2012年10月28日(日) 14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : アレクサンドル・ラザレフ / 管弦楽 : 京都市交響楽団
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● チャイコフスキー : 弦楽セレナーデ ハ長調 作品. 48
ロシアの巨匠、ラザレフさんによるチャイコフスキー・プログラム。 期待感いっぱいです。
冒頭の印象的な旋律の数小節を聴いただけで、涙がこみ上げてきそうになりました。
愛らしいワルツの第2楽章が終わり、第3楽章の序奏が始まるまで緊張感。 半端じゃない!
この音のない沈黙の「間」には、ラザレフさんの思いが込められているような気がします?
いたる所に細かい指示や要求が出されていたことが窺い知れる、ラザレフさんの指揮ぶり。
限られたリハーサルの中で、自らの音楽を創りあげる「トレーナー」としての腕前はさすが。
ロシア風のノスタルジー、熱狂する民衆のエネルギー、穏やかな宗教的(?)な安息など。
ロシア音楽の持つ魅力が高度に洗練され、凝縮された名曲。 稀代のメロディー・メーカー!
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● チャイコフスキー : 交響曲第5番 ホ短調 作品. 64
作曲者自身の手紙には、「この曲には大げさな飾った色彩、不誠実な混ざりものがある」と。
聴きようによっては、当時の聴衆の「受け」を狙った「あざとさ」を感じられるかもしれません。
プレトークの際、「この曲が駄作でないことを証明したい」という抱負を語ったラザレフさん。
現代の聴衆にとっては、この曲のエキサイティングな要素は、むしろ大歓迎するところです。
思い切ってゆったり目のテンポをとったり、オケの強奏を抑制気味にコントロールしたり…。
随所にラザレフさん流のカラーが打ち出されていて、とても新鮮であり魅惑的な演奏でした。
前半のセレナーデでは充実した弦楽合奏。 後半の第5番では管楽器の聴かせ所が満載。
第2楽章での美しいホルンのソロを始め、その健在ぶりは頼もしく、誇らしくもありました。
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純粋な意味で、音楽の中に民族性がどれだけ反映されているものなのか?わかりません。
それでも、ラザレフさんの「アク」の強さの中に、ロシア「訛り」を感じとれた気がしました。
コメントが遅くなってしまいました。
前半の弦セレ、この演奏会の1週間前のチャイコフスキー響(PACとの合同)でも聴いていたのですが、どちらもいい演奏でした。ここ最近の京響のレベルの高さとラザレフさんのすごさを感じとれたような気がします。
後半の5番、京響でこの曲を聴くのは2度目だったのですが前回は小谷口さんがウィーンに留学してる時(一昨年のかんでんクラシック)だったのでその時とは全然違う感覚だったかもしれません。
とにかく金管がよく鳴ってたというのがこの日の演奏の第1印象。まるで京響がロシアのオケにでもなったかのような感覚。
第2楽章では木管のベルアップがあったのですが過去4回(これが生で聴くのは5回目でした)聴いた中でこれは初めて見たような。
演奏を聴き終わった時にはもう体力使い果たしてふらふらという状態。ここまで密度が高い演奏はそう聴けないでしょう。
アンコールは「白鳥の湖」から4羽の白鳥の踊り。これも随分凝った演奏だったような。
私はこのあと11/3の京都新聞トマト倶楽部10周年記念コンサート(指揮は大友さん)と昨日(11/10)のいずみシンフォニエッタ(今回京響メンバーが3人出てきてました)の「大地の歌」を聴きに行ってたのですがこれもすごい演奏でした。
ただラザレフさんの演奏があまりにもすごすぎて前者の方はちょっとおとなしめの演奏に聴こえてしまった感がありました。
若々しくエネルギッシュな演奏で、とても感動したのを覚えています。
それでも、今回のラザレフさんはその上を行く凄まじさ!
メリハリの効いたダイナミック演出、それでいて細部へも神経の行き届いたもの。
大友さんの指揮は、私もイマイチ、物足りません。
端正でスマートな印象がありますが、エンターテイメントの要素が少ないのかも。