに襲い掛かっている。
速い!スピードが乗っている。
きっと、遠くで下りてスピードをつけて住宅街を遮蔽物に利用し、襲撃体勢に入ったのだろう。サーシャなりに工夫しているようだ。
しかし、爪をかけるところまでの惜しい攻撃はなかった。
3回目は抜き打ちでグローブからスタートしたが、あっけなく逃げられた。
4回目、電柱からスタート。テールチェイス型で襲撃。1羽のカラスをしつこく追跡。やや上からの急降下攻撃を加えるとカラスは行く手を失い、地面に下ろされる。尚もサーシャは、反転して地面のカラスに急降下。
しかし、すぐ隣の植え込みに逃げられ、ジ・エンド。
その後も他のカラスを追うが、お屋敷の中の大木にみんな避難してしまった。
悔しかったが、これだけやる気を出してくれるとやりがいがある。
爪を研いでいなかったのが悔やまれるが、前向きに行くしかない!
ハヤブサがやる気になれば、障害物がある場所でも十分いけそうだ。
体重789g。餌90g。