まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 特別演奏会 第九コンサート

2019-12-29 19:29:21 | kyokyo
2019年12月28日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ユベール・スダーン / 管弦楽 :京都市交響楽団 / 合唱 : 京響コーラス
独唱 : 吉田 珠代(ソプラノ)・八木 寿子(アルト)・清水 徹太郎(テノール)・近藤 圭(バリトン)


            *  *  *  *  *

● メンデルスゾーン : 序曲「静かな海と楽しい航海」作品. 27
冒頭の数小節を聴いただけで、まるで「室内楽」のような、コンパクトでバランスのよい響きに魅せられました。
大きな規模の編成になっても混濁することのない京響の精緻なアンサンブルと、スダーンさんのコントロールぶり。

プログラム・ノートに「描写的な部分が多い標題音楽」とありましたが、海と航海の情景が目に浮かぶようでした。
安っぽいペンキ絵に堕落することなく、芸術の高みにまで到達させたところに、作曲者の非凡な才能を感じさせます。

● ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調「合唱付」作品. 125
推進力と躍動感にあふれた第9。 スダーンさんの機能的な指揮は、スポーツのような爽快感を抱かせるものでした。
軽快なテンポで進行していくだけでなく、内声部の細かな動きも丁寧に描き出すところが、名匠の腕の見せどころ。

通常は、第2楽章と第3楽章では、テンポと曲調のコントラストを強調したいところですが、ここも流れのままに。
天国的な美しさに浸って、ついついまどろんでしまう第3楽章でも、その斬新なテンポと響きに目が冴えるという…

4人の独唱者と京響コーラスは力量的に過不足なく、バランスのよい安定した歌唱。 高揚感、燃焼度も申し分ない。 
前時代的な「大ドイツ」風の威容を誇る演奏とは、ひと味違ったアプローチ。 こういう個性的な第9も、うれしい。




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