2005年 「空中庭園」製作委員会 / 監督・脚本: 豊田 利晃 / 原作: 角田 光代
出演: 小泉 今日子 ・ 板尾 創路 ・ 鈴木 杏 ・ 広田 雅裕 ・ ソニン ・ 大楠 道代 他
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■ 家族っていったいなんなのか。 それを知りたくてこの小説を書いた。
書いても見つけられなかった答えを、この映画は見せてくれた。 - 角田さんのコメント。
■ 確かに、原作の一部が省かれていたり、新たな演出が加わった部分もありました。
ラストシーンは全く違っていましたが、家族の再生と希望は、はっきりと見えたような…?
■ ちなみに、角田さんのラストは、おばあちゃんのお見舞いから帰る路線バスの中。
家族が揃ってはいるものの、思い思いの席に座り、それぞれが違う景色を眺めています。
■ この家族は、今後どうなっていくのか? はっきりとした答えは見出せないままでのラスト。
それはそれで、角田光代さんの作家としての誠実さ・正直さを、私は感じています。
■ このDVDをみて、もう一度、角田さんの原作をじっくり読んでみたいと思いました。
きっと、新しい発見があるような気がします。 そんな思いをおこさせてくれるDVDでした。
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最近の私は、以前みた映画の中から、印象的な作品(原作)を選んで読んでいます。
今、夢中になっているのは、イアン・マキューアンの「贖罪」(映画の邦題は「つぐない」)です。
角田さんの作品に出会って最初の頃に読んだ本だから久しぶりに読み返してみたくなったよ。
DVDでは原作とまた違ったアレンジが見れそうだね。
巨大な団地や路線バス、それに、ラブホテル「野猿」も登場してきますが、
全体の印象としては、「どうもしっくりこないなぁー」というのが、私の本音でした。
原作に書かれている、家族間の心のすれ違いや通い合いが、十分に表現されていない…
辛口の批評になりますが、「映画は原作を越えられなかった?!」という感じでした。
家族の秘密が次々と暴露され、まさに家族の崩壊が決定づけられたシーンでは、
血を思わせるような赤い雨が降り、びしょ濡れになった小泉今日子さんが絶叫します?
小泉今日子さんは、この作品で、ブルーリボンの主演女優賞も受賞されていますが、
原作を読んでいる者には、「ちょっとそれはね…?」という過剰な演出だと思いました。
早速お読みいただいて、とても嬉しく思います。 (← 陛下のお言葉みたいですが…)
ちゃんと、「妙覚寺」も出てきたでしょ!
司馬さんは、「かつては、衣棚押小路あたりにあった」と書かれていますが、
今でいう、マンガ・ミュージアムあたり(烏丸御池界隈)になるのでしょうか?
一介の油売りの庄九郎から、美濃の国主・斎藤道三にまで駆け上がっていくところは、
いかにも溌剌、爽快な感じがして、わくわく心躍る感じがします。
ただ、この「国盗り物語」は、初めて読んだ「大人」の小説だったので、
高校生の私には、何回か出てくる「濡れ場」の描写は、ちょっと刺激が強すぎました。