映画「大いなる沈黙へ~グランド・シャルトルーズ修道院」を観てきました。
どうやら混んでいるらしい、と聞いて昼間ではなく夜の部です。
予告編を入れると3時間もある作品なので、行くのにちょっと覚悟がいります。
厳格な観想修道院のカルトゥジオ修道会、スペインフリークのワタシにとってはカルトゥハと発音する方が耳馴染みのある修道会です。スペインにも何カ所かあって、女子修道会もあります。そのドキュメンタリー映画です。
修道士たちの生活を単純に切り取っただけの作品なので、3時間近い映像の中での人の声は本当にわずか。
監督はたったひとりで機材だけを持ち込み、半年近く彼らと一緒に暮らして撮影したといいます。
なのでヨーロッパで絶賛されたとか、並ばなくてはならないほとすごい映画、だけの予備知識で映画館に座ると痛い目に遭います。美しい景色と彼らの凛とした生き方、たたずまいだけが淡々と3時間流れるので、宗教的興味がなければ退屈極まりない映画でしょう(実際寝ている人がたくさんいました)。
ブラザーやシスターはほとんどの日本人にはまったく馴染みのない人たちです。
まして観想修道院は外界と基本的に遮断された世界で、ひたすら人生を神に捧げ、人間の救済を祈る集団です。つまり、キリスト教に馴染みがあったとしても彼らに会うことはほとんど出来ないのです。なのでこの映画の撮影にあたり、申し込みから撮影許可まで16年もかかったとか!
そういう人たちが21世紀になった今でも存在していることが素晴らしいことだと思っています。
がらんごろん響く聖務(3時間ごとに捧げる、日に寄って決められた祈り)を知らせる鐘の音、静かに歌われる聖歌、炊事修道士の出す包丁の音、鳥の声、水の流れる音。たったそれだけが1000年も続いているのです。
彼らの美しい生き方に敬意を払います。
修室(各修道士たちに充てられた自室)でひとり祈る姿は、密室に籠ってたったひとりで練習する私たちにもつながる部分がありそうな、なさそうな。
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